ありきたり
朝焼けに染まる空を見て
「いつも通りだ」と思う自分がいる。
でも、どこか胸がざわめくのは、
昨日と今日の違いを知っているから。
道端に咲く花を見て
「また、ありきたりな景色」とつぶやく。
でも、その花が昨日の雨を吸い込んで、
少しだけ色濃くなったことに気づいてしまう。
「普通」だと思っていた
君の笑顔が、
ふとした瞬間に崩れた。
その揺らぎが、こんなにも
愛おしいなんて知らなかった。
ありきたりなことばかりの毎日が、
その瞬間に、急に
宝物のように光り出す。
目を凝らせば、
手を伸ばせば、
どこにでもある「普通」は
たった一度きりの
「特別」に変わるから。
だから僕は、今日もただ、
ありきたりな空を見上げる。
その中に隠れた、無数の奇跡を探して。