見出し画像

この歳になってあらためて考える「仕事とは」

早いもので、今年ももうひと月が終わった。
うちの職場は1月が期初で、今は人事面談期間の真っ只中である。前年の振り返りを上司との面談で評価確認する。正社員だけが対象のこのプロセスは、私にとって初めてである。

昨年10月、正社員になった。
それまでは、いわゆる契約社員のようなものだったのだが、去年新たにアサインされた業務がその職級では不適切ということで、社員登用を打診された。いわば会社都合で始まった話で、私自身は正直最初はどうしたものかと迷ったが、家族のためにまだまだ稼ぎが必要なこともあり、契約社員よりは正社員の方が安定しているだろうと考え、承諾した。

それから4ヶ月。この間、幾度となく戸惑いというか、違和感を覚えている。
というのも、自分のこれまでの仕事に対するスタンスと相入れないからだ。
社会に出て30年余り。思えば正社員として仕事した年数は新卒の頃3年のみ。その後は派遣社員、子育てのブランクを経てフリーランスとしてコロナで失職するまで働いていた。その半年後に同じ職場に今度は契約社員として復帰したのだが、当初持っていた「仕事とは」というイメージのようなものから、自分の中に占める割合、進め方、距離感までを比較して、正社員として組織で働くとこんなにも違うものなのかと感じている。

違和感その1

まず、一緒に働く人との立ち位置。
以前、特にフリーランスで働いていた時は、チーム内でも役割がはっきりしていて皆それぞれが対等な立場だった。
それが、今は何というか、上下関係を意識することが多い。
新たにアサインされた業務で、後からチームに加わったメンバーが自分より職級が上なのだが、加入当初は競争意識?マウント?をすごく感じた。
後にこれは単にこの人の問題だと分かったのだが、それを差し引いても、以前の立場とは違う立ち位置を意識する。
以前の立場であれば、自分の意志で進めたり、提案を出して他のチームメイトと一緒に進めていく感じだったのが、今は上位下達というか、自分の意見は聞いてもらえず、意思が一方通行なのだ。
組織で働くことが苦手なのではなく、裁量を与えられないことへの不満というか窮屈さというか。そんなものをひしひしと感じる。

違和感その2

上述した人事面談でキャリアパスとか目標とかを設定するのだが、これ自体を上司(会社組織)と確認することに戸惑いを感じる。いや、目標設定は勤務評定と関わるので100歩譲ってまだ分かるとしても、組織による社員育成とか、「はぁ?」となり解せなかった。
フリーランスで働いていた時は、プロフェッショナルとして自分が既に持っている、培ってきた経験と技術を差し出すのが仕事だと思っていた。もちろん、技術向上には努めるが、それは自分自身が行うものであり誰かを当てにするものではなかった。技術や経験が報酬に直結するため、常に自分で自分の技術向上に努めるのは当然だし、それが自ずと目標やキャリアパスに繋がるので、あらためて組織と確認するまでもない。

あらためて、仕事観

20代の頃から自分は「言われたことを忠実に実行する自信がある、でも一から考えて何かをやったり作りだすのは無理」と長い間信じていた。
でも、派遣やフリーランスなど色々な働き方を経て、この歳で正社員として組織で働くようになって、「あれ?私、人に指図されるの、こんなに嫌だったんだ。一匹狼じゃん。やっぱり自営が向いてるんじゃ」と気づいた。

「指図」と「指示」も、似て非なるものである。
指示ならいい。これまでも指揮命令者から仕事の依頼として受けてきた。
指図はより強制的でこちらの裁量がない響きがある。
要するに言いなりはイヤなんだ。
ちゃんと説明があって納得したいのだ。その上でならいい。

・裁量が与えられること
・提案を検討してくれること
それが自分が今の仕事環境に望んでいるものだと、漸く気づいた。
それを相手にしない、聞く耳持たない、一方的に指図するだけ…そんな上司にはついて行こうと思わない。

モチベーション 熱意 コミット

違和感を持ち始めた頃から仕事への向き合い方を考え、たまたま目に留まったいくつかの啓発本を読んだ。

以前は考えもしなかった、仕事をやりたいかやりたくないかという基準で見ること。
やりたいもやりたくないも、きた仕事はこなして当然、しかも自分が持てる最大の能力を投じてその時点で最高の成果物を出す…これは自営業として当然のプロ意識だった。
だけど、ここへきて変わってきた。やりたいか、やりたくないかで見るようになった。
この変化の理由は、仕事に積極的に関わりたいという思いが生まれてきたからだと思う。契約社員の頃は何となく遠慮というか「お客さん」的な意識があったのだ。チームの一員ではあっても、与えられた仕事を高品質でこなすことがゴールであって、自分がどう関わりたいかという発想はあまりなかった。

欲しいものは何か

それと共に意識するようになった概念が「評価」。フリーランスの頃は仕事の出来栄えの判断基準はどちらかといえば自分側にあった。それは職人が自分の成果物に満足するか否かという感覚に似ているのかもしれない。
それが今は「自分がやったことがそのチームにとってどれだけ価値があることなのかを示してほしい」と思うようになった。
フリーランスの時は、評価は報酬という形で示されるので分かりやすく単純だが、金額や数字で表される以外の何かが欲しいということなのだと思う。
父が以前言っていた言葉を思い出す。「自分がやったことに対して相応の評価をしてもらいなさい」と。
当時フリーランスだった自分は、働くということは自分のためであり、報酬を得るために労働を誠実に差し出せばそれで良いと思っていた。
父が言う「評価される」ことで、自分は何を得るのか?報酬と地位が上がるのか?それは自分がほしいものなのか。
私は信頼がほしい。お金は邪魔にならないけど、地位よりは裁量が欲しい。それを得るにはやはり信頼が必要だと思う。

これから仕事を続けていく上で一番大切にしたいこと。それは「誰と働くか」である。信頼できる相手と働き、その相手からも自分への信頼を得たい。今はそう思っている。そんな相手が身近に見つかればいいけれど。




いいなと思ったら応援しよう!