王子候補は他をあたって。
「もう、いいや。」
送られてきたメッセージを見て、僕はそっと携帯を置いた。返事はしない。いわゆる既読スルー、というやつだ。これできっと、あの人はまた悲劇のヒロインになるのだろう。さしずめ僕はヒロインを虐げたモブAってとこか。こないだまでは姫を救う隣国の王子、ぐらいの位置にはいたのかもしれないけど。
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社会人になり、職場と家を往復するだけの日々が始まって数ヵ月。ふらっと遊べるような友人は、遠く離れた地元にしかいない。人恋しくなって、なんとなくSNSを始めた。とりあえず、