マガジンのカバー画像

幻獣詩篇

12
ボルヘス著『幻獣辞典』から着想を得る詩篇です。
運営しているクリエイター

#新年

【詩】竜と龍(幻獣詩篇:9:10)

【詩】竜と龍(幻獣詩篇:9:10)

【離縁】
ティラノサウルスやトリケラトプス
プテラノドン等 竜の祖先どもが
草原や空に悠然と幅を利かせながら
おれは おれは と息巻きながら
緩慢な血流を滞りなく妻に注ぎ込む

全てが他者に調律された
ただの夢に過ぎないという
形而上学的な感じかたを
妻は尊重してはならない何故なら

死ぬからだ

【結納】
八百万の神々が生まれる以前から
龍の祖先たちは荒れ地を徘徊し火を吹き
砂漠ではハンミョウが

もっとみる