1960年代ボツワナ。
恐るべき干ばつの年に、家畜は大量に死に至り、放牧地は死んだ家畜に群がるハゲワシやジャッカルの支配する世界になり果てていた。
牛飼いたちは生き残った牛を連れて村へ帰り、多くの牛が死んで途方に暮れている中、主人公の一行は逆に放牧地へ向かっていく。
物語のクライマックスへ向かうシーン。
ここから先はボツワナの乾いた大地と、どこまでも広い荒廃した土地に響くそれぞれの思いが交差する心象風景と現実世界との境界があいまいになっていく。(もちろん、ファンタジー作品ではなくて、ある意味哲学的な場面)
ボツワナの風景を描かせたら、本当にシャープで美しいベッシー・ヘッドの文章。干ばつのときはこういう景色だったのだろうなというのが、熱く白い焼けつくような太陽の感触とともに、読んでいるひとの肌に降り注ぐ。
作家ベッシー・ヘッドについてはこちらのマガジンをご参照
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