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小説の力 熱くなる読書でした

『俺たちの箱根駅伝』池井戸潤さん

冒頭を読んだだけで、いつものリズミカルでテンポのよい文体に引き込まれました。選手たちがペース良くトラックを走っている足音が聞こえてくるような心地よさ。

(何度か書きましたが、私は池井戸さんの文体が好きで、『下町ロケット』を手本に勉強したことがあります)

駅伝の選手たち、監督、テレビ局のスタッフ。登場人物一人一人に熱い血潮が通っている感じです。 彼らにどんなドラマが待ち受けているのか、わくわくします。

上巻を読み終えたとき、役者が揃って、それぞれの夢や思惑、情熱や挫折、葛藤がしっかりと伝わってきました。
それでもまだ箱根駅伝は始まっていません。

いよいよ下巻、大手町にスタートの号砲が鳴ります。 なんていう贅沢な構成でしょう。

数々のドラマの先にゴールが見えてきた時、身体が熱くて仕方ありませんでした。 何をおいてもベテランアナウンサーの魂の実況。文字を読んでいるのではなく、直接この耳に響いたようです。

早く来年の箱根駅伝を見たくて堪りません。きっと学生連合の選手に目が釘付けになることでしょう。

来年は101回大会。私はあまり箱根駅伝に詳しくなくて、前回つまり今年の大会には、学生連合チームがなかったことを初めて知りました。
来年は二年ぶりに復活するのだそう。
選手たちや多くのファンの復活を望む声が届いたのでしょう。

『俺たちの箱根駅伝』は池井戸さんの、学生連合チーム復活を期待するメッセージだったのかな、と思いました。この小説が箱根駅伝を運営している人たちの気持ちを、強く動かしたことでしょう。

小説の力、です。


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