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多次元制御機構よだか、よだかの星、YODAKA、鳥展

多次元制御機構よだか(音楽/林直大によるソロプロジェクト)、よだかの星(宮沢賢治の小説)、人工衛星「YODAKA」、鳥展(国立科学博物館で開催、鳥類をテーマとした特別展)にまつわる勝手気ままな雑記。


🌟多次元制御機構よだか

「多次元制御機構よだか(たじげんせいぎょきこうよだか)」を知ったのは2023年だったと思う。メロディー、歌詞、演奏が良く、特有のロマンに満ち溢れていて好感を持った。

曲名やイベント名に宇宙や星にまつわるものが多く、ライブの登場SEが「Three, Two, One…」というロケットの打ち上げを連想させるものだったり、曲振りが「シートベルトを締めて下さい」という決め台詞だったり、ステージ後は「ご搭乗ありがとうございました」というアナウンスを流す。

歌詞は中年の私がアオハルを追体験するようにキュンとすることもあり、メロディーはどこか懐かしさを覚え、時代を飛び越えた普遍的なロックバンドの魅力を感じる。

1994年生まれの林(ギター&ボーカル)だが、チャウ・シンチーの映画が好きという一面もあり、年齢不詳な雰囲気も漂う。童顔だが声が渋く、余計にギャップを感じるのかもしれない。(個人の感想)

ソロプロジェクト名は、初めて聞いた時から引っかかっていた。「どういう意味だろう?」と、深読みをしたくなる。 

2024年Spotifyでよく聞いたお気に入り曲

よくよく見たら、公式サイトにちゃんと記載があった。

「ないタイムマシン」。ロケットみたいな乗り物を思い浮かべていたが、理想のタイムマシンに見立てているのか。腑に落ちた。


🌟よだかの星

では、「よだか」はどこから用いたのか。
真っ先に連想するのは、宮沢賢治の短編小説「よだかの星」に出て来る鳥だ。
ミニアルバムの1曲目「システムオールグリーン」には「銀河鉄道」というフレーズも出て来るので、余計に宮沢賢治が思い浮かぶ。

「よだか」は、一般的には「ヨタカ(夜鷹)」と言われている。物語中にも説明があるが、鷹ではない。見た目は、どちらかと言うとフクロウ系統だ。

ヨタカは、鷹やフクロウのような肉食の猛禽類ではないので、昆虫を食べる。夜行性で、「力強く飛ぶ姿が鷹に似ている」ということからヨタカと名付けられた説があるようだ。

横暴な鷹に「お前は鷹じゃないんだから改名しろ、しないと殺す」と脅され、よだかが思い悩むという理不尽な描写がある。誰がどう見ても、よだかに罪はない。

しかし、昆虫を食料とする罪悪感や、鷹に殺されるぐらいなら…と、死を覚悟し、お日さまや星座を目掛けてぐんぐん飛び続けることに決めたよだか。お日さまや星座に見下されても、決して諦めない。

力尽きて地へ落ちていくよだかが、突然まっすぐ空へと昇っていく。もはや羽が痺れて、落ちているのか昇ってるのかわからない。
ついに燃えさかる星になったよだか。いつまでも燃え続け、「今でもまだ燃えています。(原文ラスト)」

多くの子供がそうであるように、私も小学生の時に初めて読んだ。数年前に旅行で岩手県花巻市の「宮沢賢治記念館」を訪問すると決めた際に、懐かしくて読み返した。大人になった今の方が、よだかの心情が伝わって来てやるせない気持ちになる。

林は以前、バンドを組んでいた。当時のことは知らないが、一般的にバンドの解散には繊細な事情があることが少なくない。「曲名」という歌詞からも当時のことが想起される。

解散を経てのソロプロジェクト。何があっても、よだかのようにひたすらまっすぐ望む方向へ飛び続けたい、最後まで燃え続けていたい、という思いが名前に込められているのもしれない。

先日、こんな昔(2020年)のポストを見つけた。やはり「よだかの星」からのインスパイアがあるようだ。キラキラとした思いが溢れていて、140字の小説のようだ。

※無料で「よだかの星」が読める。賢治の著作権は消滅しているため。


🌟人工衛星「YODAKA」

先日、人工衛星「YODAKA」打上げ成功というニュースを見た。「YODAKA」という衛星があることを初めて知った。花巻市のプロジェクトだそうで、さすがは宮沢賢治の出身地である。

鳥の名は、しばしば速い乗り物の名称に使用される。列車の「はやぶさ」「とき」「はくたか」など。
調べると、人工衛星にも「はやぶさ」「はくちょう」「ひのとり」「こうのとり」など、鳥の名前が多数付けられている。確かに「はやぶさ」は有名だ。

日本の動物園にも数か所しかいないヨタカは、マイナーな鳥だと思うが、花巻を盛り上げるプロジェクトとして開発された人工衛星に「YODAKA」が抜擢されるとは、花巻らしくてとても素敵だ。

そして「多次元制御機構よだか」は、人工衛星の「YODAKA」のイメージも似合うと思った。人工衛星ってタイムマシンっぽいじゃん。
遠い未来かもしれないが、タイムマシン「よだか」が爆誕する日も来ちゃったりして。


🌟鳥展

2024年冬、上野の国立科学博物館で開催中の「鳥展」「ヨタカは鷹ではない」と言うことを改めて認識した。

ゲノム解析(遺伝情報を総合的に解析)でも、ヨタカ目とタカ目は異なる。

「ハヤブサは猛禽類なのにインコに近いの?」という驚き。確かに目がくりっとしていて可愛い系統だけど。
ヨタカ目がズラリ

「よだかの星」では、醜くてみんなに嫌われているという描写だが、私に言わせれば可愛い。全然醜くない。

宮沢賢治の作品には多くの鳥が登場する。鳥オタクだと思う。賢治もヨタカのことは可愛いと思っていたに違いない、だって鳥オタクだから。
しかしストーリー上、「醜い」という設定にせざるを得なかったのだ、と勝手に解釈している。

オーストラリアガマグチヨタカは、木の枝に擬態する。フクロウも擬態する子がいるので、やっぱり個人的にはフクロウっぽい印象だ。
私はフクロウが好きなので、ヨタカもとても愛らしくて好きだ。

「鳥展」は2025年2月まで開催される。動物好きはテンションが上がる内容が盛りだくさんだった。
近頃の上野界隈は観光客で激混みのため、平日朝イチの入館を強くオススメする。

世界最大シマフクロウの迫力。日本では主に北海道の動物園で飼育、絶滅危惧種。
アベンジャーズ的な展示。オタク心をくすぐるわー
可愛くてためになる漫画解説。かわいいおしり…
科博のショップで買ったシマフクロウのアクキーとフタバスズキリュウのハンカチ。シマフクロウグッズがあるなんて、さすが科博。
剥製を山ほど見た後、上野公園の野鳩をいつも以上にガン見してしまう。鳥、尊い。



🌟花巻の思い出

宮沢賢治作品は「銀河鉄道の夜」が最もお気に入りだが、「よだかの星」も大人になってから好きになった。

2022年に旅行した花巻市では、よだかの姿があちこちで見られ、代表作の1つとして親しまれていることを実感した。

「宮沢賢治記念館」のよだか
自販機のよだか

お土産の薄いかりんとう「よだかの星」。
「よだかは、実にみにくい鳥です。 顔は、ところどころ、 味噌 ( みそ ) をつけたようにまだらで」という描写の通り、胡麻入りのデコボコな作りで、よだかに寄せているのがユニーク。

近頃はこのような薄いタイプのかりんとうをよく見かけるが、通常のスティックタイプよりも食感が軽く、香ばしくて好きだ。

その時の旅行記。「イーハトーブ」の意味を体感した、とても良い地だった。また訪れたい。


「銀河鉄道の夜」は、子供の頃に見たこのアニメ映画が心にこびりついている。
不穏なキーだが何故か心を惹きつけてやまない劇伴も理由のひとつ。大人になってから、細野晴臣だと知って納得した。

田中真弓の健気なジョバンニが哀愁を誘う。この時代にしてはアニメーションのクオリティーが確かだ、と今でも思う大名作。


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