内転筋群のスタティックストレッチ[sstr-hj-003-03]
走るための身体の準備の専門家
ABCR菅原航陽
によるコンディショニングシリーズ
今回は
内転筋群のストレッチvol.3
を紹介します。
前回の記事まで、「○○○の目的で使える」みたいなことを書いていましたが、目的は様々なのと、中途半端に言葉にしてまとめようすると難しくなり過ぎるので、そこはどうでもいいやということで…。
どんな時に使うか等は、実際にパーソナルでのコンディショニングセッション内では個別の状態に合わせて解説しますが、ここでは割愛して行くことにします。
その辺りの葛藤があって、今まで何年もの間「動画配信してください!」というリクエストがたくさんあったにも関わらずこういう記事を書いていなかったのですが(笑)
さて、余談はこのくらいにして、少し本題的な部分。
大腿筋膜張筋のストレッチ等の投稿でも書きましたが、股関節の内転内旋筋群のテンションが高い(張りが強い)と、knee-in(膝が内に入る)という動作の崩れを引き起こしやすくなります。
足部アーチの崩れからそれが起こりやすくなる場合もありますし、殿筋群(股関節外旋筋群)の機能・筋力不足からアーチの崩れが大きくなることもあり、それらはどちらも足を引っ張り合って悪循環への王道となりやすい連鎖になります。
トレーニング系の種目でその崩れを予防する前に、「使いたい部位(主動筋)を使いやすい状態にする」ために、逆の機能を持った筋肉(拮抗筋)のオーバートーン(過活動)を緩めておくという事の組み合わせと繰り返しで、徐々に本来行いたい動作を定着させて行けるようにという考え方で進めて行きましょう。
☆伸ばしたい筋肉☆
・大転筋群
☆やり方☆
①脚を前後に開いて片膝立ちになります。
②上半身を屈め、両手を膝の内側の地面につきます。その時、伸ばす脚と反対側の手を少し前に出しておくと伸び感を感じやすくなります。
③その姿勢から、上半身が起き上がらないようにしながら膝を伸ばして行きます。つま先を持ち上げて足首が90°の形になっていると伸びを感じやすくなります。
※かなり柔軟性の高い方だと膝が伸びきってもストレッチ感を感じにくい場合がありますが、そこまで柔軟性が高くない方であれば、膝が伸びきる前にストレッチ感を感じると思います。もし感じにくい場合、上半身が起き上がってしまっている場合がほとんどです。
☆ポイント☆
1.屈んだ姿勢から上半身が起き上がらないようにする。
※起き上がってしまうと伸び感を感じにくくなります。少し背中を丸めてでも深く屈んでおいた方が伸びやすくなります。
2.膝が外に流れ過ぎないようにする。
※大内転筋は股関節の外旋機能を持っているので、膝が外に流れる=股関節の外旋が起きると伸びにくくなります。
3.骨盤の平行を保つ。
※膝を伸ばして身体を後ろ方向にスライドさせたときに伸ばしている脚と逆側の骨盤が開くような動きが出ると伸びにくくなったり、別の部位に伸び感が出やすくなります。
そのために逆の手を少し前に出して、骨盤の回旋を抑えてあげると良いでしょう。
☆+ワンポイント☆
このストレッチでは、主に大内転筋を狙っていますが、手の位置を膝の両側に置くと
ハムストリングス付け根側のストレッチ
になります。今回のストレッチでもハムストリング全体に伸びが来てしまう方は、ハムストリングス全体の柔軟性を向上させてから改めて大内転筋に絞ったストレッチを行うようにすると、少しずつ伸びるようになるかもしれません。
またこの大内転筋は非常に強い筋肉であり、外側荷重(足の外側に乗ってしまう)を防ぐために使えるようにしておきたい筋肉でもありますので、このストレッチだけでなく
Frog exercise
等で使い方を再教育することも併せて行うようにすると良いでしょう。
☆但し書き☆
身体の構造的な個人差や様々なパーツとの連動、タイミング等、走りを作る要素は非常にたくさんありますので、全てのエクササイズや動きの説明については、あくまでも一般的なこととして記載しております。
全ての方に同じ説明・同じ方法が当てはまるものではございませんので、ご質問等ございましたら
までお待ち致しております。
「ただ走る」だけでなく、「走るための身体の準備」も併せて行うことが、より走りを楽しむために大切なことを広く伝えて行きたいと思っております。 よろしければサポートをお待ちしております!