「想ってたのは自分だけだったのか」この切なさは、
出会いと別れの春。
それを象徴するように、
この春、同期が遠くに異動をする。
*
内定したとき、
共通の友達が多かった私達は
すぐに友達になった。
入社すると、
配属は違う課になり、
働く場所も違うので自然と会う頻度が減った。
それでも行動範囲が一緒で、
休みの日に歩いてるとふと会ったり、
仕事上で一緒の委員会になったり、
なにかと縁のある同期だった。
そして3年目、
わたしは同期と同じ課に異動をした。
めでたく同じ職場の同期だ。
女性社会で人間関係が難しいと言われる職場で
立ち回り方や暗黙のルールなど、
こっそり教えてもらい、
私は新天地でも馴染むことができた。
働く分野は違ったが、
プライベートの話もする数少ない職場の友達。
私の失恋のときも、新しいことを始める時も、
話を聞いてくれた。
彼女からも、
プロポーズされたときや
異動希望をだすか迷っていたときにも
相談をしてくれた。
いつもゲラゲラ笑っている
底抜けに明るくて
しっかり者のその子には何度も救われた。
*
その同期が遠距離恋愛の末に、結婚した。
この4月には旦那さんのもとに行くため、
遠くへ異動。
話を聞いていた時から
ご飯には誘っていたが、
会社ではコロナ禍の会食を固くとめられていたため
先延ばしになっていた。
異動が本決まりしたとき、
『今度こそ、2人でご飯に行こうよ』といって
「いこう」と二つ返事をもらった。
しかし、異動のタイミングで、
あとから色んな人が参戦すると名乗りをあげてきた。「〇〇さんも一緒に行きたいっていうんだけど
いてもいいよね?」
結婚のお祝いもしたかったけど、
別に2人じゃなくていいか。
これで行ければよかった。
しかし、タイミング悪く、
私は胃腸炎にかかってしまい、
参加できなかった。
そして、急きょ
その日の参加していた他の異動者たちと
他の日程が設けられた。
しかし当の同期は来なかった。
「先約があるんだ」
自分の病気のせいの不参加だった上に
急きょ決まった日程だから仕方ない。
新しい場所に行くんだ。
職場だけでなくて色んなところでお別れ会があるし
準備があるよね。
その送別会の帰り道、偶然、
同期が後輩の女の子とお店に出てくるところを
見かけた。その後輩は、
同期の直属の後輩だったが、
入って半年くらいの子だった。
2人で食事?
私とは4年一緒で2人のご飯いかないのに。
その後輩と同期は、席も近かったし、仲良いとしても、、
ズキッ
痛い。
切ない。
薄々思っていたことが
むくむくと事実に近づいてしまった感じがした。
なんだ、友達と思っていたのは、わたしだけだったのか。
そんな思いに駆られてしまった。
思えば、昔から「なんだ、友達と思ってたのは私だけか」が多かった。それで人とは一線以上距離を置いて予防線をはるように心掛けてきた。それでも、この同期は、気が合うと思い割と近づいたと思っていた存在だった。
だから、
私と2人のご飯が叶えてくれなかったことと
自分と後輩との比較を見てしまったことが
必要以上に胸に突き刺さった。
ましてや設けようとしていたのは祝いの場だ。
私は一人暮らしでカツカツの中
最大限お祝いできるように
どこまでお祝いのお金を捻出できるか
報告を聞いた時から計画していた。
それも嫌がられてしまうなんて、、
ズキッ
「友達と思ってたのは自分だけか」
人生であと何回この痛みを経験するんだろう。
杞憂に過ぎないかもしれないのに、
傷つきたくなくて、
他人との距離の予防線を、
この痛みのたびに引き直す。
そして、こんな弱い自分が嫌になる。
*
そんなことをいっても、
時間は待ってくれない。
明日は、同期の最後の出社日だ。
結婚祝いと新居祝いで渡そうと思っていた
ブランドのランドリーセットをもって
会社へ向かう。
同期とも、弱い自分とも、この痛みとも、
うまくさよならできますように、
そう願って今日は眠る。
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