![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141254260/rectangle_large_type_2_0676de9ea2a4b17c6e494e596fa29365.png?width=1200)
umbrella
雨上がりの夕焼けが
オレンジ色に街を染めていく
雨が降っていた時は
傘が
雨の雫を跳ねさせて
一緒に踊っていた
雨上がり
陽射しが照らす傘の上
またね
と雫が空に帰っていった
傘は閉じられた
傘は寂しくて
ちょっと泣いた
傘をフリフリ
歩くあの子は
傘をフリフリ歌い出す
クルクル回されながら
涙が吹き飛んで
「もう、いいよ、目がまわるよー」
とギシギシと泣き笑い
電車やバスの片隅に
忘れられた傘は
電車に乗って旅に出る
何処にあるという
誰も知らない
「傘の国」へと
夕焼けは泣き止んで
機嫌が治った空と一緒に
色んな傘を見つめて
おつかれさま
と笑った