たくあん、切り干し大根 大根を保存食に
(2023年1月19日)
冬の寒さがまだまだ厳しい。収穫した大根を洗う手が冷たい。これまで根こぶ病に侵されて、きれいな大根を育てられなかったが、今冬は病気対策と耕起をしっかりしたため、きめ細かい、美しい大根が収穫できた。よく見ると、大根の両サイドには、ひげ根が生えるポツポツとしたくぼみが縦に並んでいる。その形状がジブリ映画「千と千尋の神隠し」の「おしらさま」の目にそっくりだなあー、などと思いながら、初めて収穫できた「きれいな大根」に満足。
播種が少し遅くなってしまった。昨年、10月末の種まき。年末、年始にかけての寒波で、成育が遅くなってしまったが、先日の雨と気温上昇で、ようやく収穫時期を迎えた。
冬野菜の代表格 売価低迷が悩みのタネ
おでんには欠かせない冬野菜の代表格。煮物にしたり、すりおろして薬味にしたり。ビタミンやミネラルのほか、消化を助ける成分も豊富な食材。ただ、売価が安いのが悩みのタネ。農業資材が高騰を続ける中、産直市に出荷しても一本80円程度。大量に出荷しても売れ残ってしまう。一方で、成育は待ってくれない。さて、どうしたものかと思案した結果…。
生野菜は、食べごろの期間はあまり長くはない。収穫適期を逃してしまうと、品質は下がってしまう。かといって、成育をコントロールするのも難しい。ということで、またもや昔ながらの保存食づくりに。
日本のソウルフード「たくあん」づくり
ご飯のお供に重宝するたくあん。少し細めの大根を洗って干した。寒く、乾燥した日が続きそうなので10日から2週間程度かな? くの字に曲がるようになったら、漬け込む予定。地元のJAが販売している魔法の粉(たくあん専用に米ぬかや調味料などをブレンドした粉)を買ってきた。これがあれば、簡単においしいたくあんができあがる。
漬物の製造・販売には、食品衛生法の改正で「漬物製造業」の許可が必要になった。産直市や道の駅などでよく販売されていた、農家が作った自家製漬物は、許可を取らなければ、製造・販売できなくなったのだ。専用の炊事場など、条例に定められた施設基準を満たしたうえで、営業許可を取得する必要がある。商品化にはハードルが高いかなあー。
栄養満点 切り干し大根
次は、切り干し大根。カリウム、カルシウム、食物繊維、鉄分が豊富。干すことで、100グラム当たりの栄養素が格段に増え、うま味成分のグルタミン酸とGABAの含有量が増えるそう。そして何より、保存が効く! 試しに、大根4本を千切りにして干し始めた。さらに、切り干し大根よりも太めの「割り干し大根」もあるそうなので、こちらにも挑戦中。当面は自宅用とおすそ分け用。作り方の精度が上がれば、販売も視野に。
伝統の保存食はSDG's
こちらは、国の指針「農業及び水産業における食品の採取業の範囲について」で、干し柿、干し芋、切り干し大根など、農家が自ら生産した農産物を原材料にする場合は届け出が必要ない、とされたようだ。それでも人様の口に入るもの。衛生管理と表示はきちんとして売り出す予定。
昔から農村に伝わる保存食づくりを母親に教わりながら実践。伝統の保存食は、食品ロスをなくすSDG'sな最先端の考え方なんだとつくづく思う。
(あぐりげんき通信)
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