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その愛はホンモノか?
「愛してる」と言いながら暴力をふるう人は信用できないと思う。
どうも!マネージャーのFです。
いわゆるDVナントカというやつですね。最悪です。
暴力なんてもってのほかですが…そうでなくとも言葉と行動がチグハグな人は信用ならない。
長く連れ添うなら、誠実で、裏表がなく、正直な人がいい。
ではこれがブランドだったらどうでしょう。
誠実で、裏表がなく、正直なブランド。
すごく理想的ですが、ブランドの場合は特定の一人ではなく不特定多数の方にファンになってもらいたいわけなので、アピールの方法はかなり大事です。
広告、PR、昨今ならSNSなんて手もありますが、今回はブランドが長期的にファンを獲得していくために必要なこと、とりわけその最善手についてお話ししていきます。
例に出すのは東かがわ市のマンション、「East Kagawa TREE」のジョイテルユーのお話です!
デザインがさらにおいしくなる話vol.25【East Kagawa TREE】
1.ジョイテルユーとは
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ジョイテルユーとは、香川県の最東端、東かがわ市にある子育て世代向けのマンションです。東かがわ市に入ってすぐ、国道11号線沿いの市の玄関口にあたる場所にあります。
このマンションの特徴は、家族で住むのに丁度いい3LDKの間取りとマンションを取り巻く豊かな自然環境。自然を身近に感じながらのんびりとした田舎暮らしを味わえるので、子育てをするのにもぴったりです。
今回のご依頼内容は、このジョイテルユーのリブランディング。
マンションを運営する有限会社大津商店の代表兼大家 大津さんからのご依頼でした。
2.「入居者がどんどん減ってるんです」
大津さんの悩みは、人口減少によるマンション入居者の減少でした。昔は子育て世代を中心に多くの人が集まっていたジョイテルユーから、どんどん人影が消えていっているのだといいます。
なんとか昔のような賑わいを取り戻せないだろうか?
シンプルながら、ジョイテルユーが抱える問題は深刻でした。
というのも、人口減少は今や国レベルの重大な社会問題だから。
とてもじゃないけど私たち個人の力でなんとかなるものではないし、人口減少は地方圏を中心に今なお加速し続けている。
もっと言えば、東かがわ市は「香川県でもっとも高齢化が進んでいる市」とも言われる場所でした。
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3.東かがわ市のシンボルツリーになる
人口が減少し続けるこの場所で生き残っていくためには、メインターゲットから選ばれ続けなければいけない。それだけでなく、東かがわ市をともに盛り上げ、ともに子育て世代にとって過ごしやすい土壌を耕していく必要があると私たちは考えました。
そこから生まれたコンセプトが、こちらです!
「East Kagawa TREE」
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ジョイテルユーは国道11号線のすぐそばにあることから、東かがわ市民なら誰もが一度は見たことがあるであろう建物。この場所で、人々が集まるコミュニティーの中心となり、東かがわ市のシンボルのような存在になる。
強い決意を込めてこのコンセプトをそのままマンションの新しい名前に採用しました。
スローガンは「見守る、つなぐ、育てる。」
メインターゲットは変わらず子育て世代。
人と自然を繋ぎながら、家族にやさしい住まいを提供する。それは「シンボルツリーとして人々の生活を見守り、次の世代をともに育てていく存在になるのだ」という宣言でもあります。
4.遊び心は親しみやすさを生む
このスローガンを元にクリエイティブを制作。
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East Kagawa TREEのロゴマークは、頭文字であるアルファベットのEと年輪をモチーフにしています。
この場所で人々を見守ってきたこれまでの時間、そしてここから長く積み重ねていくこれからの時間を年輪で表現しています。
ロゴを使ったショップカードとのぼりはこんな感じ。
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右:のぼり
あわせて制作した大津商店さんのロゴマークがこちらです。
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East Kagawa TREEの木の要素をカラーで取り入れつつ、マンションの大家でもあるので大津商店の「大」の字は屋根のように表現。
商の口は〇にすることで「おお!」と叫ぶイメージにしました。(大津商店だけに!)
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名刺はEast Kagawa TREEと大津商店を表裏に、リバーシブルに使える仕様です。
両方に共通する木や自然のイメージを紙質で表現しつつ、大津商店の方は全体を老舗感のある色味に仕上げています。
そしてそして、最後にご紹介したいのがこちら。
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East Kagawa TREEのイメージキャラクター「イケティ」です!
お子さんのいる子育て世代に向けたブランドなので、親しみやすさやブランドの世界観を伝える役割としてキャラクターも制作しました。
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一見無駄にも思える設定の細かさや細部の作り込みは、担当したイラストレーターの遊び心です。
余分なものを省きながら要素を凝縮していくのがデザインですが、時にはこうした「隙」を作ることも大事。やりすぎなくらいの作り手のこだわりが、ふふっと笑える親しみやすさを作りだすこともあります。
同じく制作したWebサイト上でもイケティたちが楽しく走り回っているので、ぜひご覧ください!
▼East Kagawa TREE
5.ブランドアクションという最善手
また、こうしたクリエイティブの他に、元あった101号室を入居者向けの無料で使える多目的ルームに改装しました。
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名前は「おへや公園Sprout」。
「公園」をコンセプトにした、子供は遊べて大人はくつろげる空間です。
入居者に子育て世代が多いことから、ちょっとした隙間時間に子供を遊ばせたり、ママ友さん同士でおしゃべりしたり…まるで公園のように入居者が自由に出入りできる空間を目指しました。
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子育て世代の憩いの場となるとともに、入居者同士の新しい交流の芽(=Sprout)が芽吹くことを期待した試みです。
家族世帯の交流が広がれば、自然とその子供たちを大人全体で見守る目が生まれるはず。マンションに住む人々のコミュニケーションの輪を作り、マンション全体で子育てをしていく空気感を生み出すことがこの多目的ルームの最大の狙いでした。
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実は、今案件の最もすごいところはこれです。
この101号室は日当たりもよく好条件な物件。普通に貸し出せば収益を得られる部屋でしたが、それでも「見守る、つなぐ、育てる」というコンセプトを体現するために多目的ルームに改装し、無償提供したのです。
ある意味自ら身を切る行為ですが、大津さんは「僕はEast Kagawa TREEを守る木こりなので」と改装を決断。商品の一部を犠牲にしたものの、結果としてブランドコンセプトに共感する多くの人々が集まりました。
ブランドが起こすアクションの中でも、とりわけブランドがコンセプトを体現するために起こす行動をブランドアクションといいます。
ときにはこうして犠牲を払ってでも社会に対してブランドの姿勢を示す。
なかなかできることではありませんが、コンセプトに則した一貫した行動こそが信頼に繋がり、長期的なファンの獲得へ結びついていきます。
今回これができたのは、大津さんがそれだけ真摯にブランドコンセプトに向き合っていたから。ブランドアクションには、そのブランドの本気度が表れるのです。
6.愛は行動に表れる
さて、今回はブランディングにおける最善手「ブランドアクション」の事例について紹介してきました。
以前の記事で「コンセプトとは愛である」と書きましたが、愛は言葉以上に行動に表れる。一貫した行動こそが信頼に繋がるのは人間もブランドも同じです。
裏を返せば、真心を尽くしていることをアピールするには、どんな広告より社会へ向けた一貫したアクションが一番人の心に響くのかもしれません。
「デザインがさらにおいしくなる話」とは?
㈱人生は上々だのデザイン制作の裏話をもぐもぐ噛み砕いてご紹介していくシリーズです。
意外と知らないデザインの裏側。そこには一体どんなこだわりが隠されているのか?
CREDIT
Creative Direction:村上モリロー
Art Direction:村上モリロー
Graphic Design:村上モリロー
Web Design:久利優実
Copywriting:村上モリロー/柳田梨絵
Illustration:喜田彩加
Creative Produce:柳田梨絵
Account Management:吉川賢司
East Kagawa TREE(ジョイテルユー)
東かがわ市の自然と人をつなげるマンション
〒769-2515 香川県東かがわ市町田727-1
運営元
有限会社大津商店
〒769-2601香川県東かがわ市三本松96番地1