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マッチ買いの爺さん 7/15(木)

会社からの帰り道、缶チューハイを片手に座り込んでる爺さんがいた。

彼の前を通りかかった時「すいません」と声をかけられた。通りかかった時とは厳密にいうと、爺さんの間合いに入った最初のタイミングだ。VS魂のキッキングスナイパー(ヘッダー画像参照)でいうところの、積み重なった缶が袖から出始めたタイミングである。

つまり、爺さんの間合いから外れるまで歩き続けるのに少し時間がかかるということだ。
僕はもちろん無視をするつもりだった。しかし爺さんの間合いにいる間は、「無視をした」と過去完了系にすることができない。まだ返事をしていないと見なされるからだ。電話でいうとコール音が鳴り続けてる状態である。
ともかく、すいませんと声をかけられてから、爺さんの間合いに滞在する時間が長すぎるのだ。

僕はその間生きた心地がしなかった。いつ倒されるのかわからないキッキングスナイパーの缶達の気持ちがよくわかった。無心で歩き続け、このまま逃げ切れそうだ!と勝利を確信した瞬間に「マッチ持ってない?」と聞かれた。キッキングスナイパーでいうところの、半分見切れて逃げ切る寸前のところだった。

後半ロスタイムに起きた出来事だったので、つい爺さんの方を向いてしまった。爺さんはその細い目で虚空を見つめていた。僕はキッキングスナイパーの缶がカメラに映らずギリギリ倒れてしまうかのように、爺さんの間合いから外れた瞬間に地面に倒れ込んだ。

おわり

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木曜日は【明日のラッキーカラー】

うぐいす色🐦

また明日〜

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