ストレス対策にリフレーミングの手法を取り入れる②:PSWの福祉コラム
こんにちは、PSWライターのりくとんです。ストレスフルなコンビニ接客社会に揉まれつつ、今日もセルフコーピングをモリモリしながらにこやかに1日が終わりました。
さてさて前回は、「ストレス対策としてリフレーミングの考え方を取り入れみようかな」という方に向け、まず「リフレーミングの基礎」について取り上げてみました。
2回目の今回は、「セルフコーピング(自分で対策すること)」に焦点を当て、リフレーミングをセルフで行う場合の注意点や、「こんな場合はどうリフレーミングする?」と言った事例風練習を行ってみたいと思います。
セルフコーピングとしてのリフレーミング
本来リフレーミングとは、カウンセラーなどの手を借りて、「固まったフレーム・常識」に一石を投じてもらうもの。でも、「自分のストレスを自分で解決したい」人だっていますよね。
結果から言うと、自分で自分を『リフレーミング』することは可能です。ただし、それには注意点があります。それは、自分の「内なる声」を殺さないこと。
具体的には、「こんな考え方はダメだ」「こんな捉え方をするから悩むんだ」と言うように、今までのフレームを否定する捉え方をしない、ということ。リフレーミングは、今までの自分を変えることではありません。思考の選択肢を広げ、今までの自分を拡張すること。自分の思いや、感情を抑圧して「いい子」を演じることではありません。
リフレーミングでは、他者を通じて自分のフレームの癖を知り、自分の内的欲求に沿って新しい思考パターンを獲得していきます。正しくリフレーミングできるようになれば、「自分に都合のいい」思考を、都度都度選択できるようになります。
でも、結果を急いでがむしゃらに盲目的に「超ポジティブ思考」をしたのでは、その歪みはいずれ大きな反動として帰ってきてしまいます。自分の内的欲求をおろそかにせず、柔和にリフレーミングを行ってくださいね。
リフレーミング練習してみよう
何はともあれ、リフレーミングを体験してみましょう。以下に参考事例を作ってみました。自分が相談を受けたと考えて、彼女の「既存のフレーム」を見つけて、そこを「反対向き」に捉えられるように声掛けしてみましょう。
不眠症の女性。不眠のために朝起きられず、診断書を出して仕事を休んでいるが、はやく起きられるようになって、できることなら明日にでも復帰したいと思っている。もともと心配性で、イベントがあると寝られないタイプだった。最近は、きちんとした生活リズムが整えば眠れるのではと考え、きっちりライフスケジュールをたてて生活している。体温が下がるときに眠りやすいと聞いたので、21時までには湯船に浸かって体温を上げ、22時には布団に入るように心がけている。ただしそれでも眠れない。
さてこのケースの場合、あなたはどのような「フレーム」を見つけますか?そして、彼女にどのような「認知の変更」を促しますか?
考えつきましたか?もう少し?
さて、それでは進めていきましょう。
ここに隠れている既存のフレームは、「寝なければいけない」「仕事に行かなければいけない」「やり方を守れば眠れるはず」というフレームです。また、ほかにも生育歴によっては「働かなければ生きている資格はない」だとか、隠れたフレームが存在するかもしれませんね。
で、ここからがリフレーミングです。例えば私なら、以下のメッセージを返す候補として考えます。
リフレーミング①
「診断書が出された期間は、きちんと直すために必要な休息期間だよ」…これは、治ったらすぐ働かなくちゃ、に対するリフレーミングです。
診断書は、ドクターが『いつまでは休みなさい』と指示を出すもの。ドクターの指示を守ることは悪いことではありませんよね。だから、休むことは悪くないとリフレーミングします。『働かなくちゃ!』は一度脇に置いといて大丈夫だし、働かないと、という焦燥も一緒に脇に置いていいものです。
リフレーミング②
「体が眠りたくないって言ってるんだから、どこまで起きていられるか試してみよう」…これは、『眠らないといけない』に対するリフレーミングですね。
せっかくですから、この機会に気になってたシリーズ物のDVDを一気見するのもいいですね。眠らなくちゃ、眠らなくちゃと自己暗示をかければかけるほど、眠れないかもしれないという心配性な部分が元気になります。
せっかく休んでいいと言われてる期間なんですから、とことん眠らない自由があなたには有ります。本当に『もうダメだ、寝ないと倒れてしまう…』となって布団に潜ればいいのです。布団は、眠れない不安を感じる為の場所では有りませんからね。
リフレーミング③
「あなたの生活はあなたの好きなように決めて良い」ことも、反発が起きなさそうなら伝えておきたいメッセージですね。
不眠症だからと言って、生活の全てを「不眠症を治す為」に使わなくていいんです。診断がついた方の陥りやすい思考ですが、病気はその人の全てではありません。病気に名前を奪われる必要はありません。
『寝る前に体温を上げなくちゃ!』とか考えず、入りたければ昼間から風呂に入っていい。それに、入りたいなら5回でも10回でも風呂に入っていいんです。どうにも入りたくない日は、入らなくたって死にはしません。
「しなければならない」は、時に自分の思考の振れ幅を狭めます。する自由、しない自由、それらは全て自分自身が握っています。
物事の切り取り方は自分の自由
私が私自身に行ったリフレーミングについて、ちょっと話したいと思います。
「自分のせいで親は離婚できない。私の存在をうまく利用して、両親は体裁よく別居(単身赴任)した。利用された気持ちはあるけど、そもそも私はいらない子なのだから、せめて親の望むような子供でいないといけない」
これは、私が幼少期から持っていた自分に対するフレーミングです。これについて、現在は、このようにリフレーミングしています。
「親が離婚しなかったのは、親がもろもろの事情を考えた結果で、親の都合である。私をダシに使って別居したのは事実だけど、結果的に私には長期間過ごした街が出来た。その後継続した友人関係が築けているのは単身赴任の結果である。事情はどうあれ、現在の人間関係に不満はない。不満があった当時を掘り出すのは、私の精神衛生上あまり好ましくないし、非生産的だ」
ちなみにこれは、私が何年もかけて自分の中のわだかまりと向き合った結果の話。無理ない範囲のリフレーミングをかさね、少しずつ少しずつ思考を広げてきた結果論です。
ここで大事なのは、「非生産的だからやーめた!」と言えるようになるのは自然発生的、自発的でないといけません。無理やり「非生産的だからやめよう!」なんて言っても、結果わだかまりが残ればそこに思考は帰ってきます。結果を急がないことが大切です。
その②のまとめ
さて、主に事例を使ったリフレーミング練習と、実例として出せる自分の話を「こぼれ話」として今回ご紹介しました。私自身の話については、また別のマガジンで書いていますのでよかったら読んでみてくださいね。
この次の回のコラムは、「ポジティブの種を見つける」こと、認知の変容について取り上げていきたいと思います。