COO(理)×広報(文)で対談🗣💬科学=難しいと思ってない?文系は理系にはないイマジネーションが必要?
今回は、COO早船との対談記事になります!幅広く色んなテーマについて話しました🗣
特に、「科学」や「科学コミュニケーター」を難しい・遠い存在と捉えていた方は、今回の記事を読めば、これまでのイメージがガラッと変わるような内容になっています。(私はそうでした😌)
加えて、文系の私からの気になる質問だったり、A-Co-Laboが大事だと思っていることについても話しています💬 ぜひ、読んでみてください!
自己紹介記事はこちら↓
プロフィール
取締役COO 早船真広 (Hayafune Masahiro)
【Twitter】@hayamasa1988
広報担当 藤堂満智子 (Toudou machiko)
「研究者」という言葉にもっていたイメージ
藤堂 研究を志す前に「研究者」という言葉に抱いていたイメージを教えて下さい。
早船 う~ん…あんまり何も思っていなかったと思います...笑
そもそも、自分が研究者になるという想定をしていなかったです。
父親がサラリーマンだったこともあり、自分もサラリーマンになるイメージしか持っていなかったので、自分の中で研究者になるという選択肢はもともとは全くありませんでした。藤堂さんは?
藤堂 実は、私も同じで「研究者」は自分とはかけ離れた存在だと思っていたので、特段良いイメージも悪いイメージもありませんでした。名探偵コナンでいう阿笠博士みたいなイメージです笑
早船 確かに!オーキド博士とかお茶の水博士とかのイメージはあったかも。
博士課程に進んだ経緯
早船 ただ私自身は、実は研究者になろうと思ったことはなかったです。
藤堂 え、そうだったんですか!?
早船 高校生で生物の面白さを知り、”ちゃんと知りたいな”と思ったことがきっかけで、大学生になった時も修士課程までは行こうと決めていました。
でも、さっきも言ったように、修士課程を修了したら就職する道しか考えていませんでした。
修士の時に就職活動した時は、研究職を考えて就活もしてましたが、技術営業が面白そうだなとも思っていました。
ただ、就活が上手くいかなかったこともあり、その頃から科学コミュニケーションをやりたいと思うようになりました。
そのためには、博士に進んだ方が良いと思って、就活を辞めて進学することに決めました。
なので、研究者になりたいと思って博士課程に進んだわけではありません笑
藤堂 今まで1度も研究者になりたいと思ったことはなかったんですか?
早船 はい。科学コミュニケーターになりたい!=博士課程に行こうと思うようになりました。
藤堂 恥ずかしながら、文系の私は最近になって科学コミュニケーターという言葉を知ったのですが、昔から存在していたんですね!
早船 存在はしていますが、今も昔も世間一般的には知られていないです。私も当時はサイエンスコミュニケーターという職業があることを知りませんでした。
ですが、一般向けに科学を発信していくことは重要だと考えていたので、学生時代に「一般向けに科学を伝えるということをしたい!」と周囲に伝えていました。
藤堂 そういった活動をしている人達を指す言葉があることを知らなかったのに、科学コミュニケーターのようになりたい!と学生の時から思ってたんですね。
早船 そうです。そんな時に共同研究先の人が、「大学のOBでそういった活動をしている人がいるよ」と教えてくれました。
実は紹介いただいたのが科博SCA*の方で、それがきっかけで科学コミュニケーションや科学コミュニケーターの存在を知りました。
(*科博SCA=国立科学博物館 サイエンスコミュニケータ・アソシエーション)
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藤堂 そんな経緯があったんですね!
科学を一般の人向けに伝えたい!と思ったきっかけは、先程仰っていた”生物をちゃんと知りたい”という原体験から来ているんですか?
早船 はい。自分が生物を面白いと思ったので、他の人でも面白いと思う人がいっぱいいるんじゃないかと感じていました。
また同時に、東日本大震災をきっかけとした原発問題や、iPS細胞を使った再生医療などがメディアで取り上げられていて、科学にまつわる良いニュース、悪いニュースがあって、明暗が分かれていると感じていました。
どちらも科学ですが、暗いものを暗いままにしておきたくないといった想いがありました。
科学を分かりやすく伝えたい
藤堂 ”科学コミュニケーター”というロールモデルの存在を知らなかったのに、自分のやりたいことを軸に行動に移そうとしていたのは凄いですね!
早船 全く何もイメージがなかったわけではありません。
「サイエンスZERO」や「週間こどもニュース」のように、メディアで発信していく手段もあると考えてました。
私としては、科学を分かりやすく伝えることに興味を持っていたので、手段は沢山あるし、どの分野にもそういった人はいると考えていました。
藤堂 確かに。科学を分かりやすく伝えることが目的なら、手段は色々考えられますね。では、ずばり早船さんにとって科学とはなんですか?
早船 「知らないことを知れること」だと思います。学びとも近いかもしれないですが、学問の土台が科学だと思います。
藤堂 なるほど。では、早船さんにとって科学コミュニケーターの定義はなんですか?
早船 私の様に実験を教えたりする方がわかりやすいかも知れませんが、定義は広いです。
例えば、科学的な文章を書く方、博物館の方なども含まれます。最近では、桝太一さんも科学コミュニケーションの研究をされてますね。
ただ、家で子どもに科学の本を読み聞かせしているお母さんも科学コミュニケーターであると考えています。
なので特にコレといった定義はないです笑
藤堂 そうなんですね!科学コミュニケーターと名乗れる人は、決まった経歴のある人というイメージがありましたが、本の読み聞かせをしているお母さんも含まれるとお考えなんですね!
早船 そうですね。国家資格でもないですし、誰でも今から名乗れると考えています。認定されたければきちんと学ぶ必要はありますが、そうでなければ特別な資格は必要ありません笑
藤堂 誰でも名乗れたら、正確に科学を伝えられているのかという点は問題ないんですか…?
早船 どちらかというと大事なのは受け取る側です。
伝える側の正確性ももちろん大事ですが、聞く側はそれを感じるセンサーが必要です。そして、受け取った側がそれをもとに、考えることが重要だと思っています。
実は、私達の身の回りは科学で溢れてます。身近な物でいうとPCや、LEDライトだってそうです。私達、人間の身体だって細胞からできています。
科学コミュニケーターも、それぞれが持っている知識やバックグラウンドが違うので、伝えていく方法や対象は違えど、科学コミュニケーション=科学を使ってコミュニケーションをとることは誰でも出来ます。
研究者と関わりながら感じること
藤堂 なるほど。ありがとうございます。ではそんな科学コミュニケーターの早船さんが、日々研究者と関わっていて感じることは何ですか?
早船 みんな面白い方だなと感じています。
研究内容ももちろんですが、研究者それぞれの個性や、その人の良さもわかります。
例えばですが、私達が普段生活の中でよく目にする太陽光パネルと、宇宙で使用されている太陽光パネルは、実は違いがある、といったように今まで考えたことがなかったことを知る機会が沢山あります。
なので研究者と日々接するのはとても楽しいです。
藤堂 確かに、今まで気づかなかったような発見が日々あるのは面白いですよね。
早船さんは、研究で身につけた知識やスキルが、私生活でも活かされていると思うことってありますか?
早船 私の性格もありますが細かいことが気になったり、常になにか考えている気がします。
「なんでこうなっているんだろう」とか、「どうしたら良いんだろう」というのを、無意識に考えている自分はいるかもしれないです。
藤堂 何ごとにも疑問をもつ思考が普段からベースにあったら、お仕事とかにも役立ちそうですね!
早船 そうですね。それはあるかもしれないです。私でも気づかない疑問はいっぱいあり、研究者達もそれぞれの疑問をそれぞれの角度で持っているのでそれを知れるのが面白いなと感じています。
こういった今までの経験もあり、flasko*では様々な研究者の方に執筆をして頂き、毎回楽しいです。
(*flasko=科学をもっと身近にするサイエンスメディア)
藤堂 早船さんは、科学を身近に感じてもらいたいからその”きっかけ作り”にやりがいを感じているんですね。
早船 きっかけを作ることしか出来ないと思っています。
科学への感度を高めて欲しいとは思っていますが、聞き手が受け取ってくれることが前提として重要です。なので、興味を持ってくれるように働きかけることを意識しています。
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文系・理系の違う点
藤堂 個人的に興味があり質問したいのですが、文系の研究者は早船さんからどう見えていますか?
早船 理系と似ているところと違うところが共存していると思っています。
違うところで言うと、対象物が異なっていると思います。
理系では有形物・無機物を扱いますが、文系では人の心理や歴史といった無形のものを扱い、どう有形にするかといった点で違いがあります。
理系とは違うイマジネーションが必要なんだろうなと感じています。
藤堂 そんなふうに思っていたんですね!
ちなみに、A-Co-Laboでは理系だけに限定せず分野横断型の研究者がいらっしゃいますよね。
私が最初にA-Co-LaboのHPを見つけた時は、役員紹介を見て全員理系だなという印象を持ちました。なので登録を募集している研究者も主には理系なんだろうなと思いました。
早船 確かにみんな理系だ笑
藤堂 でも企業ページのFAQのところに「分野は多岐に渡り、人文科学や社会科学研究者も登録しています」というのを見て、文系の私でも受け入れてもらえるかなと思い、”何か手伝わせて下さい!”とお問い合わせに連絡しました。
詳しくはこちらからご覧ください↓
早船 そうだったんだ。なによりです笑
藤堂 それから、これは私の主観ですがHPが赤色と白色だったのも印象的で、他社さんは青色や緑色のHPが多く、なんとなく理系っぽさを感じていました。
文系は色で表すと、どちらか言えば暖色のイメージが私にはあるので、それもA-Co-Laboに惹かれた理由かもしれないです笑
早船 うんうん。確かに他社が青いイメージが我々にもあったので、あえて変えたところもあります。
他社と同じ雰囲気では面白くないし、埋もれちゃう可能性もあると思っていました。
立ち上げ当初、分野を絞らないということだけ決めて、現在でも幅広い分野の研究者を募集しています。
文系の人達と一緒に仕事することが私にとっては当たり前のことだったので、外すことも考えてなかったですし、あえて入れるという考え方もしていませんでした。
ただ、ビジネス的な戦略から分野を絞られている企業もあるとは思いますし、科学=自然科学だけと考えている人も世の中にはいると思います。
藤堂 そうだったんですね。募集している対象が広いだけで、コンタクトをとる方はハードルが一気に下がりました。
早船 実は、私が学んでいた農学部に・農学科・農芸化学科・生命科学科に加えて、農業経済学科(現在は、食料環境政策学科)という文系の学科があったことも関係しているかもしれないです。
初めて農業経済学科があると知った時は意外だなと思ったのを覚えているので、その当時は自分の中で文系と理系は分かれていたのかもしれないです。
ただ、うちの学部では、育てる→加工する→売るといった手順を踏むことで農業の経済が成り立つことを前提としていたので、ミクロからマクロまで網羅しているんだと分かり腹落ちしました。
研究者と企業が一緒に仕事をする上で重要なこと
藤堂 A-Co-Laboでは幅広い分野のパートナーに登録いただいていますが、企業と研究者が仕事をする上で重要だと思うことはなんですか?
早船 コミュニケーションだと思います。コーディネーターは間に入り、翻訳といった役割を担っていますが、ワンチームという意味で一緒にプロジェクトに取り組むならコミュニケーションが必要になってきます。
なのでハードルを高く感じて欲しくはないですが、どうしたら互いに良いコミュニケーションがとれるか考えることは大事だと思います。
極論、私達コーディネーターがいなくても両者だけで上手くいくのが一番良いと思っています。互いに、こういうことを求めているんだろうなと判断できたり、こうしたら上手くいくといったような理解ができるのが理想です。
「一緒にお仕事をしましょう!」=コミュニケーションは必然的に発生するので、人と人の対話が重要です。
コーディネーターの醍醐味
藤堂 確かに。どんな場面でも、相手が誰であっても、コミュニケーションは重要ですよね。
では、早船さんがコーディネーターとして伴走していて感じる醍醐味を教えてください!
早船 やはり、きっかけ作りですね。
自分の知らない世界が見えることへの興味関心は誰にでもある普通の感覚だと考えています。
企業側は”研究者ってこんなに面白いんだ!”という気づきでも良いですし、研究者側は、ビジネスってこんな感じなんだ!と興味をもってもらうという点で、互いの知らなかった一面を引き合わせるのが楽しいです。
詳しくはこちらから↓
藤堂 両者の間に立つ人がいるからこその出逢いと気付きですもんね!すごく重要な役割だと思います。
私からの質問は以上ですが、最後に一言お願いします...!
早船 一言...笑
A-Co-Labo以外にも、実は複数の仕事をしていますが全てが科学コミュニケーションに関係しています。
ぶっちゃけ最初は”科学コミュニケーター”という言葉が好きではありませんでした。
弁護士とは言うけど、法律コミュニケーターとは言わないのに、科学だけコミュニケーターとつくことに違和感がありました。
そのためサイエンスプロモーターと名乗っていた時期もありました。
今は、科学コミュニケーターは対象者の幅が広いと認識しているので、良いかもと思うようになりました。
藤堂 そんなふうに感じていたんですね!
今回お話しを聞いて、実は科学コミュニケーターはすごい身近な存在なのかも!と思いました。
今日はありがとうございました!
早船 ありがとうございました!
感想
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