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プレゼント
暖かな水の中
ぷかぷかと浮かんでいた
時折
手足を動かすと
こごもったおとがした
「ねぇ!動いた」
僕には
その言葉は理解できなかった
時どき聞こえる
不思議な音
なんだか
心地よくて
ゆったりと眠る
ここに来る前
kamisamaは
僕にプレゼントをくれた
小さな箱の中
中身は秘密だと
ここにきた時
確かにあった「箱」は
何処に行ってしまった
そうだ!
kamisamaは
「箱がなくなったら必ず探しなさい」
と言った
そうだ!
僕は探しに行かなくちゃ!
そう思った途端
僕は締め付けられて
上から押され始めた
窮屈になった水の中で
クルクル回り始めた
痛い!痛い!
いつもと違う
苦しそうな声
待ってて
助けに行くから
僕は必死に出口を探す
く、苦しいよ
ふっと
眩しい光が
僕を包んだ
苦しくて
口を開けて
オギャアー!
無意識に叫んだ
おめでとうございます!
箱は何処?
あれはプレゼントなんだよ
大切なパパとママへの
キョロキョロしてみると
高い高い所から
見下ろしていた
“おめでとう。君はこれからは
この世界で生きていくのだよ。
さあ!私を探す旅がはじまるのだよ”
箱はそう言って
すっーと消えた
「あらあら、何を見ているの?」
優しく笑う人がいた
「私がママよ。よろしくね」
僕は、「人間」になった。
言葉はわからないけど
優しい腕に抱かれて
幸せだと感じて
目を閉じた。
瞼の裏で
kamisamaが手を振っていた
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