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イヴの空へ② 楽曲への二次創作小説
大橋ちよさんが楽曲に絵を描いてくださいました♫
![](https://assets.st-note.com/img/1703473814905-6TbKC3ubZ8.png?width=1200)
イヴの空へ②
舞い降りてくる雪を見上げていると、なんだか空を飛べそうな気がしてくる。
こんなにたくさんの雪が降るなんて、さっきまでは思ってもみなかった。
彼女の手はとってもあったかい。それはまるで小さな光の塊のように、僕の体をあっためている。
「寒くない?」
「寒くなんかないよ。あなたの手がとってもあったかいの」
空を見上げていた彼女が、僕の方を向いて少しはにかんだ。この時間を一緒に過ごせることを喜んでくれているんだと、僕にはわかった。
「空を見ているとさ、飛んでいるようだね」
「うん」
僕たちふたりの横を、グレーの空の欠片が次々と通り過ぎてゆく。僕たちはみるみる上空へと上がっていき、地面はどんどん僕たちから遠ざかっていく。
それはますますスピードを上げていってるみたいだ。
見下ろせば、どこまでも深い真っ黒な世界と僕たちの澄みきった場所が青く光る曲線で区切られているように見えた。
彼女を見ると、その背中に彼女の体を覆ってしまえるほどの白くて大きな片翼があった。むずむずする僕の背中はそのせいなんだ。
彼女と僕はふたりでひとつの羽を広げていた。
大橋ちよさん 素敵な絵をありがとうございます♫
PJさんの企画に参加しています。