大胸筋のスタティックストレッチ[sstr-sa-001]
走るための身体の準備の専門家
ABCR菅原航陽
によるコンディショニングシリーズ
今回は
大胸筋のスタティックストレッチ
をお届け致します。
「肩甲骨が動かない」
「どうしたら肩甲骨を使って腕振りが出来ますか?」
という質問、本当に多く頂きます。
それにお答えする際、まずはこのストレッチから始めてもらうことが大半です。
肩甲骨の動きというのは
挙上(上に挙げる動き) ⇔ 下制(下に下げる動き)
外転(外側にスライドさせる動き) ⇔ 内転(内側にスライドさせる動き)
の4方向の動きが基本となるのですが、走るという動作の中で特に「肩甲骨が上手く使えない」という状態は、内転下制が上手く出来ない場合が非常に多いと思います。
それはなぜかというと、まずは多くの方は
外転挙上
の方向に引っ張られたまま固まっている場合が多いからです。
そのうち、外転の動き、
⇒つまり、「胸を閉じる」ような動きに強く関与するのが
大胸筋
です。
以前も度々書いたかもしれませんが、筋肉にはその筋肉の逆の機能を持つ「拮抗筋」という筋肉が存在し、今回の話で言えば
動かしたい(肩甲骨を内側に寄せる)筋肉(主働筋):菱形筋
⇔ブレーキ役として働く筋肉(拮抗筋):大胸筋
となるので、まずはこの強く効きすぎている大胸筋を緩めてあげることで、肩甲骨の内転を出しやすくするという準備が必要な場合が多いのです。
ということで、詳しく見て行きましょう。
☆伸ばす筋肉☆
大胸筋(上部線維、下部線維)
言わずと知れた、ベンチプレスや腕立て伏せ等で鍛えることの出来る筋肉ですが、上部線維と下部線維に分かれており、また放射状に配列された筋肉ですので、伸ばし分けが可能です。
☆やり方☆
①壁や柱等、段差のある物の真横に立ちます。
そしてまずは肩の水平ラインよりも高いところに手の平を付き、そのまま逆方向に向かって身体をツイストして行きます。
そこから目線を斜め45°下方向に向け(手と対角線になるように)、最後に首のツイストを深めて行きます。
この時、肩甲骨を軽く寄せるような意識=鎖骨の下にスペースを作るような意識をして、また腰が反らないように骨盤を立てておきましょう。
これで大胸筋の下部線維が伸びるはずです。
表から
②次に、手を肩の水平ラインよりも下に置いて、同じようにツイスト→最後に目線を斜め45°上方向に向けて首のツイストを深めて行きましょう。
同じ要領で大胸筋の上部線維が伸びるはずです。
このパターンの時には特に鎖骨の下のスペースを広げるイメージを強く持てると伸び感が強くなります。
前から
☆ポイント☆
1.腰が反らない / 肩甲骨を軽く寄せる / 肩が上がらない
→これらの代償動作が出てしまうと上手く伸びません。
2.頚のツイスト+胸式呼吸でリラックスしながら行う
→身体全体のツイストだけで伸ばそうとすると、1のような代償が出やすくなり、また力んでしまうことによって交感神経が優位になり、筋肉が上手く緩んでくれなくなります。
胸式呼吸が無理なく出来る深さで、息を吸ったときに胸郭が広がることで少しずつストレッチ感が強くなるようにして行ってみましょう。
☆+ワンポイント☆
デスクワークが中心の方はどうしてもキーボードやマウス操作等で胸が閉じた姿勢になってしまいがちなので、仕事中、休憩の都度にこのストレッチを軽く入れるようにしたいものです。
また身体の前面の筋肉のテンション(緊張度合い)が高く身体が前に閉じがちになると、副交感神経が優位になりがちで、呼吸のバランスも呼気が強く吸気が弱くなり、ため息がちになって気持ちも沈みやすくなったりします。
気分のリセットをする方法としても効果的でしょう。
この大胸筋のストレッチと併せて、
も一緒に行っておくと、更に肩が内側に入りにくくなると思います。
人によってどちらが効果的かがそれぞれ分かれるのですが、だからこそどちらも行うようにしておきたいです。
☆但し書き☆
身体の構造的な個人差や様々なパーツとの連動、タイミング等、走りを作る要素は非常にたくさんありますので、全てのエクササイズや動きの説明については、あくまでも一般的なこととして記載しております。
全ての方に同じ説明・同じ方法が当てはまるものではございませんので、ご質問等ございましたら
までお待ち致しております。
「ただ走る」だけでなく、「走るための身体の準備」も併せて行うことが、より走りを楽しむために大切なことを広く伝えて行きたいと思っております。 よろしければサポートをお待ちしております!