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太鼓持ち:我ヲ、召喚シタノハ、オ前カ?
■小学生、太鼓持ちに憧れる
私が「太鼓持ち(たいこもち)」という言葉を知ったのは小学生の頃。
私は、桂米朝の落語カセットテープを図書館で借りてきては聞いていたのだが、その中に「太鼓持ち」と呼ばれる職業(?)の人が出てくる。
私は詳しいことは知らないが落語の世界では 話をユーモラスに描くためのキャラクターとして登場する。
主人公である金持ちの若旦那のご機嫌を取って、花街(芸者屋、遊女屋が集まっている地域)の水先案内人であり、酒宴を盛り上げるオーガナイザーみたいなものかな??
なお、現代社会でも「太鼓持ち」という言葉は遣われており、実社会で仕様される場合は「人に媚びへつらい、機嫌を取って好かれようとする人」だそうな。あまりいいイメージがない。
ところで、私にとっての【太鼓持ち】は 落語の「百年目(ひゃくねんめ)」や「地獄八景亡者の戯(じごくばっけい もうじゃのたわむれ)」という演目で出てくるキャラのイメージが先行しており、底抜けに陽気なものの 実はズル賢いという、憎めないキツネのようなイメージ。
太鼓持ちの格好はというと「頭をツルツルに剃りまして、 ちょっと尻からげして、下にはカイキのパッチを見せたといぅ、もぉ 太鼓持ち丸出しでございます。扇子をパチパチやりながら飛び出して…」という下りがある。
作品中では、太鼓持ちがその職業の特性を生かしたり、その立場から生じるコミカルな雰囲気を作り出したりすることで、物語に独特の風味を加え、観客に親しみやすいキャラクターとして描かれている。
■太鼓持ちマインド
多分、私は 和気あいあいとした雰囲気が好きなのであろうが、普段の私は そんな事をおくびにも出さない。仕事場では 無口なおっさんである。
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ただ、酒を飲むと 私の中の「プチ太鼓持ち」が次第に登場してしまうという病が発病する。
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話を盛り上げ、隅々まで 会話を振り、話をややオーバーリアクションで聞き、笑えるように誇張させたりして、場を和ませたくなってしまう。
発言したそうな人には スポットライトを向けるし、逆に緊張してしどろもどろしている人にも ちゃんとタイミングを測って話を振る。
時にはちょっと 際どいツッコミをして 相手がつい本音を出してしまうように仕向けたり、本音を言おうか迷っているときは 助け舟を出して 旨くフォローして 本音を言わなくても良いように仕向ける。
空いたグラスを片付けるし、空いた皿も重ねてテーブルの端に寄せておく。
注文の品が来たらテーブルの空きを作って 中央に配膳するし、テーブルの隅にいる人には 遠くの皿を取って メニューが全員に行き渡るようにする。
遅れてきた人の箸とおしぼりも 厨房の所にいって取りに行く。
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居酒屋などで後ろの席のオーバーリアクションがぶつかって、両者険悪なムードになりそうなときは 間に入って 笑いを取って機嫌を直させる。
酒が入っているときは しょうもないことで腹を立てるものの、しょうもないことで笑うものなのだ。
今回、断酒して3年が経過した今回、久々に酒の席(忘年会)に出席したが このプチ太鼓持ちマインドは健在であった。
なお、酒が入っていないので 程よくマイルドな太鼓持ちを演じることができ、いわば酒席でのファシリテーションのような感じであった。
私自身が酒を飲まなくても 周囲が酒を飲んでいれば 私は陽気に話すことができるものなのだな、と 学んだ日であった。
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