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自己肯定感の簡単なあげ方

みなさんは、「自分はあまり役に立たない」とか、「うまくいかないことばかりだ」と思ってしまうことはありませんか? テストで思ったより点が取れなかったり、スポーツで負けてしまったり、友だちに冗談を言ったのにうまく笑ってもらえなかったりすると、「ああ、やっぱり自分はだめかも」と感じてしまうこともあるかもしれません。

こんなふうに自分を否定してしまう気持ちが強いと、心が重くなってしまいます。でも、そこで大事になるのが「自己肯定感」という考え方です。自己肯定感とは、「自分はこれでいいんだ」「自分には価値があるんだ」と思える気持ちのことです。たとえ苦手なことがあっても、「これが自分なんだから、それで大丈夫」と受けとめることができるようになると、生きるのがずっと楽になります。

では、どうすれば自己肯定感を高めることができるのでしょうか? 実は、そのために特別な才能や大きな成功は必要ありません。

すごくかんたんなことを、毎日ちょっとずつ続けて「できた!」という感覚を脳に記憶させるだけで、あなたの自己肯定感は少しずつ上がっていくのです。

例えば、壁に向かってボールを投げてみてください。そのボールは壁にはね返ってきますよね。そのボールをキャッチするだけでいいんです。これなら、特別な道具や広い場所もいりません。スポーツが苦手な人でも簡単にできるでしょう。朝、学校へ行く前に、1分だけでもいいから壁にボールを「ポン」と投げてみる。そして「ポン」と戻ってくるボールをキャッチする。

「そんなことが何の役に立つんだろう?」と思うかもしれません。でも、ここがポイントです。脳は意外と単純なところがあって、「できた!」という経験をすると、その記憶が少しずつ積みあがっていきます。壁に投げたボールをキャッチするという簡単な動作でも、「ちゃんと投げられた」「ちゃんと受けとれた」という小さな成功体験として脳にインプットされます。脳は「自分には物を投げることも受け止めることもできるんだ」と感じ、自然と「やればできる」という自信につながっていくのです。

実は、自己肯定感を上げるのに大切なのは、そういった「小さな成功」をできるだけたくさん味わうことなのです。大きな目標を立てて、うまくいかずにがっかりするより、誰でもできるくらい簡単なことを続けて、「今日もできた」「昨日もできた」と感じるほうが、ずっと自分を肯定しやすくなります。

もう一つの例として、「ジャムを煮る」ということもおすすめです。ジャムって聞くと、ちょっとむずかしそうに思うかもしれませんが、りんごやいちごなどのフルーツを小さく切って、お砂糖やレモン汁を入れて弱火でコトコト煮ると、だんだんとろっとしたジャムができあがります。

最初はただの果物だったものが、火にかけているうちにどんどん形を変えていく。

その変化を目で見て、鼻で香りをかいで、少し味見をしてみると、「おいしい!」「ちゃんと形が変わった!」という実感がわきます。この「変化を自分が生み出した」という成功体験も、脳に「自分にはできることがある」と教えてくれるのです。

「でも、毎日ジャムを作るなんて大変じゃない?」と思うなら、もっと簡単なことでもかまいません。たとえば、バナナを切ってヨーグルトに混ぜるだけでも、りっぱな小さな成功です。朝ごはんに自分がちょっと手間をかけて何かを作れたら、「今日も頑張ったな」「自分には手を動かして物を作る力があるな」と感じられます。

大事なのは、「簡単すぎるくらい簡単なこと」を毎日ちょっとずつ続けることです。毎日1回、ボールを壁に投げるだけでもいいし、毎週末にちょっとだけジャムを煮てみるのもいいでしょう。何度も言いますが、「こんなことで意味があるの?」と思うようなことでも、脳は「できた」という事実を大切に記憶します。その積み重ねが、自分を認める気持ち、つまり自己肯定感を少しずつ大きくしてくれるのです。

目標は、最初から高くする必要はありません。むしろ「小さすぎるくらい」低く設定したほうがいいのです。高すぎる目標をたてると、「できなかった」「続かなかった」という失敗だけが心に残り、自己肯定感は下がってしまいます。それよりは、「壁にボールを投げるだけ」「バナナを切るだけ」「鉛筆でまるを一つ描いてみるだけ」のように、絶対にできるくらい簡単なことを積み重ねましょう。

そうやって、脳を「自分はやればできるやつなんだ」と上手にだましてあげてください。だますというと悪いことのように聞こえるかもしれませんが、自分の脳を自分の味方につけることは、とても大切な知恵です。脳が「できる!」と信じこんでくれると、たとえ将来むずかしいことに挑戦する日が来ても、「まあ、やってみようか」と気軽な気持ちで一歩を踏み出せるようになります。

こうした小さな成功の積み重ねは、これから先、あなたが大きな目標に挑戦するときにも役に立つでしょう。自己肯定感が育つと、自分に対してやさしい気持ちを持てるようになります。「ダメだ」と自分を責めるのではなく、「まあ、今日できなくても、明日またやればいいさ」と思えるようになります。失敗しても立ち直りやすくなり、人生を前向きに楽しめる力がつくのです。

まとめると、自己肯定感は、大きな成功をしなくても高められます。小さな成功を何度も何度も経験し、「自分はちゃんとやれる」という感覚を脳にしみこませていくのです。壁にボールを投げて受けとめること、ジャムを煮てみること、あるいはおにぎりを自分で一つにぎってみることなど、本当にささやかなことでかまいません。

少しずつでも「自分にはできることがある」と感じる回数が増えれば、いつの間にかあなたは「自分って悪くないじゃん」と思えるようになります。その気持ちこそが、自己肯定感です。

どうか、「小さな成功」を積み重ねることで、あなたらしい自己肯定感を育ててみてくださいね。


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