私の感性を形に
“私はあなたの詩の方が好き”
実は、かなり、落ち込んでいた。
詩の展示や朗読会に参加する度に
自分の『詩』が稚拙でつまらないものに感じていた。
『詩』を書くことは私の一部であり、
成長させたいと焦れば焦るほど、目の前に
薄いベールがかかる。
それでも
呟くように詩を書くのは楽しい。
だから、やめられない。
私には数年前からのお付き合いの
元国語教師の方がいらっしゃる。
たまに
『詩』を読んでいただき感想をもらっている。
先日、ギャラリーで展示した『詩』を
「実はギャラリーに飾られたんです」
そう言って見ていただいた。
先生はゆっくりと呟くように
詩を読んでくださった
読み終えると
涙ぐみながら
「そうなの、そういう気持ちなの」
とおっしゃった。
私は私が感銘を受けた方の詩も
お見せした。
首を捻りながら
うんうんと頷いていた
「この方の詩、感銘を受けた方、多かったんですよ」
私が言うと
再び、首を捻って
私はあなたの詩の方がいいわ。
と、ボソリ…
私の方が沁みてくると、微笑んだ。
この方はおべっかも、お世辞も
気休めも言わない方。
思った事、感じ方をはっきり言う方。
えっ?
正直思った。
何故なら
私が書きたいと
ずっと思っている世界が
描かれていたのは
私ではなく感銘を受けた方のほうだったから。
先生の言葉を聞きながら
「受け取り方は人それぞれですからね」
意図せず出てしまった私の言葉に
「そう!そうなのよ」
私の詩は稚拙だけれど
たくさんの人の心を刺激したりは
できないかもしれないけれど
私は書きたいから書いてるし
声には出さない
反応をしてくれない
だけど
先生のように
「あなたの詩が好き」と言ってくれる人がいるかもしれない。
少なくとも先生は好きだと言ってくれた
同じ詩でも読んだ人によって、感想は変わる。
好きだと言う人も
嫌いだと言う人も
どっちでもない人も
いいじゃん
それで!
私は私の感性を形にして行こう
私の心の中を爽やかな風が吹き抜けた。
先生の言葉が私の背中をちょっと
押してくれた気がする時間だった。