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リバイバル

リバイバル…

Googleさんに言葉の意味を問い合わせてみると…

古い演劇・映画・歌謡曲などが、再演・再上映されること。また、昔の風俗・流行などが、復活・再評価されること。「-ソング」

Google より


なるほど、何となくリバイバルって言葉を聞いたりしてたけど、細かいニュアンスまでは意識したことない。

改めて言葉の意味を理解できた。

リバイバルではないんだろうけど、衣服の流行も新しい主流を生み出しつつも古きを大事にして、上手く融合しながら新しいファッションが生まれてるのではなかろうか。

温故知新…ってやつか?

決してファッションに詳しくない人間の意見だから、全くあてにならない推測だけど。

昔のことを学びつつ、大事にしつつも、新しきことにアップデートしていく…。

自らのやり方も付け加えながら…。

何となく、あらゆる事柄にも必要と言えるものなのかも。

何ちゃって。

2011年のサマーソニック、前年のヘッドライナーがヒップホップ/ソウル系のジェイ・Zとスティービー・ワンダーだったのに対し、この年はロック系のアクトがヘッドライナーになった。

一組目のアクトはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、もう一組のアクトは2000年代の初頭に登場し、「ロックンロール・リバイバル」の立役者とも言われ、後に出てくるバンドにも影響を与えたザ・ストロークスというバンド。

アメリカはニューヨークで結成された5人組のバンド。

・ジュリアン・カサブランカス(Vo)
・ファブリシオ・モレッティ(Dr)
・ニック・ヴァレンシ(G)
・アルバート・ハモンド・ジュニア(G)
・ニコライ・フレイチュア(B)

ストロークスは最初、アルバート以外のメンバーでバンドを組んでいたところにLAからやってきたアルバートが加わり、ザ・ストロークスを結成する。

2001年にイギリスのラフ・トレードで「ザ・モダン・エイジ」という3曲入りのEPを発表したことがきっかけで、イギリスで人気に火がつき音楽誌にも絶賛されるなど、その音楽性が世に出ようとしていた。

そして2001年8月…

ソウル系やR&B、ラウド系やヘヴィ系のロック、ミクスチャーロックにラップなどがチャートの全盛を誇っていたシーンに、レトロな音作りと自らの芸術的側面を作品に落とし込み、懐かしさと同時にモダンな響きを聴かせてくれたアルバムが発表された。

「IS THIS IT」

① イズ・ディス・イット
② ザ・モダン・エイジ
③ Soma
④ ベアリー・リーガル
⑤ サムデイ
⑥ アローン、トゥゲザー
⑦ ラスト・ナイト
⑧ ハード・トゥ・エクスプレイン
⑨ ニューヨーク・シティ・コップス
⑩ トライング・ユア・ラック
⑪ テイク・イット・オア・リーブ・イット

2001年に発表されて、最初は本国アメリカよりもイギリスやヨーロッパ圏内で売り上げを残し、後にアメリカでも売り上げをじわじわと伸ばす格好になった。

そのレトロでクラシックな音造りに、ある種の都会の洗練さを加えたバンドサウンドは懐古的でもあり、現代的でもある。

ロックンロールリバイバル…

ストロークスの登場と共にそのようなムーブメントも起きた。

昔のロックなサウンドを現代になり響かせ、あくまでも模倣にならずアップデートをし、自らのバンドサウンドに構築していく。

ホワイト・ストライプスや、オーストラリアのバンドJETなどもこのムーブメントの筆頭ともいえる。

どのバンドも独自の音を構築していて、決してひとくくりにはできない。

そしてアメリカからもイギリスからも次々とロックなサウンドを響かせるバンドが登場していった…。

2000年代の初頭はそんなイメージがある。


アルバムの1曲目は、アルバム名の名を冠した「イズ・ディス・イット」から始まる。

冒頭に何かを巻き戻すような音から始まる。

そして、ドラムのシンプルな8ビートが鳴り響き、ジュリアンの少し気だるそうに、だけど丁寧に歌う声が、曲の確信をつくかのようにして幕を開ける。

サビの部分で繰り返す

Is This It?  これがそうなのか?
Is This It?  これがそうなのか?
Is This… It? これがそう…なのか?

The Strokes IS THIS IT 一部歌詞 和訳 岡本将生氏 より

ロックの原理的な部分を冒頭の巻き戻し音で表現し、サビの部分での繰り返しであたかも当時のシーンへの返答、そしてアルバムのイメージをそのフレーズで決定づけたかのような曲だ。

曖昧にこれがそうなのか?っと解釈し、あくまでもシンプルに醸されるサウンドのインパクトは絶大だ。

一曲目としてこの「イズ・ディス・イット」は、明確にアルバムの世界感を示し、インパクトを植え付けるのに一役買ったと…勝手に思っている。

2011年のサマソニでも一曲目はこの「イズ・ディス・イット」から始まった。

今でも忘れられない思い出だし、あのイントロが鳴った瞬間の歓喜は今でも覚えている。

そして「イズ・ディス・イット」で示された音楽感は2曲目の「ザ・モダン・エイジ」でより明確にしていく。

モダン・エイジは直訳すると現代っという意味になるんだそう。

この曲順にストロークスのセンスの良さみたいなものを感じた。(俺だけ?)

昔ならではのロックなサウンドを、自らの血肉にしてこれがそうなのかと提示した音は、モダン・エイジ、現代に鳴り響かせるものとして、曲のタイトルで答え合わせをしたかのように思われる。

ザクザクと刻むドラムのビートと、ギターのカッティング音から始まり、ジュリアンの物憂げに、しかし情熱的にサビの部分で


Don’t Want You Here Right Now、
Let Me Go
Let Me Go。
今は君を欲しくないから
行かせてくれ
行かせてくれ。

The Strokes The Modern Age 一部歌詞 和訳 岡本将生氏 より


と歌う姿は印象的だ。

ギターソロでのニック・ヴァレンシの演奏も見逃せない。

レトロでいつつも、洗練され都会的なサウンドは現代にも堂々と闊歩できるものなんだと、この①~②曲目の流れが提示してくれたようにも思われる。

完璧な流れなのではなかろうか?

何てね。

そして⑤曲目のサムデイ。
 
何処か懐かしさを感じさせてくれる軽快なナンバー。

爽やかさを演出しつつも切なさが見え隠れする。

ジュリアンの感情を上手く込めた歌声がそう感じさせるのだろう。

多分彼女との別れを歌ったものと思われ、歌詞の最後が…

Oh、Someday…
No,I can’t Wastin’ No More Time.
ああ、いつの日にか…
もう俺は時間を無駄にしない。

 The Strokes Someday 一部歌詞より  和訳 岡田将生氏

っと締めくくられている。

とらえ方は人それぞれにせよ、歌の主人公が前を向くさまが歌詞に表れているような気がしてならない。

ジュリアンの歌い方もこの部分は、抑え気味に入りながらも、最後は力を込めて歌いきっている。

感情の雌伏や、浮き沈みを上手に表現をしているんではないかと、勝手に解釈したりしているんだが…さてどうなんでしょう。

曲は、後ろで鳴り響くギターをかき鳴らす音と、ドラムのスネアとバスドラの音が余計に感情に拍車を立てる。

ストロークスの中でも人気のナンバーである。

そして⑦曲目のラスト・ナイトも人気のナンバーだ。

このアルバムの中でも、ジュリアンの歌に対するエモーショナルな歌い上げ方が、聴いていて一番好きな曲かもしれない。

当時ジュリアンは23歳前後かな。

なのにこのドスの効いた歌い上げ方は何だろう…

妙に印象に残るナンバーだ。

縦ノリの良いリズム感で、(ドラムのファブリシオの貢献度が良いのかな?)ガールズとの会話から、部屋を出ていき、その自分でもよく分からない気分を上手くジュリアンが演出していて、感情を熱くさせてくれる。

ツインギターのニックとアルバートのギター音も乾いた感じを演出してくれているようにも思えた。

途中で入るアルバートのギターソロがやりきれない複雑な気分を、音として表現してくれているようにも思えてならない。

いずれにせよ、曲の入りだしからエモーショナルに歌い込むジュリアンのヴォーカルが印象的なナンバー。

ひょっとしたらアルバムの中で一番好きかも…。

次の⑧曲目の「ハード・トゥ・エクスプレイン」も2011年のサマソニでも演奏していた人気のナンバーだ。

ザックザクとリズムを刻んでいき、ニューウェーブの影響も受けたのではと思われるような早急でリズミカルな曲で、ライブでは大変盛り上がる。

ダイナミックさを感じさせて、何度も書くようだが、ツツツッ…と刻まれるリズム感がノリを良くしてくれる。

そしてジュリアンの声も、CDで聴いていて声の張りつき方というか…、よりマイクと声の近さを感じる歌声になっている…気がする!

途中、字余りみたいな感じで曲が止まり、そこからまた再びリズムを刻み始まるのが何とも癖になる。

ハード・トゥ・エクスプレイン…

説明がつかない、難しいっというニュアンスの意味らしい。

抽象的で説明のつかない自らの感情やものを、早急なリズムやストップ&ゴーの間で表現をしているのかな。

今聴き返してもリズム感が耳に残るナンバーだ。

なので、この⑦~⑧曲目の流れも聴いていてアルバムのハイライトにもなる箇所なんじゃないこと思っている。

他にもパンクの影響を感じさせる⑨曲目の「ニューヨーク・シティ・コップス」や、ベースラインが前面に出て、ジュリアンの歌声と上手くマッチしているラストナンバーの「テイク・イット・リーブ・イット」など、印象に残る曲は全部といっても過言ではない。

2011年のサマソニでもよく「IS THIS IT」からのナンバーをプレイしていた記憶がある。

それだけ印象に残るアルバムだったし、記憶に残るものだったという事なのかな。

そしてアルバム全体に言える、シンプルでいてプリミティブに、都会的なセンスで懐かしさも感じる音作りは、アルバムトータル時間が36分弱と短めなことも手伝って非常に聴きやすい。

ジュリアンのヴォーカルもその印象に一役買っている気がする。

憂いや虚しさを含めつつも、時に感情を全面に出し、激しく歌う時もあり、
それがストロークスの印象を特徴づけている。

サウンドの構成がシンプルな分、ファブリシオのドラミングや、ニックとアルバートのギターサウンド、ニコライのベースプレイなどはっきりと聴こえてきて実に、バンドサウンドのダイナミズムを感じさせる。

まさしくそれ以降の流れを作ったバンドのデビューアルバムとしては打ってつけの1枚だったのではなかろうか。

レトロでクラシカルなんだけど、巧みにアップグレードし、モダンさもはらんだ見事なアルバム…。

そんな印象か。

ザ・ストロークス

好きなバンドだ。

ちなみにストロークスは現在6枚のスタジオアルバムを発表している。

2020年発表の最新作「ザ・ニュー・アブノーマル」はバンドとして初のグラミー賞を獲得している。

自らのアイデンティティを失わず、進化した音楽性は見事としか言いようがない。

いつまでも聴き続けたい。

そして2023年の夏、フジロック初日のヘッドライナーとして日本に降り立つ。

多分2011年のサマソニ以来なんじゃなかろうか…

果たしてどういうギグを披露するのだろうか…

ストロークスが日本の地に降り立つというだけでも喜びを感じる2023年の夏…。

実に興味深い!



・ラスト・ナイト
・ザ・モダン・エイジ
・ハード・トゥ・エクスプレイン
・サムデイ
・アンダー・カヴァー・オブ・ダークネス(4枚目のアルバムAnglesより)


デビューアルバム「IS THIS IT」より4曲、そして2011年当時最新作であった「Angles」よりシングル、「アンダー・カヴァー・オブ・ダークネス」。当時のサマソニでも披露し、好きで印象に残っている曲なので動画につけてみました(笑)

よろしければご視聴下さい!

記事を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!

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