発達障害部下のマネジメントと[コミュニケーションデザイン]という発想について
前回の記事の続きです。
あるあるな話
例えばあなたが忙しい時、部下から話かけられると
「ごめん後にして!」と不機嫌に言ってしまう事って無いですか?
あまり良い対応では無いですよね。
特に発達障害部下の場合、一度このやり取りをしてしまうと、以後相手はいつどうやって話しかけて良いか分からなくなってしまう事が多いです。
もしくは、1日分のエネルギーを振り絞って話しかけてくれるか。
どちらにしても、コミュニケーションコストが激増してしまいます。
かと言って、無理して話かけられる度に意識と時間を割いてしまうと、あなた自身が保たない。
対面以外のコミュニケーション窓口を用意するよう、コミュニケーションをデザインする
こういう無駄を無くす為に、コミュニケーションのやり方を複数用意しておく事をお勧めします。
前回お話ししたように、これは沢渡あまねさんの[マネージャーの問題地図]にある[コミュニケーションデザイン]という考え方です。
コミュニケーションを、個人の能力に依存するのではなく、皆がコミュニケーションしやすくなるようなやり方を考えるという発想ですね。
具体的には、メールだったり、メッセンジャーツールだったり。対面以外の窓口、特にテキストデータに残せるものは必ず用意しておいた方が良いです。
特に、発達障害部下の場合、対面でのやり取りが非常に苦手な人もいます。
例えば私は短期記憶が弱い為、対面での業務指示だと抜け漏れが出る事があります。
また、耳で聞いた話を誤解する事もかなり有ります。
後から「あれ?あの話ってこういう理解で良いんだっけ?」と思っても、その時上司は席にいない。
ようやく席に戻った上司に、仕事の区切りが良さそうなタイミングで話かけて確認できればラッキー。タイミングが合わなければ延々と上司の仕事を見てタイミングを見計らう。
その間に電話が鳴り、対応していると上司はまた離席したり。。
昔いた職場ではよくありました。
こういった時間やストレスの無駄を無くす為にも、対面以外でのコミュニケーションをデザインする事を強く推奨します。
お勧めは[Microsoft Teams]などのチャットツールを使う事です
[マネージャーの問題地図]でも触れられていますが、チャットツールは非常に有用なコミュニケーションデザインツールです。
チャットツールと言われてイメージしずらい方に説明すると、チャットツールとは[ビジネス版のLINEみたいなもの]と考えて下さい。
例として下に、Microsoft Teamsでてきる事を例に挙げます。
・スマホやPCから相手にメッセージを送れる
・相手は外にいてもそれらを受け取る事ができる
・メッセージを送る相手も複数選ぶ事ができる
ここまでは一般的なメールツールと同じですね。
他にも
・メッセージのやり取りがLINEのように連続的に残る
・[チーム]や[チャネル]といった単位でやり取りを細分化できる
・タスク管理のアプリと連携して、個人のタスクを他のメンバーにも共有できる
・Excel、Wordなどのファイルを共有できる
などなど、便利な機能が詰まっています。
私達のチームで行なっているコミュニケーションデザイン
・日報や相談事は上司との会話スレッドだけで完結(ちなみに日報はOne Noteという別のツールとExcelを組み合わせて作ってます)
・勤怠連絡は専用のチャネルに集約
・問題提起や業務改善などを専用のチャネルに集約し、週のミーティングで話し合いをする
・関係する他チームとのやり取り用のチームを作成し、マニュアルの共有等に利用。
・既読の代わりに[いいね]ボタンを押す(Microsoft Teamsでは自動既読がつかないようになっていますので)
ポイントは、ただツールを使うだけではなく、「こう使おう」と狙い込んで使っている点です。これもコミュニケーションデザインの1つだと思います。
ITツールと発達障害者の親和性について
以前お話ししましたが、発達障害者の困り事に対して、ITツールは非常に助けになると思います。
そしてそれは、発達障害部下のマネジメントにらおいても同じ事が言えます。
もし発達障害部下がストレス無く業務に集中できれば。
独自の視点で新しいアイディアを出せる窓口があれば。
それはチームや会社の利益にも貢献できるのではないでしょうか。
また、そういった組織であれば、発達障害部下に限らず、新しい価値が生まれやすくなる。
私はそう考えています。
とは言え完璧を求めず、色々試行錯誤する
上でご紹介した例が全ての組織で使えるとは限りません。
組織の文化や状況によって、やり方を変えていく必要はあると思います。
むしろ形に拘ってしまうと、そこで思考が止まってしまう事もありますので。
そういった面も含めて、コミュニケーションのやり方をデザインする。
そういった発想が大事になると思います。