BtoB事業 利益の源泉(2)「実現可能性」
前回の記事はこちらから。
前回は、BtoB事業におけるコト消費やソフト重視という言葉を盲目的に信じることへの疑問を投げかけさせてもらいました。
今回はその疑問から一歩踏み出し、具体的な事例を通じて、BtoB事業で成功するには、どのような戦略が必要となるのかをを考えていきたいと思います。
構想より難しいのが「実現方法の発見」(建設業界を例に)
一番の問題は、「コト消費ビジネス」を構想できるかよりも、その構想を「きちんと実現できるか」です。
実現を阻む課題はいくつかあります。
例えば、建設業界を例にとってみましょう。
土地のオーナー(施主)が、所有する土地にあるオフィスビルを建てる計画を考えています。ラフな段階ではこういう計画です。
今時は環境に配慮してないとテナント(=エンドユーザー)からの視線も厳しい。逆にきっちりと環境対応していればテナントにPRができる。ちゃんとテナントから評価されるには、世間が認めている基準でやらないといけないな。
そうなると、こういう話が出てきます。ZEBと呼ばれる建物です。
国が定めたエネルギー使用量の基準、その基準内の建物はZEBを実現したビルだと謳うことができます。そうすればエンドユーザーへ環境を配慮した建物としてのPRが可能です。要するに国がお墨付きを与えてくれるのです。うまくいけば補助金も出るので、せっかくならこういう制度を使って建物を建てたいとオーナーさんは思うことになります。
さて、ここで実際にZEB対応するには何が必要でしょうか?
建物でエネルギーを実際に使用するものを想像するコト自体は、その道の方でなくともそんなに難しくはないかと思います。例えば、照明や空調設備、換気扇、給湯器やエレベーターなどが考えられます。
それから再生可能エネルギーを生み出すものもを使って、建物トータルのエネルギー使用量を下げる方法もあります。ソーラーパネルやソーラーパネルが作った電気を貯めておく電池などが対象です。
それからエネルギー使用量を計測したりコントロールしないといけませんので、コントローラーが必要です。ざっくりと言えば、ビルエネルギーをコントロールする専用のコンピューターです(BEMSなどと呼ばれたりします)。
https://tenbou.nies.go.jp/?id=16
要するにZEB実現には3つのピースがあります。
①エネルギーを消費する設備
②エネルギーを創出する設備
③エネルギーをコントロールするコンピューター
この3ピースです。ここで問題です。
では、自分がオーナー向けに何かを提案する立場だとしたとき、「ソフト戦略」「コト消費」な提案とはどのようなものでしょうか?
直感的に言えば、この「③エネルギーをコントロールするコンピューター」の提案こそがソフト戦略でありコト消費につながるように見えます。
しかし残念ながらこれは本質を捉えていません。
コンピューターそのものはハード・オブ・ハードですので。それではコンピューターの中の「ソフト」に価値があるんでしょうか?確かにそう考えるのは自然なことかもしれません。しかしながら、本当に「ソフト」による成功がまちうけているとは限らないのです。
今日はここまでとなります。次回は、「ソフト」に待ち受ける失敗の落とし穴について詳しく解説していきます。
ということでまた。