広告の炎上だけでは足りない、広告主に市民の声を届けるシステムを
改善に繋がりにくい広告の炎上
日本ではTwitter上での広告の炎上が話題になることが多いですね。
萌え絵が公共広告で使われていたり、
女性の表象や男女の対比表現が物議を醸したり。
良かれと思って作った広告に想定外の批判が来たり。
このような物議を醸す広告が世に出てしまう原因として、
男尊女卑、マイノリティへの配慮、人権意識の低さ、など社会意識の欠如が指摘されます。
炎上の歴史を遡ると、
1970年代「私作る人、僕食べる人」という食品の広告が、
2010年代ではSNS上で数々の広告内の女性の表現が、
2020年代では社会派の広告表現が十分でないと批判されてきました。
広告は市民の目に触れ、見えない教育として機能するので、
男尊女卑の思想を含んだ広告は、社会に男尊女卑の考えを再生産するように機能してしまいます。
炎上は悪ではない
広告の内容を市民が監視して意見することは社会運動であり、
その1つの方法としての広告炎上も、広告主へのフィードバックとして意義ある市民の行いと言えます。
炎上の問題点
しかし、SNSでの広告の炎上には問題点があり、
何かというと炎上のもととなる投稿から改善につなげる事が難しい点です。
・市民が何に対して怒っているのか明確ではない
・市民の批判点が広告主に的確に伝わるわけではない
・炎上後の対応がなされるかは広告主次第
また、日本の海外で60案以上の炎上広告を市民とつくり直した経験から、感じるのが
「炎上する・しないは紙一重」だということ。
炎上は、異なる価値観のぶつかり合いであり、今まで想定できていなかった、見えてなかったインサイトの表出。
炎上は、異なる価値観が存在する限り、ゼロにはできません。
だから、
「炎上しないようにサポート!」「炎上しない広告作ります」「炎上予防!」という主張は誇大だと思うし、炎上対策及びリスク管理として本質的ではないと考えます。
ではどうやって炎上から学ぶか
私は、市民(生活者)と広告主のやり取りを強固にすることで、
広告と社会が良くなると考えています。それが、
広告制作への市民参加です。
私はそのために
・広告制作の途中で市民の声を聴くメソッド
・広告掲出後、市民からの批判や意見を聴くための制度
・市民と作る広告内容のルール
・広告主がルールに則って広告制作できるようサポート制度
を整えようとしています。
物議を醸す広告表現は時代と共に変化しますが、
広告に対する批判は広告主と市民の意識にギャップがある限り絶えません。
市民と広告主のやり取りを増やすことで企業のリスクマネジメントにもなると思います。
イギリス広告システムから学ぶ
その「広告の市民参加」を形式的に行っているのがイギリス社会です。
私は、この制度を学ぶために、イギリスの大学院に留学してきました。
詳細は下記の記事にありますが、
イギリスでは広告ガイドラインを市民の声をもとに作っています。
日本でも、このように市民参加ができると、炎上対策、炎上対応といった企業コミュニケーションになると思います。
また、イギリスのようにルールがあっても、
文化表象やメッセージの伝え方は、
広告主がずっと向き合わなければならない問題です。
社会の変化に伴って、表現の良い悪いも変わっていくからです。
消費者に受け入れられる広告をつくるために
広告炎上や批判可能性を把握すること、メッセージを適切に伝える、適切に市民のリアルな声を聴くには、
社会背景や、ターゲットの傾向、感情など様々な要因を理解する必要があります。
広告評価や海外での広告展、市民参加型炎上広告のつくり直しプロジェクトを行った経験を活かし、企業向け支援を行っております。
もし自社広告、発信内容に不安がある方はお役に立てますので、ご連絡ください。
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