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「履物を揃える」日本の所作と美意識から生まれたデザイン。後編
網元大将の記事を読んだ知人から「あれは誰が書いているの?」と聞かれてハッとしました。
どうも、人生は上々だでマネージャーをやっています、Fです。
今の今まで自己紹介を忘れていたことに自分でも衝撃を受けつつ、読者には誰が書いているのかもわからない怪しい記事を読ませていたことになります。著者のあやふやな読み物ほど信用できないものはありませんね。大変失礼いたしました。
さて、今回もLEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2016で発表された桐下駄「ZANSHIN」についてお話ししていきます。
プレ・プレゼンテーションで惨敗したモリローさん(※弊社代表)は一体どうやってあの「ZANSHIN」を作り上げたのか……大逆転のキーは「禅の心得」にありました。
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村上モリローとは
(株)人生は上々だ代表取締役社長。クリエイティブディレクター。
職人フェス「SANUKI ReMIX」や、プラントベース・グルテンフリー讃岐うどんレストラン「by age 18」など、デザインの領域にとどまらず幅広く活躍している。プライベートでは桃とバスケとNIKEとONE PIECEとポテチが大好きな子煩悩パパである。
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デザインがさらにおいしくなる話vol.18【ZANSHIN】後編
前編はこちら!
「柳宗理みたいな本質を変えるデザインを。」
この言葉に、「じゃあ柳宗理ってどんな風にデザインしとんや?」と考えたモリローさん。
古本屋へ走り、「桐下駄とはなんなのか」を徹底的に調べました。
そうして辿り着いたのが、禅の心得である「残心」。
技を終えてもなお心身をその場に残し、美しさや真心を絶やすな、という芸道の教えです。
この考えを軸に据え、「ZANSHIN」を作り上げました。
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日本の伝統的な礼儀作法である「脱いだ靴を揃える」という所作。実は禅の教え「残心」をルーツに持っていたのです。
このことから、脱いだ後も何かの形に見える、脱いでなお美しい桐下駄を目指しました。
ZANSHINの下駄の形は、松と扇。
どちらも脱いだ後、揃えることで美しい形になるよう仕上げています。
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横から見るとこんな感じ。
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土踏まずを湾曲させているので、履くと自然に姿勢が良くなります。
姿勢を正す、履物を揃える……そうした丁寧な所作から、日本の和の心とその奥ゆかしさを感じていただけるプロダクトになっています。
革製品ははなわの部分に使いました。
ちなみに漆バージョンもあります!
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当時の審査員、清川あさみさんも「かわいい!」と大絶賛。参加者52名の中から、見事「注目の匠」に選ばれました。
最後に、製品化するにあたって制作したロゴマークをご紹介します。
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シンボルマークは漢字の「心」をベースに作っています。
今作品の軸となった「残心」から、一見して「心」があることには気づかれない、けれどひっそりと「心」が隠れている、というデザインにしました。
(※製品版の方では「ZANSHIN_扇」は販売しておりません)
「桐下駄とはなんなのか」ものの本質や歴史、背景などから突き詰めて考えることで生まれた「ZANSHIN」。日本の伝統と、デザイナーの感性が見事に融合し、他に類を見ない新しい桐下駄が誕生しました。
本当に良いデザインは、ものごとの本質を理解するところから生まれるものなんですね。
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「デザインがさらにおいしくなる話」とは?
㈱人生は上々だのデザイン制作の裏話をもぐもぐ噛み砕いてご紹介していくシリーズです。
意外と知らないデザインの裏側。そこには一体どんなこだわりが隠されているのか?
ZANSHIN
LEXUS NEW TAKUMI PROJECT