【論詩】「ファウスト」が戯曲である理由
永遠の登高を描いた戯曲
わたしたちは禁断の領域に
現実を踏み入れている
瓶の中の小人が消滅した光の
どうしようもない美しさは
文学史上もっとも叙情的に
自然界の神秘を表現したが
機械論的には随分前から可能だ
心の本質が記憶であることが
暴かれた辺りからがヤバい
ヤバいというより素晴らしい
瓶の光が実像を結ばんとしている
そしてこれは一要素に過ぎない
【詩】= "程よい抽象性と程よい論理性"
過去 現在 未来と読み継がれた
全てを記述したゲーテ60年間の
仕事は時空を超越しているが
本質を捉える為の手段が強い
詩という武器で物事を看破する
(この行為は過小評価されがちだ)
これは理由というより
宿命かも知れなかった
わたしは「ファウスト」が好きだ
(それでこの武器を選んだ)