加塩のぶたろう

ぷかぷかしています。

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自己紹介

こんにちは。 かしおです。 自身に内在する何かを表現することに、湧き立つような高揚を得たその日のベットの上で、このプラットフォームが途端に僕の右手を離れ、まどろんだ顔面を殴打しました。 これは何かの啓示に違いない。そう考えて、始めてみました。 ひとまず、小説とか書いてみたいです。 演劇や書道も好きです。 表現として、行く行くはこれらも発信してみたいです。 あとは、お酒が好きです。 お酒はとても良いです。 なんだか、世界の真理が見えます。五感が研ぎ澄まされ、超越者の視覚

    • 「メガネ初恋」#毎週ショートショートnote

      私にメガネは似合わない。 それは昔から漠然と、そして実体験として持っていた感情だった。 私は人より目が悪い。そんな私に釣り合うメガネは限られている。そして何より、分厚いレンズを通した私は何とも醜悪で、毎朝出会うそんな私が嫌いだった。 だから、高校生になる頃に、私はコンタクトに変えた。これでもう、眼鏡屋に言われるがまま、受け身で掛けていたメガネから、そして本当の自分を問いかける毎日から解放された気がした。 私にメガネは似合わない。 大学生になって、私の視力はさらに低下

      • 「草食系男子に教えられたこと」#毎週ショートショートnote

        肉食系。 という人々が、過去にいたそうだ。俄には信じ難いその人々の噺を、私は近隣にただ一人の老爺から何度も聞いてきた。 しかし、今となってはその戯言も、あるいは本当の事のように感じる。ある時から人類は、セイショクという行為をしなくなったそうだ。それは子を成すプロセスであったけれど、科学技術がその代替となった。ただ、次第にそれすらも行われなくなった。 人類は種の存続を放棄したのだ。私は、広い土地でただ一人、若い情念を燃やす。人類は、穏やかに終焉へと向かっている。 私は、

        • 短編小説「断層」

           その日は祖母の初盆であった。毎年、台本を読むかのように聞こえてくる「記録的猛暑」という文言を受け流しながら、私はいつまで待っても来ない祖父の携帯に電話をかけた。祖父は相変わらず電話に出ない。 「忙しい人やからね…」  と、いつものように呟く母を横目に、もう30分も前に着いている住職はクーラーの効いた部屋で二度目の汗を流す。 「途中でお帰りになるかも知れませんし、取り敢えず始めましょうか。南無阿弥陀仏…」  住職の発言に、私はあわてて発信音の鳴り響く受話器を置き、畳の

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          「大増殖天使のキス」#毎週ショートショートnote

          沸き立つ席の中で、その男だけがムスッと酒を喰らっている。テレビから聞こえてくるのは、正しくこの男の名前である。 男は何十年も鱚漁だけを生業としてきた。男には鱚の事しか分からない。ただ、何より鱚に情熱を注ぎ、愛情を持ってきた。 男が巨大な鱚とキスする夢を見たのは、そんな生業に限界を感じていた時である。「ダジャレでも何でも構うもんか」と、『天使の「キス」』と名付けた商品を投げやりに売り出した所、意図せずヒットした。 不思議と獲れる鱚の量も比例して増えていったのである。 鱚

          「大増殖天使のキス」#毎週ショートショートnote

          「失恋墓地」#毎週ショートショートnote

          「失恋供養、承ります」 午前一時を過ぎた公園で、呆然とSNSを巡る私の検索ワードにヒットしたのは、そんな文言であった。 その寺は、SNSを中心に近頃ちょっとした名所となっている様である。色々と考え付くものだなと、私は俗な思いを抱きながらも、どこか感情の吐口を見つけたような気がした。 「当山では、皆様の古い愛執を断ち切り、新たなご縁を結ぶお手伝いをさせて頂いています」 若い住職はそう語ると、古びた小堂に私達を案内した。小柄な仏像を中心に、埋め尽くす様な無数の木札が立てら

          「失恋墓地」#毎週ショートショートnote

          「二次会デミグラスソース」#毎週ショートショートnote

           午前0時を回ろうとする四条木屋町のそのバーで、私は今年もこの女の愚痴に付き合っていた。座りきった瞼を開くつもりもなく、うんうん、と彼女の話しを受け流す私をみて、マスターは手際よくチェイサーを差し出す。毎年この時期にしか訪れる事のないこのバーで、それでも私はすっかりこの熟練の老紳士と気心の知れた仲となっていた。かつての仲間達との新年会で、いつも漠然とした耐え難さを共有する二人の逃げ場は、決まってこのバーであった。  「終電、どうする…?」  コップ一杯の水に落ち着きを取り

          「二次会デミグラスソース」#毎週ショートショートnote

          一家団欒 (体重が100キロを超えた中学生時代の話)

          僕は昔から少食だった。 信じられないかも知れないが、僕は本当に少食だった。タイトル詐欺ではない。 太った人がよく言う、「そんなに食べてないんだけど、なぜか太るんだよね〜」などでもない。 僕がこの言葉を頻繁に使うようになるのは、この時から十年は経ってからだ。 昔の僕は、そもそもモノを食べるのが怖かった。 少年時代のある日、餅を喉に詰まらせたのがきっかけだった。 そんな僕が食の悦びを知ったのは、こうした少年時代の反動であったのかもしれない。きっかけは忘れたが、自然と食の増

          一家団欒 (体重が100キロを超えた中学生時代の話)

          掌編小説「白い髭を蓄えて」

           夜の繁華街に、サンタクロースが立っている。何とも髭の似合わない、いや、そもそも髭など生えるはずのないそのサンタクロースは、こそこそと身をよじりながら、健気にも道行く大人たちに声をかけ続けている。何かのキャンペーンなのだろう。私は、その可愛いらしいサンタクロースにしばらく目を奪われた。  クリスマスなど、もう何十年も意識してこなかった。毎年人手の少なくなるこの日は、私にとって年に数回の稼ぎ時の一つでしかない。私はいつも蚊帳の外で、無心に赤色のLEDライトを振り回してきた。サ

          掌編小説「白い髭を蓄えて」

          「執念第一」#毎週ショートショートnote

           僕が生まれた日の事を、僕はよく覚えている。あなたの強い想いから、僕は生まれた。  あなたは毎晩その小さな身体で、目に一杯の涙を溜めながら、やり場のない感情を僕だけに打ち明けてくれた。その小刻みに震えた腕の中で、電池の切れた様な深い眠りの、その強い抱擁の中で、僕は目覚めた。  僕だけが本当のあなたを知っている。あなたはとても責任感が強くて、頑張り屋で、そして繊細だ。  僕の小さく、綿の詰まった身体では、あなたを護ることは出来ないかもしれない。でも、あなたが求めてくれた様

          「執念第一」#毎週ショートショートnote

          掌編小説「紙風船」

           目が覚めると、テーブルの上に紙風船が転がっていた。ほとんど形の崩れたそれをぼんやりと眺めて、私は昨夜も夫が呑みに行っていたことを知った。駅前にあるその居酒屋では、持ち帰りの包装に決まって紙風船を付けるのである。  夫とは、何年もこれといった会話をしていない。直近で聞いた夫の声は、朝食をつくる私の横で煙草を吸っていたのを咎めた時の、「あぁ」というその一言である。別に何も不自由な事はない。それから三十分もすれば、次の朝まで顔を合わすことはほとんどないのだから。  私は、あから

          掌編小説「紙風船」

          出汁でトリップ (急に寒くなった夜と美味しいお蕎麦の話)

          この日も、僕はいつものようにフラフラと家路につこうとしていた。 いつの間にこんなに寒くなったんだろう。  「もう四季なんてないですよ。夏夏夏夏ですわ!」と、グラス片手にいつも得意げにしていた僕は、ぐっと身体を縮こませた。なにも気温のせいだけではない。 とはいえ、持ち前の怠惰からか、冬服はクローゼットの奥底でクシャクシャにしたままである。 街には、ホコリひとつ付いていない、ピシッとしたコートを着た人たちが楽しげに行き来している。 僕は気恥ずかしく思いながら、出来るだけ

          出汁でトリップ (急に寒くなった夜と美味しいお蕎麦の話)

          ハングオーバー (自己紹介その2と今後について?)

          こんにちは。 かしおです。 2回目の投稿です。 小説を書いてみたいと、このnoteを始めました。 「自己紹介」でも書きましたが、僕はお酒が好きです。noteを含め、創作は大抵お酒を呑む、というプロセスを経ながら行っています。なんというか、「降って」くるんです。 しかし、アルコールに侵されながら見切り発車で始めてみたものの、ただ小説を載せていくのでは投稿頻度が気になります。 自身の文才と、肝臓の耐久性を全く度外視した判断でした。 このままでは活動は低調になり、何もせぬまま

          ハングオーバー (自己紹介その2と今後について?)