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悪魔のレポート 〜どうして読書感想文はイヤなのだろう④〜

まだ新緑の5月だというのに、
一気に暑くなりましたね。
暑い→夏→夏休み→宿題→読書感想文!!
と無理やりこじつけたところで、
そろそろ本番を迎える読書感想文について、
そこそこ真面目に書いていきます。

今回は、個人的に好みな図書を
勝手にご紹介します。
少し長いです。

小〜大学生までに
作文と小論文を教えていた時、
【読書感想文】のコース作りも
担当していました。

私自身が、課せられた読書感想文、
及び先生から返却された時の
コメントの愛のなさに
がっかりしがちな子供だったため
「絶対ちびっ子が落胆しないものにしたい!」
と勢いと熱意だけはあったのですが、
諸々の止むに止まれぬ事情
(大人の事情ともいう)があって、
課題図書として選べなかった本
がたくさんありました。

これを大人の世界では
「ボツ」と呼ぶそうですね。

読書感想文のコースは
メインターゲットが小学生で
(夏休みの宿題で学校
から課せられる率が一番高いため)
1・2年生向け、3・4年生向け、
5・6年生向けの3コースがあり、
それぞれに1冊ずつの本を決めます。

だから必然的に
「これもこれも、これもいい!
いや、これも〜〜」という
我がおバカ(いや極めて真面目なんですが)
選択はその「3冊のみ、しかも色々な
ちびっ子が挑戦するのに
ハードルが高くなりすぎないもの」という、
私にとってのハードルの高さに
いとも容易く打ち砕かれるのであります。
ああ、おかげで
どれだけメンタルが強くなったことか。

さて、私の個人的な話は
これくらいにしまして、
これから夏を迎えるに当たり、
学校で指定された課題図書以外から
選んでみたいというガッツ溢れる方々に、
極めて個人的偏見と好みで
勝手にご紹介しちゃおう、と決めました。
ふふふ、あの頃選べなかった本を
ここでご紹介しちゃうもんね。
ふふふ。大人ってステキだ。

いや、ちがうな。
そんな大それた野望はないのであります。
単純に私が好きな本をご紹介しちゃいます、
のコーナーです。

万が一、興味を持って下さって
試しに読んでみたら
「あー、面白かった。
(くだらなかった、難しかった、
よくわからなかった、不思議だった
などなど)」
と思って下さればそれだけで。

そして万が一、「誰かにこの感想を
伝えてみたいな〜」などと
ぽんやりとでも心に浮かんだなら
その時こそ、
感想文日和というものです。

感想文は熱いうちに打て!

学校に出さないといけないから〜
だなんてそんな悲しい理由じゃなく、
楽しい本を面白がって読んで
書きたくなったら感想を書く。
他に何ができましょうか。

対象年齢とか、そういったものは、
一切排除しております。
大人が読んだって、
面白いものは面白いのであります。

<1冊目>
ほんなんてだいきらい!
主婦の友社
バーバラ・ボットナー  ぶん
マイケル・エンバリー え
さんべ りつこ やく

この題名を見た瞬間、
ニヤリとしました、わたくし。
こう言う風に感じている、または
声に出して言ってみたいちびっ子、
実は意外と多いのではないだろうか。

アメリカの小学生が主人公の絵本です。
本が大好きな司書の先生にいくら
お薦めされようが、
読書週間でみんなが
自分の気に入った本について
発表していようが、
絶えず冷めた目の彼女に
ある出来事があって……。

絵描きさんをやっているらしい
おかあさんの、
子供との節度ある距離感が
なんともいい味出してます。

<2冊目>
ふまんがあります
PHP研究所
ヨシタケシンスケ 作

大好きなヨシタケシンスケさんの絵本。
他にもたくさん出ているので、
どれも好きなのですが……。
これは大人のズルさを子供が突く
という体を取っていながら、
女の子ってこう言うところあるよな〜
あるある!と妙に納得してしまう
1冊です。

保育士をやっていた知人が
「女子は0歳からもう女子です!」と
力説していたのを思い出します。

<3冊目>
高校生科学オリンピックの青春 理系の子
文藝春秋
ジュディ・ダットン 著
横山 啓明 訳

何かに真剣に向かっている人の
「横顔」が非常に好きなのです。
理系の高校生というだけで、
「ああ〜いいなー」と
思うわけなのですが、
(ないものねだり)
科学オリンピックに向かっていく
彼ら彼女らの横顔は
きっと美しいに違いない、
と映像が浮かびます。

11人が紹介されていますが
私は、5章ホース・セラピー、
8章手袋ボーイ、10章ロリーナの声に耳を
傾けて、が特にお気に入りです。

<4冊目>
つっこみ力
ちくま新書
パオロ・マッツォリーノ 著

【新書】というものに、絶えず怯えていた
と言っても過言ではありません。
「頭のいい人が読むもの」
もしくは「頭をよくしたい人が読むもの」と
思っているため「難しいからヤダ!」
と敬遠し続けて大人になった私です。

その先入観を打ち砕く、
終始脱力必至の1冊。
パオロさんという名前なのに
全編日本語で、イタリア語はできないらしい
と筆者略歴に書かれていたり、
社会学に身近なネタを取り入れた切り口
(そしておふざけ)で「へぇ〜」と
「ぶほっ」が交錯しっぱなしでした。
笑える新書。
怖くない新書。

<5冊目>
The Most Explosive
Science Book in The Universe

Dorling Kindersley Limited
Senior Editor: Andrea Mills

我が愛するイギリス人の、
愛すべきおバカさんっぷり
(最大級の褒め言葉です!)
が遺憾なく発揮された、
イラスト満載の
ちびっ子向け科学書です。

Brainwaveという名前の小人が
大量に(ホントに大量)出てきて、
科学的現象や、宇宙の不思議、
人体の内部(機能)などを
探検しつつ説明します。

単語が全ては理解できないので、
絵本を読む感じで眺めているのですが、
何というか、時々登場する
科学者の顔が……。

悪意、
いやイギリス人の大好きな
ironyに溢れているというのか……。
全然リスペクトしてないのでは、
あなた方?という。
私はそこが特にお気に入りなのですが。

<6冊目>
さよなら、田中さん
小学館
鈴木 るりか 著

中学2年生の女の子が書いた、
ということで話題にもなった小説です。
もちろん、主人公の花とお母さんは
素晴らしいのですが、
私は大家さんの息子で
引きこもりの賢人と、
できの良い兄と姉に囲まれてただ1人、
中学受験に全て失敗してしまう
三上くんがとても好きでした。

花もお母さんも、「人をジャッジしない」
人達だなと思いました。
ただその人のあるがままを、
そのまま「そうなんだねー」と
受け入れているような。

そしてご飯は人間にとって
やっぱりとても大事だよな、
と食いしん坊の私は再認識した
のであります。

<7冊目>
きみはいい子
ポプラ文庫
中脇 初枝 著

ある日の新聞に、2冊目でご紹介した、
ヨシタケシンスケさんの
イラストが載っていて
「わー♡」と思ったのです。

ヨシタケさんがお書きになった
「あるかしら書店」と
ポプラ文庫がタッグを組んで、
ヨシタケさんがイラストを描いた
何冊かの文庫本が紹介されていました。

その中で紹介されていた1冊。
大人にこそ「ぐっ」と「うっ」
とくる本だと思います。

「こんにちは、さようなら」
に出てくる小学4年生のひろやくんの
静かな様子と、抽象的な言葉を
なかなか理解できないという彼なりの
「仕合わせ」の定義がとても好きでした。

まだまだ色々あるのですが、
さすがに長くなりすぎてしまうので
このくらいで我慢です。
数学者の話とか、漫画とか絵本とか……。
ううぅ。

あ!リアルサイズの
古生物ばっかり載ってる図鑑もあったな。
ああ、考えるだけでも楽しい。
でも苦しい……。



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