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#宿命の泡沫紋章 外伝Ⅹ

(投稿してから2時間後くらいにページがひとつ抜けている事に気付き修正致しました、申し訳ありません σ(^_^;))

長かった続編の外伝もようやく今回で終わりとなり、残すところ第∞章第100節のみとなりました。

今回のお話は本当はもう少し長かったのですが、冗長になってもどうかと思ったので短くまとめる事に致しました。


ファエラル達が初めに暮らしていたという半地下の場所というのは、外伝Ⅲでエーメルさんとハリスさんが冒険した神殿の事です。

この場所がほぼ完全に隠れた森の中みたいになっていたのは、この時のライエルさんの力によるものだったようですね。

メレイルさんはこの時の記憶で外部からの侵入者を非常に恐れるようになり、その結果外伝Ⅲに出てきたような力の亡霊を生み出してしまいます。

なので外伝Ⅲでライエルさんが言っていた「元はと言えば俺の所為」という言葉は、この出来事から出てきたものという事になります。


ジャガイモの話に関しましては、19世紀のアイルランドに大打撃を与えたジャガイモ飢饉から取っています。

アイルランドの人々の主食であるジャガイモに酷い疫病が蔓延し、主食が枯れた事で大飢饉が起こって餓死者が多く出て人口が大幅に減少したり、決死の覚悟で新大陸アメリカに移住したりと、アイルランドの歴史の中でもかなり大きな転換期となった出来事です。


それぞれの家系の始祖達が元々エリオルの為に残したものは、全ての属性の人々に等しく受け継がれていくようにワザとはっきりとした色はつけずに灰色の表現で作られているようです。

(あくまでも色はイメージにすぎないので、それだけで属性が決まるわけではありませんが。)

ただしライエルが作ったそれぞれの属性の服には、アクセントとして少しだけが色ついています。

そもそもライエルが作った服だけは元々受け継いでいくものとして作ったわけではなく、単なる気まぐれみたいなものが発端です。

(地属性は主に植物と鉱物を司るので、この服は植物性の繊維を用いて作ったものと思われます。)

ただこの服をキッカケに、ファエラル達がエリオルと後の世代に残す事にしたものがこれらの品々となったようです。

(今回の表紙絵には都合上、雷鳴属性の服しか載せていませんが、その他の全員分は正編の第Ⅲ章辺りに描いています。)

今回の外伝の表紙絵でエリオルが身につけたり持ったりしているものがそれらの品々で、それぞれペンダントとナイフ(氷のナイフは氷属性の人しか持てないので、もう一方のどの属性の人でも使える方を持っています)と歴史聖書です。

歴史聖書は正編外伝Ⅰにてアリストが抱えて寝ていました(でもあの挿絵は本が大きすぎですね;)が、この表紙は「宿命物語」シリーズ全体を通しての表紙絵とほぼ同じデザインにしております。

(あと今回の表紙絵と正編第Ⅲ章で皆が頭につけている髪飾りみたいなものは、炎天属性のファエラルが金属細工のペンダントのついでに作ったガラス細工の飾りみたいなものです。

 余談ではありますが、現実世界の古代アイルランドでは細かい細工のある鉄細工などが多く作られております、その職人は非常に重宝され優遇されていたそうです。

 お話の中ではハッキリと書かなかったような気がしますが、アルベールさんは族長としての仕事を行なっているだけでなく鍛冶職人でもあります。)


光翼ダーナ族の名前とエリン伝承の関係については、わざと現実のアイルランド伝承と突き合わせて、鶏と卵問答みたいにしております。

(「伝承」が先か「種族の存在」が先か、みたいなやつです。

 特に深い意味はなく、ちょっと書いてみたかっただけですが(笑))


「誰も見ていない木は存在しているか」という話は、アイルランド出身の哲学者であり聖職者でもあったジョージ・バークリーという人物が提起したと言われている問題に由来します。

(この話は確か、世界優しい哲学の本とも称されるヨースタイン・ゴルデル著『ソフィーの世界』で初めて読んだ気がするのですが、正直定かではありません。

 『ソフィーの世界』はこの「宿命物語」を書き始めるかどうかという頃に出会った本で、それもあってか著者は相当影響を受けています。

 読み返す度に新たな発見が出てくるので近い内にまた読み返してみようとは思っているのですが、結構長いので読み返し始めるにはある程度の覚悟がいるのです(笑))

このバークリーの問題提起は量子力学の分野でも多く論争され、「森の中にある誰も見ていない木が倒れた際に音はするか」という認識論の問いが行なわれており、その究極(というか反論)みたいな話が「シュレディンガーの猫」ですね。

(量子力学に詳しい方、間違っていたらスミマセン;)



全ての物語には、始まりがあれば終わりがあります。

この「宿命物語」シリーズも、もうすぐ一つの終わりを迎える事となります。

ここまで読んでくださっている皆様に、本当に感謝致します。

あと少しだけ、この物語にお付き合いいまだけると幸いです m(_ _)m

本日も、ご愛読いただき誠にありがとうございました \(^o^)/


中高生の頃より現在のような夢を元にした物語(文と絵)を書き続け、仕事をしながら合間に活動をしております。 私の夢物語を読んでくださった貴方にとって、何かの良いキッカケになれましたら幸いです。