『伝えること』と『伝わること』
Ⅰ.何かを『伝える』ということ
人とのコミュニケーションは仕事でも日常生活でも欠かせません。
朝起きた時から寝る時まで、私たちはいろいろな場面で、様々な人とコミュニケーションを交わしています。
基本は会話の形式をとっていますが、ただ「話す」ということではなく、話すという行動のベースには、『何かを伝える』という伝える側の"思い”があると考えます。
言葉の発達の歴史をみても、お互いが何かを伝え合うというのが基本にあり、それが発達して言語となり会話ができるようになったのでしょう。
この"思いの伝達”こそ、『伝える』ことの原点と思います。
現在は、SNS等が主流のデジタル社会です。今まで以上に多くの「伝える」場が増えてきている社会に私たちはいます。
伝えることが非常に盛んになった社会だからこそ、一歩踏み止まって「伝えること」と「伝わることを」を考えてみたいと思います。
Ⅱ.伝えること
「伝えること」とは、自分の意見を、自分の思いを相手方に意思表示する、自分はこうなんだと相手方に明示するなど、情報やメッセージを相手側に送り出す行為です。
私たちは、〈 話す、書く、ジェスチャー、SNS等 〉の様々な方法で日々、誰かに向けてメッセージを発信しています。
黙っていては相手方には何も届きませんので、何らかの手段で相手方にメッセージを発信することで、何かが相手に届く、その「伝える」というその扉を開けることになります。
"思いの伝達”のスタートラインでしょうか。
しかしながら、いくらメッセージを明確にしても、伝える扉を開けても、「伝える」ことが相手方に「伝わる」保証はありません。
Ⅲ.伝わること
では伝わることとは何でしょうか。
「伝わること」とは、伝えられた情報やメッセージが相手方に正確に理解されることを意味します。
これは相手方がどのようにそのメッセージを受け取り、理解する(解釈する)かに大きく依存されます。
伝える側が伝える内容を意識して明確にメッセージを発信しても、相手方の個人的な経験、文化的な背景、言語、年齢等の違いにより、多くの要因が「伝わること」に影響してきます。
その結果、伝える側の真意が相手方に伝わらないということが起こります。
先日、「千と千尋の神隠し」のロンドン公演前の舞台裏の放映を見る機会がありました。ものすごい苦労があったようですが、一番大変だったことは、言葉の違いだったそうです。
お互いが通訳を入れて意思疎通を図りつつも、言葉や文化の違いで伝えたいことが伝わらないという状況だったそうです。
Ⅳ.私たちが意識していきたいこと
『伝えること」と『伝わること』どちらが大切でしょうか?
それぞれ大切なことですが、双方にギャップがある事をわたくしたちはまず理解しないといけません
伝えるこ側がわかりやすく発言しても、相手方にとってはわかりにくい表現や内容なのかもしれません。
このギャップがお互いの意思の疎通に大きな溝をつくります。
「伝えること」とは、主は自分です。私が〇〇を伝えた、私は〇〇と言った…
これに対して、
「伝わること」とは、主は相手側です。相手側が理解した、相手側に〇〇が伝わった
つまり「伝わること」とは、相手方にとってどうだったか(どのように伝わったか)ということが非常に大切で、相手方に寄り添ってみる姿勢が欠かせません。
・メールをしていたのに見ていないのが悪い
・〇〇と指示したのに何でできないのか
・自分は○○とは言っていない。相手方がそう思っただけ
など、
日々の仕事や生活の中で言ってしまっているかもしれません。
自責ではなく他責で物事を考える典型です。
大切なことは、『伝えること』より『伝わること』です。
・あなたは「伝えること」より「伝わること」を意識しましたか
・あなたが伝えたい内容は相手にどのように伝わりましたか・
・あなたは相手方の立場を考えて話し方や内容等、伝わるための工夫をしましたか
・あたなの「伝えること」は相手に正確に伝わりましたか 等
つまり、大切なことはどのように相手方に『伝わる』かということであり、正しく伝わらない場合は、自分の伝え方(話し方や内容や資料等の提示の仕方)が最善ではなかったということに他なりません。
ⅴ.最後に
保険業界においても、保険会社と保険代理店、保険代理店とお客様、のそれぞれの間で「伝えること」が日々繰り返されています。
伝えるという行動の結果、相手方に何が伝わったのか、何が伝わらなかったのか、ということが非常に大切です。
商品が補償という目に見えない保険業界固有のサービスのため、より「伝わること」が重要で、その伝わるための努力が一層求められています。
保険代理店からみると、保険会社からのメッセージは伝わりにくいという思いが強いですが、お客様からみると保険代理店からのメッセージも同様に伝わりにくい部分も多いのかもしれません。
自分がお世話になった保険会社の時代はどうだったのか、今はどうなのかと振り返ると自己反省の多々です。
少しでも保険業界の明るい明日に向けて、「伝えること」以上に「伝わること」を目指し、電話やメールのひとひとつでも、『伝わること』を強く意識していきたいものです。
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