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暁に薮を睨む

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刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
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2021年3月の記事一覧

詩:『低気圧』

詩:『低気圧』

『低気圧』

人肌が恋しくて滅入るような朝は
自分の腕の柔らかいところを触る
そうやって自分の心の深いところを触る

ベッドの乱れたシーツを整えるような
日々の生活がわたしに覆いかぶさってくる

昨日洗ってない髪
靄がかかったような
わたしの頭脳

ああっ、と叫んで
通りに駆け出したい

雨が好きだといつか笑ったあの人は
今日の豪雨にも濡れているだろうか

詩:『車椅子』

詩:『車椅子』

『車椅子』

わたしは当養護学校の
模範的なひとりの机だから
みんなが当たり前にやっていること
その都合のいい人生に絶対に心をゆるさない
断固として【妥協】することを良しとしない

「木と人の命を同列に語るのはナンセンスだ
人には意思が介在しているから」
意思とはなにかという問題は【さておき】

「信号機 赤は止まれ 黄色は注意 青は進め
交通事故は避けねばならない命を守るため」
命の価値の社会的

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