北里のえ

オーストラリア在住25年。『小説家になろう』『カクヨム』で物語を書いています。リラック…

北里のえ

オーストラリア在住25年。『小説家になろう』『カクヨム』で物語を書いています。リラックスして読めて明るい気持ちになるハッピーエンドの物語を目指しています。砂糖大増量の溺愛恋愛小説を書きたいです。©Noe Kitasato, 2023. All Rights Reserved.

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初めての書籍

来月9/3に私の初めての書籍『悪役令嬢はシングルマザーになりました~ 双子を引き取りましたが公爵様からの溺愛は想定外です』がアイリスNEO様より発売になります。 昨年、一迅社様の『第2回アイリス異世界ファンタジー大賞』で銀賞を受賞させていただいたことで書籍化という夢のような機会につながりました。 私がなぜ物語を書くようになったかといいますと… 数年前に軽い脳梗塞を経験しまして、それまでの激務から退くことになりました。 仕事、家事、子どもたちの世話など、とにかく忙しい毎

    • どうやったら英語が話せるようになりますか?

      私は二十年以上通訳翻訳の仕事をしてきました。 日本の某企業で社内通訳をした後、オーストラリアに移住しフリーランスの通訳・翻訳者として働いています。オーストラリアにはNAATIという通訳翻訳の国家資格があり、日英の会議通訳者とプロ翻訳者の資格を持っています。 G20サミットなどの国際会議から国際映画祭の受賞スピーチの通訳まで、本当に色々な分野で通訳をしてきました。 刑務所とか裁判所とか難民キャンプとか鉱山とか、普通の人が近づけない場所にも通訳として行く機会がありました。オ

      • 『はしるはしる』気持ち―夢中になって本を読む

        『はしるはしる僅かに見つつ、心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人もまじらず、几帳のうちに打ち伏して、引き出でつつ見る心地、妃の位も何にかはせむ』 (断片的に読んでもストーリーがよく分からず、もどかしく思っていた源氏物語をようやく一巻から手に入れて、誰にも邪魔されず、心躍らせて几帳の中で横になって取り出して読む心地は、后の位なんて比べ物にならないくらい尊い) 更級日記の有名な一説です。確か中学生の時にこれを読んで「分かるっ!」と共感しまくっていたのを覚えています

        • オーストラリアでスターバックスが成功しなかった理由

          私が初めてオーストラリアに来たのは1990年代のことでした。 旅行では世界各地に行ったことがあるけれど、本格的に「住む」のは初めての経験でした。 住居を決めて、荷物を運びこみ、生活必需品を買いそろえて・・・。 ああ、疲れたな。ちょっとコーヒーでも飲みたいな、と近所のカフェに行った時のこと。 その当時、私はコーヒーくださいと言えばなんとかなると思っていました。もしくはブレンドとかアメリカンとか、恥ずかしながらそれくらいの知識しかなかったのです。 カフェの注文口で「コー

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        初めての書籍

          中勘助について

          注:写真は京都で食べたおばんざい。記事とは特に関係ありません。 私は数年前に軽い脳梗塞で倒れるまで、オーストラリアの大学で非常勤講師をしていました。 そこで大学の教授をされているA先生と出会ったのです。 A先生は日本文学の権威とされるほどの業績をお持ちの方で、彼女から本当に沢山のことを教えて頂きました。 A先生の研究は実に多岐に渡っていました。古典文学から現代文学、漫画やラノベまで。 私は大学の卒論テーマが源氏物語だったので、最初は源氏物語の話で親しくなりました。

          中勘助について

          うちに猫がやってきた

          現在、我が家には一匹の猫がいます。 食いしん坊で暴れん坊。そして、とても甘えん坊なミケ(仮名) 彼女が我が家に現れたのは2022年4月のことでした。もうすぐ二年経つのかと思うとビックリです。 本当に唐突にうちの家の軒先に現れました。 近所には猫が多く、オーストラリアでは基本的に放し飼いなので、きっとどこかの飼い猫だろうと軽く考えていました。 説明が難しいのですが我が家の軒先は割と広いバルコニーになっていて、そこにソファやテーブルなどが置かれています。 彼女はそこのソ

          うちに猫がやってきた

          日本について考える。

          「民主主義とは何か?」と問われたらなんと答えますか? 国民が国の主権を握る制度、と答える人が多いでしょう。だから、選挙が行われている日本は民主主義だと思っている人が多い。 でも、最近思うのです。現在の日本は本当に民主主義だろうか?と。 民主主義に必要な要素は幾つかあります。例えば、法治主義。政治家はスピーチの中で『法の支配(rule of law)』という言葉をよく使います。 もう一つ、非常に重要な要素が基本的人権の尊重です。人権の尊重がない民主主義はありえません。

          日本について考える。

          【完結】神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (130) エピローグ

          結婚式を一週間後に控え、リオとレオンは再びブーニン地方のベルトランドの屋敷を訪問することにした。 リュシアンがエレオノーラの様子を見に行ったところ、驚くべきことにエレオノーラはすっかり農業やブーニン地方での生活に馴染んでいたそうだ。 「エレオノーラは変わった。今ならアレックスがレオンだってバレても大丈夫だろう。ベルトランド以外の男には全く興味なさそうだ」 とはいえ、リュシアンの言葉をレオンは疑い深そうに聞いていた。 でも、前回の日帰り旅行が楽しかったので、赤ちゃんが産

          【完結】神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (130) エピローグ

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (129) セイレーンの未来

          その日、リオとレオンは重要人物の来訪を待っていた。リオは落ち着かず部屋の中をウロウロと歩き回る。レオンはお腹の膨らんできたリオを支えながら、そっとソファに座らせた。 「大丈夫だよ。君も知っている人だろう?」 「それでも緊張するわ。実際に会ったのは一回だけだし、それに・・・」 その時ドアがゆっくりノックされた。レオンが返事をする。 扉を開けて入ってきたのはスラヴィア共和国キーヴァ・オライリー大統領だった。その後ろにイケメンの獣人と男女のセイレーンが続く。 レオンが堂々と

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (129) セイレーンの未来

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (128) 一目惚れ

          リオとレオンは無事にフォンテーヌ王国のシモン公爵家に戻ってきた。アンドレやエディも帰邸して屋敷は益々賑やかになった。 ジョルジュが筆頭執事に戻り、代行で筆頭執事をしていたセバスチャンはプレッシャーから解放されたようだ。 「ジョルジュさんの靴は大きすぎて、僕では埋められません」 というセバスチャンの言葉が印象的だった。 *** 戦争が終わり多くの変化が起こった。でも、全体的に良い方向に変わったと思う。 一番大きな変化は、コズイレフ帝国がスラヴィア共和国になったことだ

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (128) 一目惚れ

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (127) 両想い

          翌日エレナはルカと職場で待ち合わせて、最初の目的地に出発した。 ルカの話だと、遠隔地で物資が届きにくい場所に首都から多くの商品を売りに来る商人がいるらしい。平民には珍しく転移魔法を駆使して多くの商品を運び、しかも利益は最低限で安価に商品を提供しているという。人々から慕われており各地を回っているので、その商人から話を聞きたいそうだ。 だから、最初の目的地はその日にその商人が来る予定の町だと言う。『そんな奇特な商人がいるのね』なんて、エレナは気楽に考えていた。 *** 目

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (127) 両想い

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (126) スラヴィア共和国

          キーヴァ・オライリーが正式に大統領に就任してから、エレナの仕事は更に激務になった。朝から晩まで書類の山に埋もれている。 コズイレフ帝国が崩壊し、スラヴィア共和国になってから約二か月。新政権にはまだまだ問題が山積している。 まず、元皇族・貴族の扱い。 彼らは心底愚かであるとエレナは悟った。平民になり自活することを受け入れた元皇族・貴族はすぐに解放され、多少の助成金を受け取って市井での生活を始めている。というか、マリヤとアントンの二人だけだけど。あの二人は昔から自由になりた

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (126) スラヴィア共和国

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (125) 自由

          コズイレフ帝国はイヴァン皇帝の独断による無謀な戦争の結果、反体制派のクーデタにより崩壊し、共和国として生まれ変わった。国名はスラヴィア共和国になる。第一回大統領選挙が行われ、初代大統領には何とキーヴァ・オライリーが選出された。 (いや~、ホントびっくりだったよな) アントンは大きく息を吐いた。 驚いたがクーデタを勝利に導いたのは間違いなくキーヴァだった。彼女の強さと美しさに民衆が強烈に惹きつけられたのも無理はない。彼女の強さには誰も敵わなかったし、リーダーとしての資質が

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (125) 自由

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (124) 幸せとは?

          リオとレオンはあまりに壮大な話に言葉を失った。イーヴが冷めたお茶を下げて、熱いお茶を淹れてくれる。 リオは村長とイーヴを気の毒に思った。だって村長は何も悪いことしてないよね?逆恨みみたいな嫉妬のせいで愛する人を殺されて、その後も何かと邪魔されて・・。 村長はそんなリオの表情を見てクスッと笑うと話を続けた。 「我は様々な文明の滅亡を見てきた。局所的なものから、世界全てが崩壊するような文明の滅亡もあった。我々が実験のために創った世界は五つ。その中で既に三つの世界が滅亡した」

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (124) 幸せとは?

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (123) 怨念

          「ヘリオス!ヘリオス!おい・・・・大丈夫か?」 アイオンが心配そうにヘリオスの肩に手を置いた。 「最近、ずっとうわの空だぞ・・・まぁ、無理もないが・・」 イーヴが殺されて以来、大丈夫な時はない。あるはずがない。 ヘリオスは沈黙で応えた。 アイオンは気まずそうに「イーヴのことは・・・すまなかった・・。我がポレモスがどんな男か見破れなかった」と謝罪する。アイオンは何度も繰り返し謝罪した。彼が心から謝っているのは分かる。しかし、ヘリオスは沈黙を貫いた。口を開いたらアイオン

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (123) 怨念

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (122) 村長の物語

          村長であるヘリオスは語る。 『セイレーン』という名は、我々が暮らしていた惑星の名前であった。セイレーンの住民は魔法に優れ、非常に高度な文明を作り上げた。 魔法だけではない。魔法の高精度化と同時に科学技術も大きく発展させた。死者を蘇らせ、遠くの星へ行くことも可能とするほどに。 望めば何でもできる力があった我々の文明は、自分たちに不可能はないと驕ってしまったのかもしれない。魔法に優れ、科学技術も高度に発達したセイレーン文明はある日終焉を迎えた。 気がついたら我々は滅びてい

          神の力を貰ったので遠慮なく世界を癒します (122) 村長の物語