『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』を読みました。
Kindle unlimitedで読みました。
今月だけで、『殺戮にいたる病』『恋に至る病』と、『〇〇病』という本ばかり読んでいます。この2冊もKindle unlimitedで読みました。こういう経緯があるので、Kindleのレコメンド機能が『〇〇病』という本は興味がありそうと判断したのかもしれません(笑)。私自身、どちらも面白かったので、病がつくタイトルにハズレはないと感じている節もあります。
ハズレはないだろうという予感もありつつ、タイトルの「 SNS世代の消費と承認 」という部分に興味があったのも間違いはありません。承認欲求は集団社会で生きていく上では避けようの無い問題です。昔と比べると今はそれ程気にしていませんが、悩んでいたこともあって世の中のこういった問題は知っておきたいという気持ちがあります。
そんなことを思いつつ読みました。内容としては、ぴえんを中心として東京歌舞伎町にいるトー横界隈や、夜職の人達のことを書いた本です。若者を言葉の歴史や広がりなどがふんわりではなく、詳細に書かれていて、学術的に捉えられる内容でした。
「ぴえん」とは何なのか?私も本書を読むまではただ悲しいということを表現したい言葉だと思っていたが、少し前に流行った「卍(まんじ)」や「ヤバい」と同じような汎用性のある感情を使う言葉として使うそうだ。
友達と話している限りでは「ヤバい」はまだまだ現役であり、時代遅れなのかもしれない。けれども、心から「ヤバい」は汎用性の高い言葉だと思っているので、ぴえんを使っている人も同じ気持ちなのだろうと思う。
では、なぜ「ぴえん」が流行ったのかと言うと、pleading faceと呼ばれる絵文字が追加されたことに起因するという。今までスマホで「ぴえん」と入力すると出てくる「🥺」がpleading faceの絵文字である(ちなみに2019年に買ったスマホでは「ぴえん」と打っても絵文字はでてこなかった。原因は分からない)。
元々「ぴえん」が使われていたものの、「ぴえん」の「え」の数で感情の高低差を表していたが、pleading faceの登場と、原宿でこの絵文字を使ったグッズが流行ったことによるという。確かに、以前見たような気がするが、そういうつながりだったのは知らなかった。
「ぴえん」の説明が終わると、本書では量産型ファッションと地雷型ファッションへの「ぴえん」とのつながりに話が進む。その中で『明日、私は誰かのカノジョ』というマンガが紹介される。
本書の発行時(2021年)には無かったが、昨年にドラマもやっていたようだ。
このマンガでは、レンタル彼女、パパ活、風俗など現実にあってもおかしくないような女性のリアルを書き出したマンガである。本書をここまで(約20ページ)読んで、どうやら自分にとってはちんぷんかんぷんな世界だと思ったのでこのマンガを読んでみた。現時点で160話程度読んだ。それから本書に立ち返って読んでみると本書のこの先の状況もよく分かる。
学校や家庭に居場所がない女の子が誰かから必要とされたくて、認められたくて量産型・地雷型ファッションに身を包みお金を稼いではホストに貢ぐという繰り返し。そこには、お金がないと繋がれないという暗黙の関係性があり、お金を払ってもかまってくれないとこれぐらいしか払えない自分に価値がないから繋がれないというお金に支配される現実がある。
この本はもちろん、マンガと一緒に読むことで全体としての理解が深まる。