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三鷹歌農書 2461-2480

一にちを存分に咲きパラシュートたたむ作法にタイタンビカス
三鷹歌農書(二四六一)
嫌はるるならば容姿も性格も徹底せよとイラガの教へ
三鷹歌農書(二四六二)
海原を進むヨットの浮世絵のヘビウリの実にウラナミシジミ
三鷹歌農書(二四六三)
ナーベラーの花に並んでうごかざる十月尽のアカボシゴマダラ
三鷹歌農書(二四六四)
敷料と馬ふんの壁を崩さんとフォークを入るるその一突き目
三鷹歌農書(二四六五)
捨つるほか無かりしに今インフレに引く手数多となりたる馬ふん
三鷹歌農書(二四六六)
堆肥場の底に馬ふんを慣らしつつサウナならねど熱に包まる
三鷹歌農書(二四六七)
ヘビウリに万福寺人参トロンボンチーノ堆肥降ろしし荷台に並ぶ
三鷹歌農書(二四六八)
秋空に四ツ目の鍬を振りあげて地もぐり豆を掘る日となりぬ
三鷹歌農書(二四六九)
振り下ろすよりは落とすといふ感じ鍬を起こせば落花生溢る
三鷹歌農書(二四七○)
引き抜けど引き抜かれずに落花生よき豆土に残りてゐたる
三鷹歌農書(二四七一)
株つかみ土を振るつて逆さまに落花生あらはなるを摘み取る
三鷹歌農書(二四七二)
熟れゆくに白き炎(ほむら)を土の中揺らし大きくなる落花生
三鷹歌農書(二四七三)
実と殻の分かれてをらぬ若きらをもう待てざれば捨てねばならず
三鷹歌農書(二四七四)
泡つぶのやうなる白き花満つと根粒菌のコブに思ふも
三鷹歌農書(二四七五)
実を取られ後ろに放り投げらるるラッカセイの株がなしてゆく水脈(みを)
三鷹歌農書(二四七六)
空高しビールケースを椅子にして落花生取りも話も尽きず
三鷹歌農書(二四七七)
いつしかにハキダメギクに押されゐる落花生の株すなほに小(ち)さし
三鷹歌農書(二四七八)
落花生について出て来てしまひたる蚯蚓は土に戻つてもらふ
三鷹歌農書(二四七九)
落花生のふりはここまでカナブンの子は潰さずに遠くへ飛ばす
三鷹歌農書(二四八○)


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