肩関節内旋筋群のスタティックストレッチ[sstr-sa-002]
走るための身体の準備の専門家
ABCR菅原航陽
によるコンディショニングシリーズ
今回は
肩関節内旋筋群のスタティックストレッチ
をお届け致します。
肩が内側に巻いて入り込んでいる、いわゆる「巻き肩」と言われる状態の主な原因として、肩関節を内旋させる筋肉の過緊張が挙げられます。
それは前回、大胸筋のストレッチの回でも解説した通り、肩甲骨の内転下制の動きに対してブレーキをかけてしまうような姿勢となります。
またそれら身体の前面・後面の筋筋膜のテンション(張力や緊張)のバランスの崩れは、
・腕振りが外に流れてしまったり後方や正中線(身体の中心線)に向かって引けない
・パワーポジション(地面からの反発をより効率よく受けて返せるポジション)の崩れ
・胸郭が狭まることにより呼吸が苦しくなりやすい
・呼吸のリズムが小さくなること等からくるストライドの狭小化
等々、挙げるとまだまだキリがありませんが、たくさんの弊害を引き起こす原因となります。
正直「肩甲骨が内転下制ポジションに引っ張られ過ぎて前に出にくい」という方は今まで見たことがなく、
「肩甲骨はめちゃくちゃ動くんですが」
という方でも、半分は体幹のstabilityが弱く、腰椎胸椎の過伸展(反りすぎ)で肩甲骨が動いているように見えるが代償が大きく、結果胸郭の動きに制限があり過ぎる、、、
というパターンが非常に多い印象を受けます。
ごちゃごちゃ言い過ぎましたが、要は人間、かなり意識的に動かす、使う、緩める努力をし、且つそれを筋肉と脳が正しく表現出来ていなければ、大抵の方はこの現代生活の中でそういう姿勢や機能になってしまってますよということです。
ということで、そういった姿勢や動作の修正のための準備、筋の再教育の準備として、肩の内旋方向への引っ張りを緩め、外旋方向へ動かしやすくしましょう。
四十肩五十肩に対しても、その症状が出る前の予防として非常に大切ですよ。
☆伸ばす筋肉☆
・肩甲下筋(肩甲骨の内側にへばりついている筋肉)
・大円筋(上腕骨の上の方前側~肩甲骨裏面についている筋肉)
・広背筋(背中の大きな筋肉ですが、実は肩関節の内側方面への機能を持つ筋肉)
・三角筋前部線維(肩の大きな筋肉の前側)
と、色々挙げましたが、感覚としては
「肩の奥の方」と「肩表面の前側」
が伸びる感覚があればOKです。あと大胸筋も。
(この部位の解説写真があまりに大雑把すぎる気がしてきたので、必要に応じて少し修正するかもしれません。。。)
☆やり方☆
①壁や柱等、何か段差のある部分の真横より少し後ろに立ち、肘を90°に曲げた状態で、肩の水平ラインよりわずかに肘の方が低い位置で肘を当て、手のひらまでその段差につきます。
この時、足の位置、立つ位置は、大胸筋のストレッチの時よりもやや下がり気味の位置に立った方が伸ばしやすくなります。
②そこから肘を置いている側とは逆の足を一歩前に出し、その足に向かって体重をかけて行きます。
こうすることで、肘を支点として相対的に手が後ろ方向に持って行かれる状態を作ります。
頚を丸めて目線を下に落とすと、体重が掛けやすくなり、腰の反りを抑えやすくなります。
大胸筋のストレッチに比べて少し感覚がわかりにくいと思いますので、伸び感を感じやすいポジションを各自探しながら行ってみて下さい。
☆ポイント☆
1.腰が反らないこと
↑結構ほとんどの種目でこれが大切なので割愛します(笑)
2.肘を90°にして、手の平をしっかりと開ききって全体をついておく
→特に手の親指側が離れると肩が外旋しきらず伸び感を感じにくくなります。
3.足の位置はそれぞれの身体に合った位置で
→骨盤の前傾度合いや脊柱の弯曲具合等によって体重のかけやすさが違うので、各自探しながらやってみて下さい。
☆+ワンポイント☆
前回ご紹介した
大胸筋のスタティックストレッチ
や、その他肩甲骨周囲の各方向へのストレッチとして
大円筋・小円筋のストレッチ
肩甲挙筋のストレッチ
更には頚部や脊柱周囲、胸郭等、肩甲骨周囲というのは周囲との連動が大切なので挙げるとキリがありませんが、今後の投稿でご紹介する様々な種目と併せて行ってみてください。
また、伸ばすだけでなく逆方向=肩関節の外旋筋群や肩甲骨内転・下制に関わる筋肉のトレーニングとして
・肩関節のチューブ外旋トレーニング
・ストレッチポール肩、肩甲骨シリーズ
等も併せて行うと効果的です。
☆但し書き☆
身体の構造的な個人差や様々なパーツとの連動、タイミング等、走りを作る要素は非常にたくさんありますので、全てのエクササイズや動きの説明については、あくまでも一般的なこととして記載しております。
全ての方に同じ説明・同じ方法が当てはまるものではございませんので、ご質問等ございましたら
までお待ち致しております。
「ただ走る」だけでなく、「走るための身体の準備」も併せて行うことが、より走りを楽しむために大切なことを広く伝えて行きたいと思っております。 よろしければサポートをお待ちしております!