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菅野みゆき (2024年11月 salamanderから変更しました)
2020年4月10日 17:10
【こんな時期だからこそ、アホアホなお話を書くことにしました】オレこと、しいたけの天ぷらはその日(も、というべきか)憂鬱だった。だって、きっと今日もせっかくのかっこいいイガイガの衣は外されちゃうだろうし「においがくさいからイヤ」と顔をしかめられるに決まっているからだ。この家の長女ゆうかは、14歳。春から中学3年生だ。まだ14年しか生きていないような感じもするが、女子という
2020年4月27日 19:05
【アホアホなお話の2回目】さて、本日も外側はさっくりと、内側はしっとりと、揚げあがった。この家は少し変わっていて、天ぷらが食卓にあがる時に、塩・天つゆと共にウスターソースが並ぶ。なんでも、夫の泰之が会社員なるものになりたての頃、課長とかいう人に連れられていったお店でソースが一緒に出されたらしい。その味に衝撃をうけて以来、泰之は天ぷらを食べる際に必ずソースをセットし、
2020年5月3日 12:16
【アホアホなお話 3回目】「ちょっと!スナップえんどうもいいけど、天ぷらも熱いうちに食べてよ」たえさんが、少々ピリッとした声で子供たち+泰之に訴えかける。彼女は(まあ、料理が好きだったり得意だったりする人は誰でもそうかもしれないが)熱いものは熱いうちに、冷たいものはその温度で食べるのがサイコーと信じているので、揚げたての俺たちが皿の上で、無残な油を吸ったベシャッとした衣に
2020年6月21日 18:35
【アホアホなお話4回目】俺の肩(しいたけにも肩はある)にほんの少し触れたかぼちゃの天ぷらのあったかさに思考がやや飛びそうになる。しかも温かい空気に乗ってほんわりと甘い香りもやってきた。「友達になりたいんだけど」このだいだい色のかぼちゃってやつは確かにそう言った。「ぬ」俺は予想外のことすぎて、何かよからぬ思惑があるんじゃなかろうか、こいつと身構えた。「ねぇ、聞こえ