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『手続き屋』として始まった関係を一生のビジネスパートナーに。


アガットイノベーションと関係の深い経営者に、その職業を選んだ経緯や、
起業・独立の苦悩などなど…仕事への想いを語っていただく『経営者インタビュー』企画。

第一弾司法書士・行政書士の川上 慎太郎さんです!


川上 慎太郎 司法書士・行政書士
紹介:1979年 埼玉県杉戸町生まれ。獨協大学法学部卒。2014年に独立し、川上 慎太郎司法書士・行政書士事務所を設立。中小企業・ベンチャー企業の法人登記や、株主総会の開催支援を中心に活動。

ホテルマンを経て司法書士の業界に転身という異例の経歴をお持ちの川上さん。
学生時代の思い出から、会社法務の専門家としての想いまで沢山の興味深いお話を伺う事ができました!



『手続き屋』として始まった関係が一生もののビジネスパートナーに。


—どんな学生時代を過ごしましたか?

幼少期はのんびり屋な子でしたね。運動もあまり得意ではなく、鈍臭いなんて言葉が当てはまるのかもしれません。笑
中学2年生の頃からは海外のロックバンドに興味を持ち、高校は絶対に軽音楽部がある学校に入ろう!と心に決めていました。無事、高校3年間はバンドに打ち込む日々を過ごすことが出来ました。


—当時の進路や将来の夢は覚えていますか?

明確な将来の夢は持っていなかった気がします。なんとなく大学には進んだ方がいいのかな〜?くらいに考えていましたね。一時期ジョン・グリシャム原作の映画にハマっていた事もあって、法学部に興味を持っていました。


—その言葉通り、大学では法学部に進まれています。当時から司法書士を目指されていたのでしょうか?

いえ、全く念頭にありませんでした。バンドでライブをしたり曲作りをするばかりでで、気が付けば就職を考えなければいけない時期に差し掛かっていました。サラリーマンとして組織で働くのは向いていないだろうな〜とぼんやり考え、なんとなく決断を先延ばしていました。

ところが、大学を卒業するタイミングで祖父から「会社を継いでくれないか」と打診を受けました。
元々、早くに亡くなった父と祖父が経営していたレセプト業務を請け負う会社で、当時は50名程の社員を抱えていました。高校生の時にアルバイトとして実際に現場を手伝ったこともありましたが、特段、面白さを見出せず。何よりも、いきなり多くの従業員の人生背負わなければならないというのは、考えただけでもゾッとしました。
しかし、当時は就職活動を全くしておらず、卒業すれば無職になるのは確実でしたから、断るにも格好がつきません。そこで「司法書士を目指して勉強をしているから。」と祖父には伝えることにしました。



—遂に司法書士という言葉が登場しましたね!笑

テキストやNewtonのTLTソフト(※司法書士の資格試験対策用PCソフト)を買ってほぼ独学での試験対策を始めました。しかし後継を逃れる為という動機のせいか、あまり勉強に身が入らず、アルバイトもしながらダラダラとした受験生生活を過ごしていました。



—その後24歳の時に、リゾートホテルに就職されています。司法書士受験生からは急展開ですよね。どんなきっかけがあったのでしょうか?

軽井沢のリゾートホテルで2ヶ月間の住み込みバイトをしたことがきっかけです。ホテルマンは『お客様に安心して、快適に過ごしていただく』というのが仕事です。とてもシンプルだけど、目的達成のためには自ら考えて行動することが求められます。
将来のゴールが見えず、常に迷いを抱えていたこの時期だからこそ、一つの目的に向かって自分なりに行動して、その働きがお客様の反応によって評価されるというシンプルな環境が心地良かったのでしょう。バイトを終えてからすぐに、今度は浜松の会員制リゾートホテルで正式にホテルマンとして働き始めました。

ホテルマン時代の学びは沢山あります。特に「お客様が求めている事を把握し、解決に導く力」はこの時に養われましたね。
ホテルには様々な感情を持ったお客様が訪れます。旅行だからといって、明るい気持ちで溢れているわけではありません。怪我や不手際で怒っている、悲しんでいる方もいらっしゃいます。そのお客様が何故怒っているのか?その感情に対して、私たちホテルマンはどう向き合うべきなのか?何を期待されているのか?

人の感情という直接目では見えないモノに向き合う経験は、今までには得られなかった沢山の学びを与えてくれました。



—1年半のホテルマンを経て、次は司法書士事務所に勤務されています。何か心境の変化があったのでしょうか?

一番のきっかけは、昔一緒にバンドを組んでいた友人が、一発で公認会計士試験に合格した事です。自分も何かにチャレンジしたい。一度は距離を置いていた“司法書士”という道にまた向き合おうと考えるようになりました。
思い立ってからの行動は早く、ホテルを退職して2.3ヶ月後には、資格試験の勉強をしながら司法書士事務所で補助者として働き始めました。(補助者:司法書士のサポート業務を行う事務スタッフのこと。)



—新たな職場で新たなスタートを切られたのですね!しかし2回目の受験生生活も苦難の日々だったと…

そうですね、試験には合計で7回も落ちてしまいました。試験に挑む度に年齢を重ねていく自分へのプレッシャーが辛かったですね。その分、やっと合格できた時の喜びもひとしおでした。
その後は同じ東京の事務所で、正式に司法書士として働くことになりました。



—補助者として事務所で働かれていた時と、有資格者になった後では違いはありましたか?

職場も同じですから、働き方に変化はありませんでした。
ただお客様に直接アプローチできる点は大きな違いかもしれません。補助者はあくまで裏方なので、お客様と直接やりとりすることはありません。経営者の悩みに寄り添い、解決に導くという仕事は司法書士ならではですし、やりがいを感じています。

司法書士と聞くと、世間一般では『手続き屋』という印象を持たれがちです。しかし実際には、人との繋がりが多い職業です。経営者が登記に至るまでの過程を支え、その先にあるビジョンに辿り着くための道筋を共に描いていく。手続代行業というよりも、サービス業、接客業に近い仕事であると私は考えています。



—司法書士として働く中で、印象的なエピソードがあれば教えてください。

中国人のお客様のことは未だに覚えています。ある時書類にミスが見つかり、郵送でも間に合わないからと、お客様の自宅に直接書類を届けた事がありました。私は用事が済んだらすぐに帰るつもりだったのですが、歓談する中で同い年であるとわかり、予想以上に話が弾みました。
そして数年後の私が独立して事務所を設立した時に、彼から連絡が来ました。わざわざ前の職場を通して連絡先を探してくれたそうです。そこから今でも関係が続いています。



—司法書士が人との繋がりが多い職業であることが伝わるお話ですね。


—最後に。ホテルマンと司法書士は全く別分野の職業ですが、ホテルマン時代の経験が今も生きている!と感じることはありますか?

沢山ありますよ。先ほどお話しした「お客様が求めている事を把握し、問題解決に導く力」は司法書士としてクライアントと接する際にも、非常に役立っています。クライアントからの依頼に対して、『自分のリソースで何ができるだろうか?』と短絡的に考えるのではなく『クライアントはこの依頼が完了した先で、何をしたいのだろうか?何を求められているのだろう?』と長期的な視点を持つように心掛けています。
たとえその課題が私1人のリソースでは解決できなくても、別な専門家と連携することで、一歩でも問題解決に近づくお手伝いができればと考えています。



—川上さんは現在、東京を中心とした15以上の会計事務所とアライアンスを組み、中小企業がもっと気軽に利用できるリーガルサービスの提案にも力を注いでいます。

よく「会社に出資したいという人がいるんだけど、弁護士・会計士・司法書士どの専門家に相談すればいいのかすら分からなくて…。」なんて声を聞く事があります。そんな時に、お客様の考えを整理できる場としても司法書士を活用していただきたいですね。

祖父から会社後継の話を聞いた時に、若くて経験もない自分には荷が重すぎる!とすぐに断ってしまいました。もし自分に社会人の経験が数年でもあれば。若い経営者をサポートしてくれる環境があれば。もしかしたら前向きに検討できていたかも知れません。この経験があるので、若い起業家に会うと、その行動力や覚悟は本当にすごいな、応援したいなと思います。
『手続き屋』として始まった関係が一生もののビジネスパートナーに。そんな働きを目指しています。




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