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「続・令和維新」官僚の働き方改革を実現するためにも

本noteは、本編の記事(「令和維新」日本の再建の鍵は"完全地方分権である")の追記記事になります。


1.国家公務員に対する長時間労働の強制は人権侵害である

24時間働けません! 若手官僚8人が探った霞が関の実態

まず、国家公務員は、労働基本権が制限されております。

労働基本権とは、①団結する権利(団結権)②使用者と団体交渉する権利(団体交渉権)③ストライキなどの団体行動をする権利(団体行動権、争議権)の3つの権利の事を指します。

民間企業でしたら、長時間労働に不満を持った場合、経営者と交渉したり、自力で改善する余地がありますが、国家公務員はそういった抗議を一切する事が出来ません


また、民間企業であっても、従業員に、合意が無いままに長時間労働を強いる事は、明白な人権侵害でありますが、他の企業に転職をする等、逃げ道が民間企業従事者に比べて限られている国家公務員に対して、実質的に長時間労働を強要するのは、さらに悪質な人権侵害です。

各省庁は、民間企業に、人権侵害と言えるような長時間労働を是正するようなルール作りを行う機関なので、そういった機関自身が、長時間労働を許容してしまえば、自ずと、社会に蔓延る長時間労働を容認してしまう事にも繋がるでしょう。


2.実際どれくらいの重労働なのか?

眠らない官僚

2019年に「官僚の働き方改革を求める国民の会」が、1000人の現役及び退官 した官僚本人を対象にとったアンケートを実施した所、65.6%が労働基準法の年間超過勤務時間上限である720時間を超えており、1000時間超えが42.3%( 過労死ラインの960時間を超える)1500時間超えも14.8%だったと言う事です。


また、有名な1日ルーティンでは、朝9時から深夜の3時当たりまで働いていると公表されております。

さらに、平時においても、そのような過酷な労働環境にも拘らず、2020年から生じた新型コロナウイルスへの対応によって、労働の過酷さが更に増してしまい、2021年1月には、内閣官房の部局で平均月122時間最も多い職員 については378時間の残業を行う事態が発生していたようです。



3.どう改革すべきか?

「国会対応」の改革案

「国会対応」・「予算要求」・「法案作成」は、官僚の三大業務と言われております。

そして、官僚の労働環境が悪化する最大の要因は、「国会対応」であるとされております。


この改革案の一つ目としては、以前のnoteで申し上げた通り、"地方分権"を断行し、国会議員の定数自体を半分以下に削る事が挙げられます。

国会議員の数が半分になれば国会対応業務の負担は半分になる事は考えるまでもありません。


次に、国会質問質問主意書についてです。

まず、その改革案を考える前に、国民も、国会議員も、"国の行政に関する質問をした所で、国は一切良くならない"という認識はすべきだと思います。

立憲民主党などは、政権の不祥事を追求したり、他の政党も様々な質問をしておりますが、"質問をするだけで、国が良くなる事は100%あり得ません"

国会議員には、日本国憲法62条に基づいて、行政への調査権が与えられておりますが、元来その規定は、"政治家が政策を作るためのもの"だと思います。


上記の前提に基けば、国会質問については、"質疑2日前の正午まで"というルールが与野党の合意で設けられているようですが、"質疑の一週間前まで"といったように、大幅に遅らせても、問題ないと思います。

何故なら、あくまでも、質問は政策を作る目的で行うものであり、切羽詰まった状況で立法しなければならない状況じゃない限りは、迅速な返答を要求する必要ありません。

同様に、質問主意書についても、回答までに一週間という縛りを設ける事無く、二週間などに遅らせ、より内容の濃い回答を行うべきだと思います。


本章をまとめると、現在の国会対応に関する制度は、立憲民主党などの"特定野党がでしゃばるための制度"であり、本来ここまで過剰に対応する必要は無いと言えます。

また、そうした野党を甘やかす制度があるから、各野党が政治に本気を出さないのです。

ですから、政党政治の根本に立ち返り、"過半数を取らなければ意味がない"という原則に則り、各野党に厳しい制度を作るという意味でも、国会質問質問主意書の回答期限の拡張は行う必要があると思います。


4.有事や外交分野でこそ、官僚に働いて貰う必要がある

2章で述べたように、平常時においても、官僚の労働時間は長く、余裕が無い状況と言えます。

ですが、本来、中央官僚と言うのは、災害や戦争などの有事や、国家の命運を揺るがす外交にこそ、注力すべき存在だと思います。

仮にそういった有事が起こった際に、長時間労働で酷使され、へとへとになった職員が対応したら、どうなるでしょうか?

結果は考えるまでもありません。

ですから、有事において、最大限のパフォーマンスを発揮してもらうためにも、平時においては、官僚の全職員完全週休二日制で、全員定時に帰らせるような改革急務だと考えます。


まとめ.

過去のnoteでも、何度も申し上げている通り、今の日本は、社会保障費が拡大しすぎて、各省庁の予算や人員はそれに伴い削減され続けております。

社会保障費の削減は、現実問題厳しいため、年々その予算の減少の様相は悪化していくのは明らかです。


そういった現在の状況も顧みて、地方政府への立法権と歳入権の移管を実現する"地方分権"が、真の国家公務員の働き方改革にとって重要な基盤になることは間違いありません。

ですから、国家を担う貴重な国家公務員達を、長時間労働から救い出すためにも、日本人は立ち上がる必要があると思います。


参考文献.

・ブラック霞が関(新潮新書)

・職業としての官僚 (岩波新書)


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