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色彩の調和,あるいは軋轢の美 -山口 彩美[SURFACE OF MOON LAKE]

 某日、天王洲アイル。



 山口 彩美「SURFACE OF MOON LAKE」(〜10/19)


言葉になる以前の、どこか惹かれる感覚

 抽象画なので当然のことながら、作品を観てなにか言葉が浮かんでくるわけではない。ただ、色彩の対比だったり、表面の凹凸の妙が、観る側の奥深くに入り込んでくるように感じられる。

 その感覚は、どこかリズムを伴う。もしかしてリズムをもたらすように、展示が工夫されているのかもしれない。


吸い込まれそうな大型作品の前で

 会場には3点の大型作品も展示されている。

 観る者の背丈を超えてしまう作品の前に佇めば、その中に自分が取り込まれてしまうような気がする。中央が溶け出して、呼び声が聞こえる気すらする。そのくらい、目が離せなくなった。


鑑賞者の意識が、キャンバスの上で踊る

 パンフレットにあった説明の、最後の文章を思い起こす。「人間の視覚は光源の影響を受け、時には視覚的ノイズや錯覚を引き起こす。このような光の特性を意識しながらキャンバスの上で色彩の調和、あるいは軋轢を生み出していく。

 わたしの意識はキャンバスに乗り、色彩の調和あるいは軋轢のなかで、翻弄されながら踊っているのだ。





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