夏目漱石「カーライル博物館」
カーライルというのはイギリスの評論家、歴史家。
ドイツ文学を研究し、後に『衣装哲学』『英雄及び英雄崇拝論』などで物質主義を批判、英雄、天才の優越を説いた。
なお、「沈黙は金」は元々カーライル『衣装哲学』の言葉である(正確には「雄弁は銀、沈黙は金」)。
彼の住んでいた家が今は博物館になっている。それを漱石本人を思わせる「余」が尋ねる話。
ちょっとしたイギリス観光でもするつもりで読むといいようだ。
(追記)個人的には
この、世を嫌った引きこもり思想家カーライルの立てこもった四階の部屋の描写が、カメラで撮ったように鮮やかなことに驚いた。小説に限らず、文章を書くときの見本になる。