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『桜』 #aeuの詩。


 桜が好き
 でも別に 桜は全然好きじゃなかった


「花見行こうぜ!」
 真っすぐな言葉に みなが集まる
「あたしも花見行きたいな」
 でも別に 桜はそんなに見たくない

 100円の桜 花見の写真
 覗き込んで アドレスを聞いた
「あたしにも桜の写真送ってよ」
 でも別に 桜の写真は欲しくない

「花見楽しかったな、桜好き?」
 無邪気に笑って 君が尋ねる
「好きだよ、すごく」
 でも別に 桜はそんなには好きじゃない


「桜を見ると思い出す」
 翌年の春、君が言う
「去年の花見? 綺麗だったね、あの桜」
「桜の写真、欲しいってアドレス聞いてきたこと」

 クリスマスのプレゼント、桜の香りの練り香水
 うれしくって、毎日つけた
 あたしの匂いがするっていうから
 それ以外 つけられなくて
 春夏秋冬はるなつあきふゆ 桜が咲いた


 桜の香りが好き
 この桜の香りは 変わらず好き


 桜は綺麗、今でも思う
 でも時が経ち、今になって思う

 君との出逢いが桜だったから
 君との想い出が桜だったから

 好きだった
 だから別に 桜は全然好きじゃなかった







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