SUPER UNISON SQUARE GARDENが繰り広げた星屑が飛び散る「UNICITY Vol.2」
UNISON SQUARE GARDENのFCツアー「UNICITY Vol.2」の感想です。Zepp Haneda公演に参加しました。
「UNICITY Vol.1.5」が2016年開催だから、だいぶ久しぶりですね。会員限定のB面ツアーはあったけれど。田淵がFCライブ好きじゃなさそうだから(妄想)、もうやらないのかなと思っていました。
今回の目玉はゲストです。ユニゾンの出囃子でお馴染み「絵の具」のイズミカワソラさん。2019年のトリビュートライブでも共演していますが、あの時は1日に何組もゲストが出演してめちゃくちゃ豪華だった分、記憶も分散している。今回は一緒にツアーを回るということで、その分ガッツリのステージで、とてもインパクトがありました。
🔹ソラさん登場
・私はセットリストの予想とか全く興味がないというか何も考えずに臨みたいタチなので、今日も「mixjuice(ソラさんご参加)は絶対に聞けるわぁ、楽しみー」ぐらいの気持ちで待機していたら、まずはソラさんだけが入場して、中央にセッティングされたピアノの前に座り「絵の具」を弾き出したので、「うわあ!」とびっくりしました。生演奏で聞く出囃子、豪勢過ぎて興奮。普通に考えたら予想が付きそうですが、全然考えていなかったので。生ピアノが1音1音ステージに鮮やかに響き渡り、ソラさんの透明感のある声が軽やかに伸びていく。美しい。聞き慣れたSEも生だと全然違う!という感動を噛み締めます。
そして普段はSEだとなかなか到達しないサビ「1人きりじゃ行けないトコへ行こう」という歌詞を聞いて、改めて「素敵なフレーズだな」と感動します。
・宏介が入場してきて、ハンドマイクで「春が来てぼくら」が始まりました。ピアノ伴奏の「春が来てぼくら」、とても良い!バンド編成だとブラスによる華やかさが押し寄せて来る迫力がありますが、ピアノ伴奏だと音の粒の煌めきがライブハウスに満ち溢れるようでした。ボーカルもピアノもキラキラしていて感激してしまった。ピアノの音色が好き。
1番が終わって会場から拍手が起こりました。普段はなかなかない光景。ソラさん、お衣装(シルバーのスパンコール)も音と同様にめっちゃキラキラしていて素敵でした。
🔹SUPER UNISON SQUARE GARDEN
・田淵と貴雄が合流して、4人のSUPER UNISON SQUARE GARDEN(って宏介が言ってた)で始まったのは「harmonized finale」でした。うわー!選曲が絶妙。まだステージに先ほどのキラキラの名残があるところ、さらに星屑が弾け飛び舞い散るような、幻想的であり幸福感が沸き上がるような感覚でした。(背景もUNICITYのロゴと星空だった。)
・それからトリビュートで参加してもらった「ガリレオのショーケース」も。久しぶりに聞いたので、イントロで再び「絵の具」が始まるかと思ってしまった。ソラさんの「オイ!」がキュート過ぎる。間奏でドラムとピアノの掛け合いがあったのも楽しかったです。
頭3曲しっとりの流れからの疾走感、狂騒感で会場がスパークしていく。ソラさんのアレンジは、ちょっと跳ねたジャズのリズムを感じて最高。ジャズっぽいユニゾンも好きなのよ。
🔹3人パート
・小走りでソラさんが退場し(可愛さが全身から溢れている)、ここからは3人のライブ。セッションの後に何が始まるかと思ったら「水と雨について」でした。ものすごく久しぶりに聞いた。FCツアーならではですが、それにしてもだいぶ意外な選曲。
初期のヒリヒリするユニゾンに浸っていたら、次に「RUNNERS HIGH REPRISE」が来たので、嬉しいのとなんだか気が抜けたので「うわあ」と声が出る、曲調の落差よ。嬉しいのはとても聞きたかったから、なぜなら先日さわおさんの弾き語りライブを見て、the pillowsが恋しいと思ったところなので。疑似ピロウズを体験できて満足感。元ネタ「RUNNERS HIGH」のゆったりリズムが好きなのと、特に「MY FOOT」が好きなのでベースラインを田淵ががっつり弾いているのを食い入るように聞き入りました。
音源では間奏前に入っているカウベルの気の抜けた音が好きなのですが、ライブでやらなくなっちゃったね。(その代わりにスティックをクロスして音を出している。)
・「三月物語」も「mouth to mouse(sent you) 」も「シグナルABC」も、こうして続けて聞くと、田淵の得意なB面の系統だなと改めて感じます。シンプルだけど良いメロディー。先日afocとの対バンで「mouth to mouse(sent you) 」を聞いた時もそう思ったところ。「シグナルABC」はなんとなく聞けたらなと思っていたのでラッキーです。「シュガーソング」辺りからファンになったクチなので、B面の中でも印象に強い曲。
あと個人的印象ですが「三月物語」は90年代のミスチル、「mouth to mouse(sent you)」も90年代の奥田民生っぽさを感じるので、この流れがしっくり来たなー。どこか懐かしくほっとする。
・そうしたB面の精鋭達が久しぶりに顔を見せる中、「あまりに写実的な」と「いけないfool logic 」が来ると、一気に最新に引き戻されるのが面白い。技術的な進化で、やることが段違いに難しそうに見えてしまいます。
「あまりに写実的な」は前回のツアーでも披露されなかったので、ライブで聞くのが初めて。今までにないタイプの曲(初バンド名義での作曲)ということもあり、やっぱり面白くて聞きどころがたくさんあったので、もっとライブで音やリズムをめいっぱい体感したいなと思いました。
・貴雄の「ナノサイズスカイウォーク!」の力強いタイトルコールにテンションが上がりました。近年のカップリングですが、再会できてとても嬉しい。全然聞き足りないと思っている。(「放課後マリアージュ」もしかり。)イントロのちょっと引っ掛かりのあるギターリフがたまりません。
・「 I wanna believe、夜を行く」でひときわ大きな歓声が上がるのもFCツアーならでは。みんなこの子のこと待ち焦がれてるのよ。
宏介が「僕らより曲を知ってる猛者たち」とお客さんを評していました。バンド歴が長くなるにつれ、お客さんに対してそういった表現をするバンドマンは多い気がします。皆意外と自分たちの曲を忘れちゃうのかなー。(私も意外と忘れてることも多いので猛者には入れないで欲しいw)
全部でタイバニ曲が3曲ありました。普段はタイバニ曲というくくりは意識しないのですが、やっぱりキラキラした独特のパワーがあるなぁと思って、自然と心が震えて泣けてくるマジック。
🔹FCツアー名物・カバーコーナー
・そしてFCツアーならではのお楽しみ、カバーコーナーです。宏介が「今までは全然知らない曲ばかりという人もいたかもしれないけど、次は知っていると思います」と前置き。そして鳴ったイントロ。
「ジャッ!ジャッ!ジャッ! ジャッーーーン!!!!!」
この不協和音みたいな音を私は確実に知っている。そして大変好みだ。だがしかし、今この場、ユニゾンのライブという場で鳴っているはずがないのだ、という堅苦しい思考が瞬時に駆け巡り、脳が大混乱してフリーズ。
イントロが始まってやっと事態を飲み込みました。新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」だった。笑った。そして嬉しかったです。なぜなら、
・私は「オトナブルー」が大好き(2023年ベスト10曲に入れた)
・斎藤宏介には昭和の女性アイドル(聖子とか明菜とか)の歌を歌って欲しいと常々思っている。似合うに決まっているので
しかもロックバンドアレンジが絶妙にかっこ良かったです。ユニゾンと昭和歌謡ってかけ離れているじゃないですか。音の隙間がいっぱいあって、ゆったりで。原曲のイメージは全く壊さないまま、それぞれの楽器がシンプルに際立つ、緩急のあるアレンジ、仕上がり。こんなのもできちゃうのね!っていうプチ衝撃。「ここは東京キネマ倶楽部ですか?(イメージ)」と言いたくなるような、会場の雰囲気が一気に変わったのが本当に衝撃よ。
そしてやっぱり斎藤宏介は歌謡曲、女性ボーカル曲が似合うのです。何故かと言うと、男性ボーカルと女性ボーカル、両方の色気を醸し出せるからのような気がします、天性の才能で。和田アキ子オマージュの「ハッ!」もちゃんと発していた、「ハ」と「フ」の間みたいなニュアンスだった、かっちょいい!
さらに、原曲だとボカロ的な平熱コーラスですが、田淵による温度の高いコーラスが独特の彩りを添えていて好きでした。特に最後の追っかけのとこ。
歌い終わった後に宏介が、「カラオケで歌ったらキモイって言われるのに、ステージで歌ったらかっこいいって言われる」と自虐していました。「キモイ」って言ったのは金井くんですか(知らんけど)、仲良しの友達の間でふざけてカラオケで歌ったらいじられそうですが(宏介もふざけてわざとキモく歌いそうだし、サービス精神で)、プロフェッショナルのバンドアレンジは絶賛されてしかるべきのクオリティーでした。
・田淵ボーカルの選曲は「それじゃあバイバイ(SURFACE)」でした。私はこの曲を知りませんでしたが、90年代のにおいがする良い曲だなーと思いつつ聞いていました。田淵の歌が安定して力強くて上手かった。サビでファルセットに切り替わるとことかスムーズ。かっこいい。カラオケで聞いたら「やだ田淵くんかっこいい♡」って女子が好きになっちゃうやつじゃない? (ちょろい) ケバブスで場数を踏んでいるので、前回のカバーの時よりも歌唱力がアップしているはず。後からSURFACEの曲であることを知りましたが、好きな曲だからカラオケで歌い慣れているのかもしれません。原曲も聞いてみましたが、歌い方も含めて田淵にピッタリの選曲だと思いました。
田淵へのお客さんの盛大な歓声に、宏介が「次のアルバム『俺も歌おうかな!』って田淵に言われたらギクシャクしちゃうー(笑)」とふざけていた。極めてユニゾンの斎藤くん(優等生)らしい発言です。(田淵がそんなことを言い出す可能性はあるはずもないことを宏介は理解しているけれど、その場の雰囲気としてはベストチョイスのMC。さすが。)
・大トリは貴雄です。タイトル聞いてもピンと来ませんでしたが、始まってカップヌードルのCM曲(強風オールバック)か、と気づく。
ドラム・ボーカルではなく、ドラム・ボーカル・リコーダーに挑戦したかったという貴雄、印象的で単調なフレーズをピポポーと吹く姿、大真面目にやっているところがいかす。単調でありつつクセになってしまう絶妙なフレーズ。ヒット曲に必要な要素って、こうなんだなーと思う。そして、これを人力で演奏している光景もレア。ちょっと外しに来る、捻るのある貴雄っぽい選曲で面白かったです。
昭和歌謡オマージュ、90年代J-POP、令和のボカロPと、年代も曲のジャンルもばらばらで面白い選曲でした。そしてそれを全部本気でやってかっこよく成立させるユニゾン、恐るべし。
前回(斎藤→aiko、田淵→水どう主題歌、鈴木→RIZE)も三者三様で楽しかったけど、時を経て全てにおいてグレードアップしたような気がしました。果てさて、この次はあるのかなー。
宏介が「FCライブだから普段やらないことをやっても許してもらえるかな」とエクスキューズしていました。本人達は「ユニゾンはこうであらねば」と言う、良い意味でのマイルール、理想像を守っている。でも、私はユニゾンに「これだけはしてくれるな」と言う要望はありません。FC限定だけでなくても、こういう試みも全然ありだなと思います。何やってもユニゾンがやればユニゾンが成立するからね。
🔹再びSUPER UNISON SQUARE GARDEN
・最後は再びソラさんがご登場、満を持して「mix juiceのいうとおり」が披露されました。わー待ってました!やっぱり生ピアノの音が良き!
私はこの曲が大好きなのです。リリース後は聞く機会も多かったけれど、一時期からあまりやらなくなった(イベントでやっていても私が遭遇しなくなった)ので、ナインピnextで久しぶりに聞けて本当に嬉しかったんだよな。明るい曲だけど、歌詞とメロディーが優しいので必ずサビでうるっと来てしまいます。サビ前のソラさんと田淵のコーラスが絡み合って賑やかなところも楽しかったな。
・最後は「オリオンをなぞる」でした。ソラさんのグリッサンドに上がります。間奏が延長されて、ソラさんのピアノソロが差し込まれたのが激エモ。ピアノの音色がキラキラ星屑になってステージから降って来たなー。オリオンだしね!
SUPER UNISON SQUARE GARDEN、とっても良かったなぁ。またガッツリ見れる機会があるといいな。一緒にツアーを回るという取り組みに大きな意義があるのだなと感じました。Superというより、Brillantだな。ソラさんが加わることで、ユニゾンにキラキラが増すから。そしてバチバチではなく、リラックスしつつ楽しく化学反応を起こしている感じが好きだったなぁ。リラックスしているステージで、駆け回る田淵を宏介が笑いながら見ていることがよくありますが、ソラさんもはじける田淵を微笑みながら目で追いかけているシーンがあって、そういう雰囲気も好きでした。宏介が「おとぎ話に出てくるみたい」ってソラさんのこと言ってたけど、わかる(笑) 不思議な魅力をまとった方。また一緒にやって欲しいです。BrillantなUNISON SQUARE GARDEN、とっても魅力いっぱいでした。
それにしても、デビュー時から出囃子が変わらないというのも信念があって個性だなと思います。定期的に(または頻繁に)変えるバンドも多いので。「絵の具」はもはやユニゾンのアイデンティティだね。
セトリも初期のヒリヒリする曲、最新曲、B面曲、人気曲(タイバニ)、ソラさんと一緒にやることに意義がある曲(ピアノ)、そして春っぽい選曲もありつつ、バランス良く組まれていて好きでした。ソラさんのおかげもあって、FCツアーならではのほっこりするステージだったな。
すごく良いツアーだったので来れて良かったです。ありがたい。本当はもう1か所ぐらい参加したかったけどチケット当たらなくて叶わず。何ヶ所も行けてる人は行けてるみたいですけど。「UNICITY Vol.1.5」の時はチケット余ってる場所もあって行きたい放題だったんだけどなぁ。ちょっと寂しい。ソラさんのピアノももっと聞きたかったし、オトナブルーをもう1回生で聞きたかったわぁ。そう言えばIDチェックしなかったな、前回はしたのに。
最後に「20周年始まりまーす!」って宏介が言ってたの、グッと来ましたね。始まるねぇ。