三鷹歌農書 561-580 2 三鷹歌農書 2023年12月22日 22:27 あさなさな醪(もろみ)の泡のあいさつを耳に確かめ混ぜ返しやる三鷹歌農書(五六一)八つ頭の皮を魚を捌くごと摘んで剝いでゆく心地良さ三鷹歌農書(五六ニ)花も終へながら脇芽をことごとく雲南百薬(アカザカズラ)は零余子に変へつ三鷹歌農書 (五六三)これ以上人を乗せ得ぬ小舟の図ふゆのスミレに見せてもらひぬ三鷹歌農書 (五六四)水色(すいしよく)と香りと味のモザイク画さくらもみぢの茶を評しつつ三鷹歌農書 (五六五)菊芋と京人参が並べらる珈琲になる宿命(さだめ)知らずに三鷹歌農書 (五六六)カラメルに酸味ほのかに匂はせて人参珈琲(キャフェ・ド・キャロット)喉(のみど)にあそぶ三鷹歌農書 (五六七)チョコレートと牛蒡の味の境界を菊芋珈琲たのしげに問ふ三鷹歌農書 (五六八)干涸びしブドウ一房空ゆ落ちホップの蔓に掛かりてゐたり三鷹歌農書 (五六九)翼なす葡萄紅葉に牽かれつつ空へ旅立つナーベラー号三鷹歌農書 (五七○)ヘビウリに心そこ惚れてゐしわれか芋茎あふぎかの夏を恋ふ三鷹歌農書(五七一)くれなゐのブルーベリーの新梢が銀杏(いてふ)の腹をつつくも恋か三鷹歌農書(五七ニ)海原と荒磯の香の差をみたりコンブ利尻と羅臼を比ぶ 三鷹歌農書 (五七三)鰤カマと煮るダイコンの少女から少の取れたるやうなつやめき三鷹駅歌農書 (五七四)グラナダとクローネンブルクの日本の子芳純ずつと三鷹(ここ)を旅せよ三鷹歌農書 (五七五)前奏のまま終はるかとおもひゐしにチャールズ・ダーウィンゆるり咲き初む三鷹歌農書(五七六) 冬空の深みに打てる刻印の臙脂いろなる薔薇の大輪三鷹歌農書 (五七七)ニンジンとブロッコリーもて迎へたる今年最後のシカクマメを蒸す #三鷹歌農書 (五七八)杵と臼どちらが臼か知らぬ方も初めて触るる人もをるなり三鷹歌農書 (五七九)臼底に豆反り鉋すべらせて餅の丸まりやすさを琢く三鷹歌農書 (五八○) ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #短歌 #家庭菜園 #tanka #三鷹歌農書 2