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日本人が好きな“俯瞰図”!アニメーションの源泉??

さて、これ↑は16世紀後半のネーデルラントの画家ピーテル・ブリューゲルの《雪中の狩人》という作品です。月歴画連作のひとつで1年を12に分けてそれぞれの風景や労働を描いたものです。

冬の雪のなかで狩りをするという“場面”を切り取って、斜め上から俯瞰するように情景が描かれています。このような構図をもつものを、“俯瞰図”といいます。

俯瞰図といえば
日本人の作品にもとても有名なものがあります。

これです。↓

↑葛飾北斎《富嶽三十六景 》(1831~1834)
これは江の島周辺からみた富士山の風景で、俯瞰図の代表的なものです。

実はこれよりもずっと前から日本では俯瞰図が描かれてきました。

古いもので有名なのが↓

↑《源氏物語絵巻》
この画像は物語の一部ですが、
本作品は巻物になっていて、時系列は右が過去、左に行くにつれて時間が進むという流れです。場面ごとに切り取って物語を描くのは西洋に見られる手法ですが、“巻物”に描いたり、“俯瞰図”の構図を用いるのは、日本美術の特徴のひとつと言えます!
そして左側には余白がおおく(草などは描かれているので正確には余白ではない)取られていて、右側に男女二人を描くというセンスは、なかなか他の国では見られないのではないでしょうか

他には
室町時代に描かれたこちら↓

↑《天橋立図》雪舟(1501)
このような水墨画は中国の影響が強いのですが、風景は天橋立で日本であり、当時の水墨画でここまで全体像を捉えていて奥行きがあり、かつ神秘的なものは類をみないです。自然への畏怖も感じられます。

そして
最初に紹介したピーテル・ブリューゲルの作品と同じ頃、日本は桃山時代でした。
その頃の代表的なもので↓こちら

↑《洛中洛外図屏風 》狩野永徳16世紀後半
屏風にきらびやかでとても繊細に描かれています。
近寄ってみると町人の活気が感じられ祭事の様子が生き生きと伝わってきます。離れてみると町の寺院や屋敷が金雲とともにまとめあげられています。

ここまで見てきて
全体を通して思うことは
日本の“俯瞰図”は
主役が人だけではない
ということです。

ピーテル・ブリューゲルの作品は
俯瞰図でありながら、狩人にまず目がいきます。
狩りをする“人”を描くというところからは
抜け出していないと思います。

このころの西洋の作品は
人間性を追及していたので
描かれる対照も人間が主体でした。

しかし、
日本の俯瞰図はじめ、その他の作品含めても
どうでしょう。
木々の美しさ、滝の流れる様子、町衆の活気、
そのなかに人物が溶け込んでいる。
(もちろん中国の影響はあります)

“場面”や“物語”の重要性。

日本のアニメーションや漫画の素晴らしさは
“物語”の構想がずば抜けていることだと思います。
そして人物が生き生きとしていて、背景と溶け込み、まるでその人物がこの世に生きているように、もしくは自分がその世界に入り込んでしまうような感覚を覚えます。

私たち日本人が何百年かけて築いてきたセンスは
21世紀でしっかり華開いていると感じます!

読んでいただき
ありがとうございました。

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