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『人間の建設』No.16 数学も個性を失う №4
小林 それが数学は抽象的になったということですね。そういう抽象的な数学というものは、やはり積木細工のようなものですか。
岡 いろいろな概念を組合わせて次の概念をつくる。そこからさらに新しい概念をつくるというやり方が、幾重にも複雑になされている。その概念を素朴な観念に戻しても、何に相当するのか、ちょっとわかりません。
数学と個性ということについての対談が続きます。
現代(当時)の数学の世界が、概念に概念を積み重ねていく積木細工のようになっていてますます抽象的な度合いを深めている。
すると、一番下の積木から理解していかないと、天辺の積木のことがわからない。そして積木がますます高くなっているというのです。
数学を専門とする人が、大学、院と学んでもまだ時間が足りない。これではやっていけなくなる。「いまが限度だ‥‥‥もういっぺん考え直さなければいかぬ」と岡さんは言います。
数学において個性を発揮しようにも、その前に学ばなければいけないことが多すぎるのでままならないのですね。
この対談からすでに数十年という歳月が流れているのですが、現状は一体どうなっているのでしょう。素朴な疑問が湧いてきます。
話はなお続きますがそれは次回に。
――つづく――
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