小説に歌詞を使うと…… 本が出るまで 16
3月発行の新刊に初めて歌詞を使いました。登場人物がJ-POPを口ずさむシーンです。
一人で家の中で作業をする場面なので、書き上げたら地の文が多くなり、
重い感じになってしまいました。
私はどちらかと言うとセリフを多めに使ってストーリーを進めるのが好きなので、人物が口ずさむ歌詞をセリフのように扱いました。
描写や説明の間に「」のついた歌詞が挟まれることで、テンポが良くなり、キャラクターも生き生きしたように思います。
それは良いのですが……
そうです、使用料を払わねばなりません。 JASRACです。
一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)
そのサイトを初めて覗いてみました。そこには使用料計算シミュレーションがありました。使用する目的によって
コンサート/録音物/ドラマ……とさまざまですが、下の方に
一般書籍(単行本・文庫本等)があります。
さっそく計算してみました。
一般書籍は部数にも寄りますが数千円からでした。
安いのか高いのか、ちょっとわかりません。
歌詞を使いたいと編集者さんに相談したときは「ああ、いいですよ」と了解してもらいましたが、著作に歌詞を使用する場合、編集者さんがJASRACに申請して印刷部数に応じた使用料を払い、本の最後に許諾番号を表示します。
出版社が本を製作する原価として負担するということです。
そのことはきちんと認識しておかないといけないと思いました。
ところで今回使用する楽曲ですが、これまで何度も私を元気づけてくれた、
高橋優さんの『明日はきっといい日になる』です。
小説に登場するキャラクターの人生や価値観が、歌の歌詞とぴったりだと気づいたときには偶然に驚きました。
このシーンを書いている間は、ずっと『明日はきっといい日になる』をリピート再生にして聴いていました。テーマ曲のようです。
自分が創作した小説の中に、大好きな楽曲の詩を使うなんてことは考えもしませんでした。不思議な巡り合わせを感じています。
これからゲラ作業です。また高橋さんのあの声とギターを聴きながら、小説の世界に入っていこうと思います。
「明日はきっといい日になる いい日になる。いい日になるのさ……」