「メガネ初恋」#毎週ショートショートnote
私にメガネは似合わない。
それは昔から漠然と、そして実体験として持っていた感情だった。
私は人より目が悪い。そんな私に釣り合うメガネは限られている。そして何より、分厚いレンズを通した私は何とも醜悪で、毎朝出会うそんな私が嫌いだった。
だから、高校生になる頃に、私はコンタクトに変えた。これでもう、眼鏡屋に言われるがまま、受け身で掛けていたメガネから、そして本当の自分を問いかける毎日から解放された気がした。
私にメガネは似合わない。
大学生になって、私の視力はさらに低下した。たまたま街のメガネショップの前を通り掛ったのは、確かそんな時だった。
そこにあった一つのメガネに、私は一目惚れした。その洗練されたデザインに、どこかなレトロなエモさに、私は虜になった。
ソワソワと一週間の受け取り期間を過ごし、私は初めて、弾む心でメガネを掛ける。開けた視界はまさに私を表している様だ。これが本当の私だと、世界に見てもらいたい。
家に帰り、私はあからさまに家族の前をウロウロする。「何それ、変やで」という返答が、私の儚く、淡い感情の帰結だった。
やっぱり、私にメガネは似合わない。
「メガネ初恋」(完)
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何だか最近バタバタしていて、お久しぶりの投稿です。
久しぶりにnoteを開いてみれば、最近メガネを買い替えた私にぴったりなテーマで、創作意欲が湧き、参加させていただきました。
いつも投稿されてる皆さんは本当に凄いな、と思う一方で、私も頑張って行こうと思いました。
今後とも皆さんよろしくお願いします。
かしお