青森県でホームレスになった話 7
どうも、ひかりちゃんです。
コインランドリーから離れて
再び、八戸駅まで戻ってきた。
お昼過ぎだったと思います。
八戸駅のすぐ隣に図書館を見つけた。
無料で入れて、座れる場所があり
当然、トイレもあるし水道もある。
ある程度、長居していても
本を読んでいる。と理由があれば
正当化出来ると自分に言い聞かせた。
数冊の本を手に取り
木で出来た椅子ではなく
ソファを見つけて、そこに座った。
公園のベンチやコンクリートの地面
ばかりに座っていたので
フカフカのソファは物凄く気持ちよかった。
読めもしない本を開き
いかにも読書をしている雰囲気を装い
俯いていると、心地良かったのか
次第に、睡魔に襲われてきました。
寝てしまおう、と思う前に
既に眠ってしまっており
図書館のスタッフから
館内での睡眠は〜と声をかけられ
咄嗟に目覚め、軽く平謝りして
事なきを得た。
時間を確認すると30分ほど寝ていた。
30分といえど、比較的リラックス
できた状態での睡眠は非常に質が良く
疲労しきっていた身体は随分と回復し
その後も、スタッフの目を気にしつつ
軽く目を閉じて仮眠を取りながら
閉館時間ギリギリまで時間を過ごした。
図書館から出て、辺りは
少しずつ暗くなり始めており
これからの行動を考えることにした。
スマホの充電を第一に考えたが
確実に充電出来るのは昨日行った
パチンコ屋のみで、現在地から
そこそこ離れた場所にあり
それよりも近場の距離にある
まだ探していない
パチンコ屋を探すことを考えたが
スマホで近くを検索しナビを使って
辿り着いたパチンコ屋に充電器が
なかった場合、バッテリーの無駄に
なってしまうと思い、その日は
スマホの充電を断念することにした。
幸い、電池残量は全く無い訳ではなく
節約しながらだと、どうにか翌日までは
持つ程度は残っていた。
それからしばらくは辺り一帯を歩き回り
その日の夜を過ごせる場所がないか
探し回っていたが、八戸駅周辺には
めぼしい場所がなく、少し離れると
住宅街になっており、公園は
あったものの住宅に囲まれた所にあり
人目につかない場所で
風を凌げ、長時間滞在しても怪しまれず
座れる(出来れば横になれる)場所
というのは中々見つからなかった。
最終的に、その日は
八戸駅の改札前にあるベンチを
拠点にすることにして
終電後、駅職員や利用客が
いなくなるのを待ち続けていた。
深夜0時を過ぎる頃には
完全に人気が無くなり、ベンチで
軽く横になり、眠ろうと試みるも
たまに通る通行人の足音が気になり
横になるのを止めて
ただ呆然と座って過ごしたり
たまに駅周辺を徘徊したりしていた。
それにしても、寒かった。
屋根こそあるものの、両端は出口に
なっており、風が吹き抜ける構造で
気温自体はそれほど低くないにしても
時間が過ぎるごとに身体は冷えていき
動かず黙っていると寒いし
かといって、あてもなく動くにしても
連日の疲からか歩く気力もなかった。
どうせなら盗みでも働いて
空腹を満たすべきか何度も考え
もし、警察に捕まったとしても
犯罪を犯したといえ、確実に
食糧と寝床だけは確保できる。
パチンコ屋から持ってきた飴玉や
シュガースティックと、拾い物の吸殻
だけでは残りの日数を生きていくのは
無理だと悟り
いよいよ今度こそは。と思い
コンビニで食べ物を盗んでやろうと
本気で意気込み、近くのコンビニへ向かった
辿り着いたコンビニには
利用客はおらず、店員が1名だけ
おにぎりを手に取り、店員の死角へ
行き、盗んだものを隠そうとしたが
ポケットに入れようとしても
それが出来なかった。
ずっと昔、地元の食料店で
万引きがバレて母親と、当時の
学校の担任がお店の方に謝っていたこと
が、ふと頭に過り
盗む、という行為を躊躇い
自分が行おうとしていることが
急激に恥ずかしくなってきた。
今、当時のことを改めて思うと
それで良かったなとしみじみ思う。
結局、商品を元の所へ戻し
そそくさとコンビニから退店して
また、八戸駅のベンチへ戻り
始発を迎える時間まで
ただ呆然と何もせず座り続けていた。
それではまた次回