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#10【読書】「新規事業の実践論」5分で要約と感想

新規事業で「やるべきこと」「やってはいけないこと」を学べる書籍である。


要約

  • 初期チーム人数は2人が最善。コミュコストとマンパワーのバランス

  • 顧客に300回はヒアリング。高速で、仮説・実証のサイクルを高速で回す

  • リリース直後はマーケティングはするな。初期顧客を発見し大切にする

  • 社内会議では、顧客の声を載せろ。正しい評価は顧客しかできない。

  • 経営陣は、決裁権利を下す。

内容ピックアップ

初期チーム人数は2人が最善

初期は、素早い仮説と実証のサイクルを回す必要がある。
そのために、多様な視点とマンパワーが必要であるが、
人数が増えていくとコミュニケーションコストが指数関数的に上がってしまい、素早さを失ってしまう。

そのため、コミュコストとマンパワーのトレードオフが最も良い2人チームがベストであると筆者は述べている。

新規事業の6つのステージ

新規事業のフェーズごとにステージが6つある。
まず、これを前提知識としてINPUTしていただく必要があるため、共有する。

ENTRY期
クリアすべきこと:顧客・課題・ソリューションの仮説・検証方法のセットが成立しそうか
MVP期
クリアすべきこと:仮説が実証されているか、投資可能な事業計画か
SEED期
クリアすべきこと:実際に商売が成立したか、成長のための拡大方法が見えたか
ALPHA期
クリアすべきこと:事業が成長状態に入ったか、組織戦略と対競合戦略が現実的か
BETA期
クリアすべきこと:成長率を落とさずに成長状態が続くか、既存事業と遜色ないガバナンスか
EXIT期
クリアすべきこと:社内での位置付けを整理・IR方針/既存事業を驚愕する規模への投資戦略

新規事業の実践論

ENTRY~ALPHA期

顧客中心の活動を最も意識するフェーズ

顧客はいるのか、何の課題を解決すると喜ぶのかをヒアリングで確かめる必要がある。

ENTRY~MVP期にかけて、合わせて300回は顧客へヒアリングするのが成功した事業の平均値となるそう。

高速で、仮説~実証~仮説修正を回していく必要があるため、
高速にプロトタイプ作成して提供し、顧客からフィードバックをもらうサイクルを回す必要がある。

SEED期

商売としてが成立するか、成長に必要なものは何かを発見するフェーズ

ここで初めて商売として提供することになる。

この時、一番最初に買ってくれた顧客(Primary customer)を大切にして、フィードバックを受け、サービスとしての調節を行う必要がある。

注意してほしいのが、このタイミングでマーケティングは厳禁ということ。

マーケティング活動というのは、以下の式で説明できる。

  • CAC(一顧客当たり獲得単価)<LTV(一顧客あたり障害利益)

  • CAC=(セールスマーケティング費用)/(獲得できる新規顧客数)

  • LTV=(平均月間顧客粗利)×(平均継続月数)

この「CAC<LTV」が成立していれば、どれだけセールス・マーケティングに投資を行ってもそれが利益に跳ね返ってくることになる。

しかし、SEED期の新規事業は「CAC>LTV」となっていることがほとんどで、マーケティングに予算をかけたところで、赤字が増大してしまうことになる。

したがって、筆者はリリース直後には、LTVの向上に向き合う必要があり、
そのために最初の顧客を大切にすることを強く推している。

LTVを高めることができれば、マーケティング予算を付けて顧客を獲得しても赤字にならないことが想定される

社内会議という魔物を攻略する

社内会議は、重箱の隅をつつかれる。それでも準備しろ

社内経営会議に上がった時点で、それはある程度良いプランであると評価されている証拠である。

しかし、本当に良いプランかどうかは経営陣は判断できない

実は、画期的なプランであればあるほど、経営陣はそれを正しく評価できない。例えば、iphoneが生まれる前に

滑らかに動くインターフェイスのタッチパネル式携帯電話

新規事業の実践論

と言われて、画期的だと判断できるだろうか?
実際多くの日本企業では没とされてしまい、Appleで実現されてしまった。
つまり、社内の人たちは画期的なプランを適切に評価できないということになる。

では、どうやって良いプランか判断するのかというと
「顧客の声」を載せることである。

また社内会議の目的は、

  • 決裁者のさらに上司への報告を準備するため

  • 自身が責任を取っても損をしないかどうかの判断のため

に行われる。(課長→部長への報告。社長→株主への報告)

そのため、懸念になるポイントは全てつぶしておきたいと考える。
したがって、法律上の懸念点や文化的な懸念点など、細かな質問がされる。

これに答えられなければ、決裁する側の人間からすると準備不十分と感じられ承認されないことになってしまうのである。

社内で新規事業を行う上で、切り離せない部分であり、
提案する側としては、懸念点に対する細かな準備を怠ってはいけないのである。

経営陣がすべきこと=決裁権を降ろす

「社内経営会議の準備を怠らないようにしろ」といったが、これを高頻度で行うと実働時間が減少してしまい、スピードが大事な新規事業にとっては大きな機会損失となる。

経営陣がこれに対してできることは、「決裁権を新規事業トップの人へ降ろす」ということである。

具体的、金額などは場合により異なるが、
例えば、「1000万円までは上司の承認がいらない」などど決裁に時間がかからない環境を整えて、スピードを落とさないように手助けすることが大切である。

経営陣がすべきこと=事業規模を問わない

マザーズ上場企業をして「12.3年かかって営業利益が3.3億円が平均」というのが新規事業の実態

つまり、まったく新しいビジネスをゼロから立ち上げて、3億円の営業利益に達するのは12年かかるということ。

この時間を劇的に短くするか、収入の規模を大きくするには、上場企業ではなし得ないような「常識外れの何かをした」ということになる。

その常識外れをちゃんと戦略として織り込んで、
経営陣は新規事業に向き合う必要がある。

感想

まだENTRY期の新規事業に悩む私にとっては、今後の方針を具体的に考えられる良本でした。

・各フェーズで何を重要項目として意識して活動すればよいのか。
・現在のENTRY期では何を大切に活動すればよいのか。

を具体的に想像することができた。

個人的には、「顧客ヒアリングがまだまだ足りないな」
と感じさせられました。

また、すぐに成長後の市場規模の話と期間を聞いてくる上司、すぐに営業をかけて売りたがる上司、すぐに作りたがる人は、新規事業を理解できていないということを理解できました。
(その方々が悪いというよりは、新規事業経験が乏しいというだけで、声をかけてくれるだけ感謝は深々としております。)

以上です。


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